足関節捻挫
(足関節靭帯損傷、内果・外果剥離骨折を含む)



足関節捻挫とは足首に内反力や外反力が強制されて軟部組織や靭帯、骨が損傷される疾患です。足首の靭帯は脛腓靭帯と外側側副靭帯(前距腓靭帯、後距腓靭帯、踵腓靭帯)と内側側副靭帯(三角靭帯)とからなります。これらの靭帯によって足首の安定性がもたらされております。

足関節捻挫は靭帯損傷のない症例(単なる捻挫)と靭帯損傷を認める症例(靭帯が伸びたり断裂した状態)と小さな骨片を認める症例(剥離骨折)とに分かれます。さらに、靭帯損傷は脛腓靭帯損傷と外側側副靭帯損傷と内側側副靭帯損傷とに分かれます。大半は内反力が強制されて起こる外側側副靭帯損傷の症例です。剥離骨折は外果の靭帯付着部での骨折が大半です。時に、内果剥離骨折を認めます。又、小児特有の骨端線部での損傷もよく見かけます。

しかし、これらをしっかり見極めず、靭帯損傷を見逃してしまいますと、生涯にわたって足首が不安定な状態となり、再三捻挫を繰り返す事になります。又、剥離骨折を見逃しますと、遊離骨片(骨片が離れてつかない状態)となり、足首の慢性の痛みや運動障害の原因となり、将来、変形性足関節症を招く結果ともなります。従って、足首を捻挫した際には靭帯損傷や剥離骨折の有無のチェックが非常に大切となります。高々「単なる捻挫」と簡単に考えないで、必ず整形外科専門医へ受診されて下さい。

診断にはレントゲン検査が不可欠です。まず2方向撮影(前後像・側面像)を行い骨折の有無を確認します。さらに、受傷機転(ケガをした時の足首の状態)を再現したストレスレントゲン撮影を行い靭帯損傷や軽微な剥離骨折の有無をチェックします。尚、学童期における捻挫では剥離骨折と過剰骨(内果や外果に存在する発生期の遺残物)との鑑別(見極め)に注意を要します。

治療は保存的治療(手術しない方法)が原則です。まず受傷直後にはRICEの処置を行います。「単なる捻挫」では安静を指示し、薬物療法として短期間の非ステロイド系抗炎症剤外用剤を処方し、装具療法サポーター固定)などで経過観察します。

靭帯損傷を認める症例や剥離骨折を認める症例ではギプス固定を行います(最近では歩行やランニングが行いやすいソフトギプスを使用しております。固定は軽度背屈位とします)。尚、骨や筋肉の萎縮(衰え)を防ぐためにギプス固定のまま歩行や走行、スポーツ活動を許可します。固定期間は損傷の程度に応じて2〜4週間程度行います。ギプス除去後は足首のストレッチング筋力強化訓練を指導し再発防止に努めます。

患者さんによっては、「テーピングでの治療は如何ですか?」とよくお尋ねがあります。「皮膚にテーピングするのであって、骨や靭帯にテーピングする訳ではありません。当然、固定は不十分で、15分後には汗のために固定力がなくなります。従って、靭帯損傷や剥離骨折を認める症例にはお勧めできませ」とお答えしております。


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