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ジェネリック医薬品、生活保護者に安価薬 生活保護受給者に対してジェネリック(後発)医薬品の使用を事実上強制する通知を厚生労働省が自治体に出していることが明らかになった。背景に医療費抑制を迫られる"国の懐事情"があり、通知書でも「後発医薬品は安く」「医療保険財政の改善の観点から」など、お金にかかわる文言が並ぶ。一方、指導に従わない生活保護者を割り出すため、薬局に1枚100円の手数料を払ってまで処方せんを入手するとしており、なりふり構わぬ様子がうかがえる。4月1日に始まった後期高齢者(長寿)医療制度に続き、生活保護者に限定した医費抑制策は「弱者切り捨て」との批判を呼びそうだ。生活保護者については「患者負担が発生しないことから、後発医薬品を選択するインセンティブ(動機付け)が働きにくいため、必要最小限の保障を行う生活保護法の趣旨目的にかんがみ、後発の使用を求める」としている。通知によると、都道府県や政令市などが所管する福祉事務所は、診療報酬明細書(レセプト)の抽出を行ってまで、生活保護者が後発薬を使っているか確認しなければならない。そのために、調剤薬局に1枚100円の手数料を支払い、先発薬を使っている生活保護者の処方せんの写しを提出させるとまで規定していた。先発薬の使用を指示した医師に対しては「特段の理由なく(受給者が)後発薬を忌避したことが理由でないかについて確認」することも盛り込んだ。国は後発薬の使用を生活保護者だけでなく国民全体に呼びかけているが、窓口で3割負担をする患者は調剤薬局などと相談して先発薬を選ぶこともできる。しかし生活保護者は「医学的理由がない」と判断されれば、保護の停止や打ち切りにつながりかねず事実上、選択権が奪われた形だ。ある自治体の担当者は「停止や打ち切りにつながることを、どういう形で受給者に説するか慎重に検討したい」と戸惑った様子で話す。(平成20年4月27日 毎日新聞) リウマチ薬エンブレル、因果関係否定できぬ死者84人 関節リウマチ薬「エンブレル」(一般名エタネルセプト)を使用し、同薬との因果関係が否定できない死者が84人に上ると、日本リウマチ学会の特別調査委員会が21日、札幌市で開かれた同学会シンポジウムで発表した。一部の専門家からは「感染症発症の危険が高い患者などへの処方には、より注意が必要だ」という声も出ている。エンブレルは05年1月に厚生労働省の承認を受け、同3月から製造販売元ワイスが武田薬品工業と販売している。発表によると、昨年4月までに薬を使い始めた登録患者1万3894人のうち、薬との因果関係が否定できない感染症、間質性肺炎などで死亡した患者は84人だった。使用後に何らかの症状を訴えた患者は31%で、結核感染者は12人いた。エンブレルを使用する前に別の感染症にかかった経験がある患者や、ステロイド剤を併用している患者で感染症発症が高かった。一方、エンブレルの使用で、85%の患者の症状が改善した。関節リウマチ患者の死亡率は一般の1.5〜2.0倍とされるが、エンブレル使用者は1.46倍だった。臨床試験で副作用や長期使用での安全性に疑問が残ったため、厚労省は発売後一定期間、使用した患者全員を登録、追跡調査することを義務付けていた。昨年12月の両社の発表では、登録患者で薬との因果関係が否定できない死者は76人、昨年6月の登録終了後の死者は3人だった。(平成20年4月21日 毎日新聞) がん細胞、増殖加速遺伝子を解明 がん細胞がエネルギー源であるブドウ糖を取り込む一連の仕組みを、日本医科大の川内敬子助教と田中信之教授らが発見した。この仕組みを遮断する薬剤を開発すれば、「兵糧攻め」でがん細胞の増殖を抑えられることになる。研究チームは、細胞が、がん化するのを抑制する遺伝子「p53」に注目。マウスの細胞でp53を除去すると、がん化するだけでなく、別の遺伝子「NFκB」の働きが活発になっていることに気付いた。調べると、NFκBが、ブドウ糖を取り込む別のたんぱく質を増やし、がん細胞の増殖を加速させることを突き止めた。p53が働かなくなると、NFκBが活性化し、がん細胞へのエネルギー供給が進み、増殖するという流れを解明した。田中教授は「p53の機能を回復したり、NFκBの機能を抑えれば、新しいがん治療薬の開発につながるだろう」と話している。(平成20年4月21日 毎日新聞) 月経血から心筋細胞 慶応大など「幹細胞源として期待」 女性の月経血には、からだのさまざまな組織に変化する可能性がある幹細胞が豊富に含まれ、条件を整えると心臓の細胞(心筋細胞)に高い確率で変化して拍動もすることがわかった。慶応大と国立成育医療センターなどのチームが実験で示した。チームは「月経血は新しい幹細胞源として期待できる」としている。チームは、女性6人に協力してもらい、月経血をガラスの容器に採取して培養。人工的に心筋梗塞を起こしたネズミの心臓に移植したところ、症状の改善が確認された。また試験管内の分化誘導実験では、月経血に含まれる細胞の20%が心筋細胞に変わって、自ら拍動を始めた。現在、病気の治療に幹細胞を使うときは、赤ちゃんのへその緒に含まれる臍帯血や、骨髄から採ることが多い。しかし、さまざまな組織に変化できる有用な幹細胞が含まれる割合が低いうえ、目的の細胞に変化する割合も高くない。チームの実験では、心筋細胞に変化した骨髄細胞の割合は、0.3%だった。 チームの三好俊一郎・慶応大講師は「月経血は医療廃棄物で、使うことに倫理的な問題はなく、採取の際に痛みもない。将来、若いころに月経血を採って冷凍保存しておき、あとで心臓病になったときに使うことなどが考えられる」と話している。(平成20年4月17日 朝日新聞) 脳梗塞リスク、血液で簡単判別 千葉大学病院と同大学発ベンチャー企業のアミンファーマ研究所は、脳梗塞が将来起きるかどうかの危険性を血液だけで簡単に判別する技術を開発した。大型の検査装置が必要なく、検査を受ける人の負担が少ない。同大は病院で脳ドックを受ける40歳以上の男女約1000人を対象に5月から臨床研究を始める考えだ。脳梗塞の患者数は約120万人とされる。特に40歳以上の働き盛りの男女を中心に患者が増えている。ただ、多くの患者は自覚症状を感じないが将来発症する恐れがある「隠れ脳梗塞」とされ、発症前に簡単に検査する方法が求められていた。(平成20年4月18日 日本経済新聞) 治験で子どもに接種へ 新型インフル備蓄ワクチン 厚生労働省は16日、新型インフルエンザ対策として鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)から製造し、国家備蓄しているワクチンを、子どもに接種する臨床試験を今月中に始める方針を明らかにした。「プレパンデミックワクチン」と呼ばれる備蓄ワクチンは、大人のみを対象とした臨床試験で承認されたため、新たに子どもについても用法、用量を確認するのが目的。通常のインフルエンザワクチンでも大人と子どもでは用量が違う。厚労省によると、備蓄ワクチンの承認審査の段階でも、子どもについて情報収集の必要性が指摘されていた。計画によると、治験は医師主導で実施し、今年12月までに、北里研究所と阪大微生物病研究会が製造したワクチンを、6ヵ月以上20歳未満の120人に接種する。(平成20年4月17日 中国新聞) 前立腺がん、乳製品食べる男性、発症率が1.6倍 乳製品をたくさん食べる男性は、ほとんどとらない男性に比べ、前立腺がんの発症率が約1.6倍になることが、厚生労働省研究班の大規模調査で分かった。乳製品は骨粗しょう症や高血圧、大腸がんの予防に有効だとする報告も多く、研究班は「乳製品の摂取を控えた方がいいかどうかは総合的な判断が必要で、現時点での結論は出せない」としている。研究班は、95年と98年に登録した全国10府県に住む45〜74歳(登録当時)の男性約4万3000人を04年まで追跡。このうち329人が前立腺がんを発症した。牛乳やヨーグルトなど乳製品の摂取量によって4群で分析した結果、最も多い群は、ほとんどとらない群に比べ、前立腺がんの発症率が約1.6倍になった。摂取量が多いほど危険性が高まる傾向がみられた。乳製品に多く含まれるカルシウムと飽和脂肪酸は、前立腺がん発症の危険性を高める可能性のあることが報告されている。(平成20年4月16日 毎日新聞) 百日ぜき、2000年以降最多 しつこいせきが続く「百日ぜき」の患者報告が増えており、今年1―3月の累計は、比較が可能な2000年以降で最多となったことが、国立感染症研究所の16日までのまとめで分かった。特に成人患者の増加が目立ち、全体の4割近くを占めた。専門家は乳幼児期に受けたワクチンの効果が減衰したためではないかとみている。成人は典型的な発作症状がなく、見逃される例も多いとされる。感染研は「放っておくと感染を拡大させるため、激しく治りにくいせきなどの症状が出たら早く受診を」と呼び掛けている。3月30日までの約3ヵ月間に、全国約3000ヵ所の小児科から報告された患者数は計851人。この規模の調査が定着した2000年以降、最多だった同年の同じ時期までの累計(計689人)を上回った。都道府県別では千葉150人、福岡70人、大阪69人、広島58人、愛知56人など、大都市圏で多い。(平成20年4月16日 日本経済新聞) 国家公務員病欠、1位はうつなど 人事院は2006年度に1か月以上病欠した国家公務員に関する実態調査の結果を発表した。うつ病などの「精神・行動の障害」で休んだ人が63%にあたる3849人に上り、01年度の前回調査と比べ、74%の大幅増となった。人事院職員福祉課は「1人当たりの仕事量が増え、ストレスを感じる人が多いのではないか」としている。病欠者の人数は公務員数の減少で過去最少の6105人だったが、公務員全体に占める割合は2%でわずかに増えた。「精神・行動の障害」以外では「肺がんや白血病など」(604人)「循環器系の疾患」(317人)などが多かった。(平成20年4月10日 読売新聞) パーキンソン病のiPS細胞治療、ラットで成功 新型の万能細胞「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」から作り出した神経細胞を使い、パーキンソン病のラットを治療することに、米マサチューセッツ工科大のルドルフ・ヤニッシュ教授らのグループが成功した。iPS細胞が神経病の治療に使えることを初めて示した成果。研究グループは、マウスの皮膚からiPS細胞を作り、神経伝達物質のドーパミンを分泌する細胞に分化させた。パーキンソン病を人工的に発症させたラット9匹の脳に移植したところ、8匹の症状が改善、特有の異常動作がなくなった。パーキンソン病は、ドーパミン細胞の異常で手のふるえなどが起きる難病。移植した細胞がラットの脳内に定着し、ドーパミンを正常に分泌し始めたらしい。(平成20年4月8日 読売新聞) 野生イノシシ肉がE型肝炎感染源に E型肝炎の感染源の一つが野生イノシシ肉であることが、国内で初めて遺伝子レベルで確認されていたことが分かった。全国的にE型肝炎ウイルス(HEV)感染者が急増するなか、野生イノシシの5〜10%がHEVを保有している可能性があるとされ、厚生労働省は「野生動物の肉を食べる際は十分に火を通すなど注意してほしい」と呼びかけている。HEVの感染源が遺伝子レベルで確認されたのは、05年1月に福岡県筑豊地方で夫が捕ってきた野生イノシシ肉を焼き肉にして食べた当時50代の女性。同年3月、倦怠感や食欲不振を訴えて病院に行ったところ、E型肝炎に感染した疑いがあると診断された。自宅の冷凍庫にイノシシ肉が保管してあったことから、国立感染症研究所が肉と女性の血清から検出したHEVの塩基配列を比較。配列がほぼ一致し、イノシシ肉が感染源と特定された。十分に火を通していなかったなどの理由が考えられるという。E型肝炎は従来、開発途上国を旅行した人が水などから感染するケースが多いとされてきたが、02年以降、国内での感染が疑われるケースが急増している。朝日新聞社が各都道府県などに尋ねたところ、99〜01年の3年間で全国で3件しか発生していなかったE型肝炎は02年約20件、03年約30件、06年には約70件と大幅に増加。このうち国内での感染が疑われるケースは02〜04年が20件前後、06年は44件になった。 地域的には北海道が最も多く71件。ついで東京が23件、愛知16件、神奈川13件と続いた。一方、秋田、石川、岐阜、島根、香川などでは感染の報告はなく、青森では今年2月に1件報告があった。福岡県保健環境研究所は06、07年度の2年間、県猟友会の協力を得て野生イノシシなどを対象にHEV遺伝子について調査した。07年度分は検査中だが、06年度分はイノシシ77頭のうち1割強にあたる9頭からHEV遺伝子が検出された。厚労省によると、各地の同様の調査では地域差はあるものの、野生イノシシの5〜10%からHEV遺伝子が検出されているという。イノシシ以外にも03年に兵庫県で冷凍したシカの生肉を食べた4人がHEVに感染したほか、北海道では市販の豚レバーからHEV遺伝子が検出されたケースもあるという。 感染の報告数が増えたのは、高感度なHEV遺伝子の検出法などが広まったことが背景にあるとされる。厚労省食品安全部監視安全課は(1)野生動物の肉の生食は避け、しっかり火を通す (2)生肉に触れたまな板やはしは熱湯消毒する――ことなどを呼びかけている。〈E型肝炎〉 HEVに汚染された水や食べ物から経口感染し、吐き気や食欲不振などの症状が出る。通常は一過性で慢性化しないが、まれに劇症化し死亡することがある。約100年前に英国から輸入された豚と一緒に国内に入ってきた可能性があるとの研究結果があり、シカ肉や豚レバーによる感染例や、輸血で感染した例も報告されている。加熱すると感染性を失う。(平成20年4月7日 朝日新聞) 前立腺がん、学会が集団検診のPSA検査推奨 日本泌尿器科学会は前立腺がんの集団検診として普及しつつあるPSA(前立腺特異抗原)検査を推奨するガイドラインを発表した。学会のガイドラインでは、PSA検査を積極的に実施した地域では、前立腺がんで死亡した人が予測された数の半分以下になった事例を報告した米国の最新データを紹介。「検査をすれば、明らかに転移する(悪性の)がんにかかる危険率が下がる」とした。PSA検査は採血で、前立腺がんになると増えるたんぱく質の濃度を測定する。日本では06年1月現在、全国の約4割の957市区町村が住民検診に導入している。(平成20年4月4日 毎日新聞) ミトコンドリア異常でがん悪性化 がん細胞にあるミトコンドリアの遺伝子に異常が起こると、がん細胞が悪性化し、転移しやすくなることが、筑波大、島根大、千葉県がんセンターのチームの研究でわかった。治療法開発につながると期待されている。 林純一・筑波大教授によると、細胞のエネルギーになるATP(アデノシン三リン酸)をつくるミトコンドリアの酵素に遺伝子変異があると、活性酸素が過剰にできる。マウスの肺がん細胞を使った実験で、活性酸素によって、細胞増殖を調節する物質が異常に増えることを突き止めた。酵素に変異があるがん細胞をマウスに注射すると肺に転移したが、マウスに活性酵素を抑える薬を飲ませると、転移は減った。人の乳がん細胞でも、同じ酵素に異常があると活性酸素が過剰に生み出され、悪性化することを確かめた。(平成20年4月5日 朝日新聞) 心停止、とにかく胸押して 心停止状態で倒れている成人を助けるには、胸を押し続けて圧迫するだけでも、人工呼吸を加えた方法と同じ蘇生効果があることが、日本の二つのグループの調査でわかった。調査を受けて米心臓協会(AHA)は、この「圧迫」を蘇生法として市民に勧める見解を発表。日本でも指針が見直される見通しだ。心臓発作などで倒れた場合、命を大きく左右するのは早期の心肺蘇生。蘇生法は、胸の真ん中を押す「胸骨圧迫」と人工呼吸を交互に行うのが原則で、海外でも同じ。ただ、第一発見者の多くはたまたま居合わせた人。他人に口をあわせる人工呼吸に抵抗感があるのが課題だった。ところが京都大の石見拓・助教や大阪府の救急医らの調査で、人工呼吸を省いても効果が変わらないことがわかった。調査対象は、98〜03年に心臓病で心停止して倒れたが、近くに人がいた大阪府民の事例約4900件。倒れて1年後に、後遺症なく社会復帰できた率を調べた。 すると、倒れて15分以内に救急隊が到着したケースでは、居合わせた人から基本蘇生法を受けた場合の「後遺症なし復帰率」は4.1%。胸骨圧迫のみは4.3%で、ほぼ同じ効果がみられた。首都圏の医師らの調査でも同様の傾向だった。AHAは蘇生法の国際的な指針づくりに強い影響力を持つ。子どもについては、基本の方法を勧めている。日本救急医療財団心肺蘇生法委員長の坂本哲也・帝京大教授は「手法の難しい人工呼吸を無理にするより、圧迫だけでもたくさんの人に取り組んでもらえれば、より多くの命を救える」と話す。(平成20年4月5日 朝日新聞) 受動喫煙、糖尿病リスク8割増 他人のたばこの煙にさらされる受動喫煙で、糖尿病になるリスクが8割ほど高くなることが、企業の従業員を対象とした厚生労働省研究班の調査でわかった。受動喫煙でがんやぜんそくのリスクが高まることは知られているが、糖尿病との関連を示した研究は珍しい。調査は関東、近畿、北陸地方の12の事業所に勤める19〜69歳の男女で、糖尿病でない約6500人に実施。99〜00年に職場の喫煙環境のほか、体格や運動習慣などを聞き、04年まで追跡した。この間、229人が新たに糖尿病になった。自分は吸わないが、職場でたばこの煙を浴び、とても不快に思っている人を「受動喫煙あり」と定義。喫煙歴がなく、受動喫煙もない人たちが糖尿病になるリスクを1として比較すると、受動喫煙がある人たちのリスクは1.81倍だった。肥満の有無や運動習慣など、糖尿病のかかりやすさに関連するほかの要因は影響しないように調整した。喫煙者本人ではがんや動脈硬化などのほか、糖尿病のリスクを高めることもすでに報告されているが、今回の調査では自分自身が吸っている人のリスクは1.99倍だった。喫煙で糖尿病になりやすいのは、糖を処理するインスリンをつくる膵臓(すいぞう)の働きが悪くなったり、インスリンが出ても効きにくくなったりするためと考えられている。調査をまとめた京都大の林野泰明講師(臨床疫学)は「糖尿病を防ぐ観点からも、職場の分煙環境の整備が重要。もっと大切なのは、喫煙者を一人でも減らすことです」と話す。(平成20年4月3日 朝日新聞) 血栓、防ぐ抗体を開発 血液を固まりにくくして、脳梗塞や心筋梗塞の原因となる血栓ができるのを防ぎ、一方で内出血などはあまり起こさずに済む抗体を、滋賀県立大の高山博史教授らが開発した。臨床で使えれば、副作用の少ない理想的な血栓予防薬になる可能性があるという。血栓は、血液中の血小板にコラーゲン繊維がからまり、固まりを作ってできる。しかし高山教授らは、固まりができない女性を発見。血液中から、血小板とコラーゲンの結合を妨げる抗体を見つけ、この抗体を人工的に作ることに成功した。抗体には、血小板の表面に存在しコラーゲンと結びつく「コラーゲン受容体」を、血小板の内部に引っ込めさせる働きがあった。さらに、マウスの体内に人為的に血栓を作る実験を行い、普通のマウスには血栓ができるが、同様の抗体を前もって注射したマウスにはできないことを確かめた。血小板の機能を部分的に低下させて血栓を防ぐ薬は既にあるが、副作用で脳出血など体内の出血が起きやすくなる。しかし今回の抗体を持つ患者は、脳出血などを起こさず20年間過ごしている。高山教授は「抗体を実用化すれば、脳出血などの副作用なく血栓を防ぐ薬ができるのではないか」と話している。(平成20年4月2日 毎日新聞) 医師の待機勤務に手当支給へ 独立行政法人・国立病院機構は4月から、全国146病院の医師や看護師らが緊急手術などに備えて当番制で自宅待機する場合、手当を支給することを決めた。医師は1回5千円。年間支給総額約10億円を見込む。医師不足問題で勤務医らの待遇が課題になっており、国立病院が自ら改善に乗り出した形だ。これまで「待機当番」は、各診療科の医師が順番で、夜間休日に電話が常につながるよう待機。患者の急変に応じて病院に駆けつけたり、院内にいる当直医から専門治療の相談にのったりしていた。「オンコール」と呼ばれ、無償だった。 4月からはオンコールも勤務とみなし、当番回数に応じて医師に1回5千円、看護師、臨床検査技師らに2千円を支給する。「待機中は飲酒もできず、在宅勤務をしているようなものだと、長年、対処要望が強かった」と同機構人事課。勤務医不足が社会問題化しているのを受け、初めて実施する。関東地方のある機構病院の救命救急センターでは、医師にかかる電話は1回の当番中に複数回。2回当番があれば、1度は病院に駆けつける状態という。「無償では、医師個人の意識によって対応にばらつきがあった。きちんと勤務と認められることで、責任が明確になる」と同センター長は評価している。(平成20年4月1日 朝日新聞) 肝硬変、原因細胞を抑制 札幌医大が「新薬」 肝硬変発症の原因となる異常細胞の働きを抑える方法を、札幌医大の新津洋司郎教授の研究チームが初めて開発した。国内には数十万人の肝硬変患者がいるが、有効な治療法はない。抜本的な治療につながる可能性があり、研究チームは近く臨床試験に着手する。肝臓内の血管に張り付いている正常な星細胞は、ウイルス感染などが原因で活性化星細胞(HSC)と呼ばれる異常細胞に変化する。その後、 HSCはコラーゲンを生成し、肝細胞を線維化させ、肝硬変を起こす。研究チームは、HSCにあり、コラーゲン生成に必須のたんぱく質に着目。コラーゲンの分泌量を減らすため、このたんぱく質の働きを抑える機能を持った2本鎖RNA(リボ核酸)「siRNA」を含む薬を合成し、薬にはHSCが好んで取り込むビタミンAを加えた。肝硬変を起こさせたラットを使った実験では、薬を投与しなかったラットは1カ月余りですべて死んだのに対し、投与したラットは約70日後には正常の肝臓並みに機能が回復し100%生存。コラーゲンを失ったHSCが死滅したとみられる。新津教授は「HSCが原因で発症する肺線維症や心筋梗塞などでも、同様の方法で病気の進行を抑えられた。再生医療を含め、幅広い応用が期待できる」と話している。(平成20年3月31日 毎日新聞) 百日ぜき患者倍増 激しいせきが続く百日ぜきの患者が、今年は過去10年間で最も速いペースで増加していることが、国立感染症研究所感染症情報センターの調べでわかった。国内の小児科3000か所からの報告によると、今年に入って確認された患者は664人(3月16日現在)で、昨年同期(331人)の約2倍。大人も含めた全体の患者数も急増しているとみられ、同センターでは注意を呼びかけている。百日ぜきは、春から夏にかけてが流行のシーズン。風邪に似た症状で始まり、大人の場合は長引く激しいせきのほかは、比較的症状が軽いのが特徴だ。このため、発症に気づかないケースも珍しくない。しかし、大人が感染源となって、ワクチンを接種していない乳幼児に感染すると、肺炎のほか、手足のまひ、目や耳の障害などの後遺症が残る例がある。このうち0.2〜0.6%の乳幼児は死亡するとされる。国内では、生後3か月以降に計4回のワクチン定期接種の機会があるが、ワクチン効果は年月がたつにつれ減少するため、大人がかかるケースが近年増加。現在では、小児科からの報告でも20歳以上の症例が3割以上を占める。同センターでは「乳幼児は早めにワクチンを受け、大人も、せきが長引けば病院を受診してほしい」と話している。(平成20年3月30日 読売新聞) 胸腹部大動脈瘤に筒状器具で新手術 胸から腹部にかけての大動脈が膨らむ胸腹部大動脈瘤の治療で、「ステントグラフト」という筒状の器具を瘤の中に通す新たな手術に、東京慈恵会医科大の大木隆生教授らが成功した。人工血管に置き換える従来の手術は胸から腹部を50センチほど切る必要があり、患者の負担が大きかった。今回の手術方法で、体への負担軽減と、高かった13〜20%の死亡率も低くなると期待されている。ステントグラフトは、ワイヤを筒状にし、合成繊維の布をつけた器具。これを血管代わりにして命にかかわる瘤の破裂を防ぐ。「腹部」「胸部」という限られた場所の大動脈瘤では、今回のような手術方法は行われていた。しかし、動脈瘤が両方にまたがる胸腹部大動脈瘤では技術的に難しく、国内では行われていなかった。対象患者は数百人いるとみられる。患者は東京都内の女性(49)。ふつう直径2センチほどの大動脈が太い場所で6センチに膨らんでいた。大木教授らは女性の血管の配置を詳しく調べ、胸から腹部にいたる大動脈瘤に通す長さ約30センチのステントグラフトを特注した。大動脈瘤の途中から枝分かれした腸や腎臓の動脈ともつなげられるよう工夫した。手術は今月11日。女性の脚の付け根の動脈を3センチほど切り、そこからカテーテルという細い管で瘤の中に挿入した。順調に回復している。(平成20年3月23日 朝日新聞) 小児のインフルエンザ菌、6割が抗生物質効かず 小児の髄膜炎や中耳炎の原因となるインフルエンザ菌の6割は、抗生物質の効かない耐性菌であることが、北里大北里生命科学研究所の砂川慶介教授らの全国調査でわかった。髄膜炎に関する調査は、全国約260の国公立病院を対象に2年ごとに実施しており、最新の2006年のデータでは、小児の髄膜炎患者から検出されたインフルエンザ菌のうち60%が耐性菌だった。また、27病院でつくる小児科領域耐性菌研究会が2004年、中耳炎や肺炎の原因となるインフルエンザ菌を小児患者から採取して調べたところ、やはり耐性菌が60%にのぼった。2000〜01年の前回調査に比べて倍増し、子供の中耳炎が治りにくくなっていることを示す形となった。耐性菌の広がりは、医療現場で風邪などに安易に抗生物質が多用されてきたことなどが背景とみられる。砂川教授は「抗生物質を適正に使うことや、髄膜炎を予防するワクチンの普及が必要だ」と話している。(平成20年3月21日 読売新聞) 助産所、1割廃業も お産を取り扱う全国の助産所の約1割が、4月以降に義務付けられている嘱託医療機関の確保ができず、廃業に追い込まれる可能性があることが分かった。07年4月の医療法改正で、お産を扱う助産所は、緊急搬送先確保のため嘱託の産科医と産科医療機関の届け出が義務化され、今年3月末で猶予期間が切れる。しかし厚生労働省の調査では、今月7日現在、来年度もお産を扱う予定の助産所284施設のうち、9施設は医師と医療機関の両方、18施設は医療機関が決まっていないという。また2月時点の調査では、お産を扱う予定だった助産所は297施設あり、医療機関の確保をあきらめて既に廃業したり、出産以外の保健指導などに業務を切り替えた施設もあるとみられる。助産所と医療機関との連携が進まない背景には、産科医の不足や、異常分娩(ぶんべん)を引き取ることによる訴訟リスクの懸念がある。厚労省医政局は「分娩施設がこれ以上減らないよう、嘱託医と嘱託医療機関が同一でも構わないなどの弾力的な運用で、続けられない助産所をゼロに近づけたい」としている。(平成20年3月15日 毎日新聞) 大豆食品成分、乳がんリスク抑える 大豆食品に多く含まれるイソフラボンの一種「ゲニステイン」の血中濃度が高い女性は乳がんになるリスクが最大で3分の1に下がるという調査結果を、厚生労働省研究班がまとめた。研究班の岩崎基・国立がんセンター室長は全国の40―69歳の女性2万5000人を10年半にわたって追跡調査した。この間、乳がんになった144人に、ならなかった288人を加えた計432人について、血液中のゲニステイン濃度と乳がん発症リスクとの関連を調べた。血中濃度が高い順に4つのグループに分けて乳がん発症リスクを比較すると、最も濃度が高いグループは最も低いグループの3分の1にとどまった。閉経前の女性に限ると7分の1まで低下した。最も濃度が高いグループのゲニステイン摂取量は、豆腐だと1日100グラム、納豆なら同50グラムに相当するという。(平成20年3月7日 日本経済新聞) 新型万能細胞応用 経済産業省は、さまざまな細胞に変化できる新型万能細胞(iPS細胞)の産業応用に向け、今月から産業界と大学など研究機関との間で対話の場を設けることを決めた。iPS細胞は再生医療への応用以外にも、新薬の薬効や毒性を調べる材料などとして有望視されており、製薬会社など産業界も注目している。同省は、iPS細胞の産業化でも日本が世界の主導的立場となることを目指す。産学対話では、大学などの研究機関からiPS細胞を円滑に産業界に提供する方法や知財などの取り扱いについて、両者の意見や要望を聞く。6月まで数回開催する計画で、同月に国の総合科学技術会議のiPS作業部会がまとめる研究推進策にも要望などを反映させる。(平成20年3月5日読売新聞) iPS細胞から視細胞 マウスの皮膚でつくった人工多能性幹細胞(iPS細胞)から、網膜にあって光を感じる視細胞をつくることに、理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの高橋政代チームリーダーと京都大の山中伸弥教授らが2日までに成功した。人のiPS細胞でも同様の実験を開始。患者本人の細胞を使えば、移植しても拒絶反応が起きないメリットが期待できる。高橋リーダーは「網膜色素変性症などの再生医療実現につながる一歩だ」としている。理研はこれまで、人の胚性幹細胞(ES細胞)から視細胞を効率良くつくるのに成功している。今回は山中教授が作成したマウスのiPS細胞を使い、同様の手法で網膜の前駆細胞をつくり、さらに視細胞に分化させるのに成功した。他人の受精卵からつくられるES細胞と違い、iPS細胞には患者と同じ遺伝子を持たせることが可能で、移植時の拒絶反応が避けられる。高橋リーダーは「分化能力の点でiPS細胞とES細胞は似通っている。次は人のiPS細胞から網膜細胞づくりを試したい」としている。(平成20年3月2日中国新聞) 東大・慶大でもiPS細胞研究 さまざまな臓器・組織の細胞に変化できる新型万能細胞(iPS細胞)を早く再生医療に応用するため、文部科学省は、四つの研究機関を中心とするプロジェクトを4月に始めることを決めた。開発者である山中伸弥教授のいる京都大のほか、東京大、慶応大、理化学研究所が新たな研究拠点となる。文科省は4拠点に来年度約10億円を投入する。京大は、iPS細胞研究センターを中核として、大学病院や大阪大などとも連携。iPS細胞の基礎研究だけでなく、パーキンソン病などの治療技術の開発も推進する。東大は、4月に新設される幹細胞治療研究センターを軸に、血友病などの遺伝病患者の細胞からiPS細胞を作製し、さまざまな病気の仕組みの解明を進める。慶応大は血球の元となる細胞を豊富に含むへその緒の血液を集めて、iPS細胞を200種類作る。理化学研究所はiPS細胞から神経細胞や血球などを作製し、再生医療に使えるかを安全性も含めて検証する。(平成20年2月29日読売新聞) 胃がん早期診断技術、「がん」部位だけ赤に着色 岡山大学の河原祥朗・助教らのチームは、胃がんを正確に診断できる新技術を開発した。がんの部分だけ赤く染められる色素を内視鏡で胃の内部に噴射する。小さな早期がんも見逃さずに発見できるほか、手術時に切除すべき範囲が明確に分かる。減少傾向にあるとはいえ年間5万人が命を落とす胃がん。診断・治療の両面で大きな威力を発揮しそうだ。胃がんの診断では、内視鏡を使うことが多い。胃をのぞくだけではなく「インジゴカルミン」という色素を胃壁に噴射、凹凸を目立たせてからがんを探す手法が普及している。ただ、表面が平たんながんを見つけにくいなど限界もある。(平成20年2月29日 日本経済新聞) アルツハイマー病、たんぱく集合体が原因 大阪市立大学の森啓教授と富山貴美准教授らは、代表的な認知症であるアルツハイマー病の発症の原因は、アミロイドベータと呼ばれるたんぱく質の小さな集合体が脳の中にたまることとする研究結果をまとめた。このたんぱく質が繊維状になって脳にできる老人斑が原因とする通説を覆す成果で、新薬開発につながると期待される。25日付の米神経内科学誌(電子版)に発表した。アルツハイマー病患者の脳には、しみのような老人斑がみられる。主成分のアミロイドベータは通常は分解されるが、高齢になるとうまく分解されないケースが出てくる。老人斑がたくさんできると神経細胞が破壊され、記憶障害などが起こると考えられてきた。(平成20年2月27日 日本経済新聞) 難治性疼痛に抗うつ薬有効 異常な痛みが続く慢性の病気で、治療法がなかった「神経因性疼痛」に、既存の抗うつ薬が有効であることが、美根和典福岡大教授(心身医学)や井上和秀九州大教授(神経薬理学)らの研究で明らかになった。神経因性疼痛は痛みの直接の原因がなくなった後も激痛が続き、患者数は世界で約1500万人。開発に時間もお金もかかる新薬ではなく、既存の薬による治療に道を開く成果として注目される。治療効果が確認された抗うつ薬は「パロキセチン」(商品名パキシル)。神経細胞から放出された神経伝達物質セロトニンが再び細胞に吸収されるのを妨げる「SSRI」というタイプの薬だ。神経因性疼痛の発症メカニズムは長年の謎だったが、井上教授は2003年、脊髄にあるミクログリアという細胞の表面で情報伝達にかかわるタンパク質「P2X4」が、発症に関与していることを明らかにした。P2X4の働きを抑える薬を探し、パロキセチンの効果を発見。 神経因性疼痛の状態にしたラットに投与すると痛みが大幅に軽減することを確かめた。(平成20年2月18日 中国新聞) 新型万能細胞がん化しにくく 京都大学の山中伸弥教授らは、あらゆる細胞や組織に成長できる新型万能細胞(iPS細胞)をマウスの肝臓や胃の細胞から作ることに成功した。皮膚の細胞をもとに作ったiPS細胞よりもがん化しにくいことが分かった。研究成果をヒトのiPS細胞作りに応用して、より安全なタイプを作製できれば、損傷した臓器や神経などを回復させる再生医療の臨床応用に近づく。iPS細胞を皮膚以外の細胞から作れることを示したのは初めて。(平成20年2月15日 日本経済新聞) HIV、昨年の感染、初の1000人超(10年で2.6倍、延べ1万人目前) 07年に国内で新たにエイズウイルス(HIV)に感染した人は1048人に上り、初めて1000人を超えたことが12日、厚生労働省エイズ動向委員会の集計(速報値)で明らかになった。10年間で約2.6倍になり、延べ感染者数も9392人と08年中に1万人を突破するのが確実になっている。新規感染者は5年連続の過去最多更新で、うち93%が男性。感染経路は同性間の性的接触が約7割、異性間接触が約2割、不明が約1割。年齢別では30代が全体の4割超、20代が約3割を占めるが、伸び率が高いのは40代で、7年間で61人から192人に増えた。厚労省は「感染が拡大しているのは事実で、今後は薬物注射の乱用なども警戒する必要がある」と分析している。一方、07年の新規のエイズ患者数は400人で、前年の406人から微減した。厚労省は保健所などでのHIV検査件数が前年より約4万件多い過去最高の21万4347件に達したことを理由に「検査で発症を防げているケースもある」とみている。(平成20年2月13日 毎日新聞) 家族いても生活援助OK 厚生労働省は、家族が同居していることを理由に、介護保険で自宅にヘルパーが訪問して家事を手伝う生活援助の利用をさせないケースが相次いでいることを受け、そうした運用をしないよう、都道府県に通知した。2006年度から要介護度が軽度の人の訪問介護利用が制限されたのに伴って、利用を原則1人暮らしなどに限る市町村もでてきたが、厚労省は家族の負担を軽減するという制度本来の趣旨とは異なるとしている。訪問介護には食事や入浴などの身体介護と家事をする生活援助がある。厚労省は、2000年度の制度導入時に、生活援助の利用は「家族が障害、疾病などで、利用者や家族が家事を行うことが困難な場合」とする基準を示した。その後も基準に変更はなかったが、06年度の制度改正以降、軽度者はなるべく自分で家事をするよう国が徹底したことで、この基準を根拠に給付条件を厳しくした市町村が増えたとみられる。(平成20年2月4日 中国新聞) ES細胞、赤血球になる細胞株作成 あらゆる臓器や組織に育つ能力を持つマウスの胚(はい)性幹細胞(ES細胞)から、赤血球のもとになる細胞株を作ることに、理化学研究所の研究チームが成功した。細胞株は試験管内で長期間増殖させることができ、赤血球を効率よく大量に作ることが可能。チームは近く、ヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った研究を始める予定で、成功すれば、献血に頼らず、感染症の心配のない輸血が実現する。骨髄液や臍の緒の血液に含まれる血液幹細胞から赤血球を作った例はあるが、効率の悪さが実用化への課題になっていた。理研バイオリソースセンター(茨城県つくば市)の中村幸夫・細胞材料開発室長(血液学)らは、8種類のマウスES細胞と、細胞増殖作用などがある6種類のたんぱく質を使って実験した。組み合わせを変えながら63回試み、三つの組み合わせで赤血球のもとになる赤血球前駆細胞株を作ることに成功した。この株を貧血のマウスに注射すると、マウスの体内で赤血球が増加し、症状を改善できることを確認した。がん化などの問題も起きていないという。中村室長は「一日も早い臨床応用を目指したい」と話している。(平成20年2月6日 毎日新聞) 腰痛治療、自己細胞で椎間板再生 東海大の研究チームは椎間板(ついかんばん)の再生を目指す腰痛の新治療法の臨床試験研究を今春から開始すると発表した。手術で取り出した椎間板の細胞を、骨髄中の幹細胞を使い体外で活性化させてから患者に戻す方法で、世界初の試みという。研究チームは「治癒効率を高め、患者の経済的な負担も少なくできるなど、社会的意義は大きい」としている。同大の持田譲治教授(整形外科学)らは94年から、椎間板の変形を遅らせる基礎研究に取り組み、これまで不要とされてきた椎間板の髄核に、髄核を取り囲む線維輪細胞を活性化させる効果があることを突き止めた。マウスやウサギを使った動物実験で、椎間板にこの細胞を移植すると変形を抑えることが分かった。しかし、髄核細胞はそのままでは活性が低く効果は不十分。そこで、この細胞を骨髄中に含まれる幹細胞と一緒に培養し、効率よく活性化させる方法も開発。ヒトの場合、骨髄中の幹細胞と一緒に培養すると、単独培養に比べ、1細胞あたりの活性の度合いが約5倍になるという。一方、マウスにヒトの髄核細胞を移植しても、がん化などの異常は起きなかった。研究チームは東海大医学部倫理委員会の承認を得たうえ、厚生労働省からの了承も受けている。臨床試験では、椎間板の患部を切除する従来の手術で摘出した椎間板から、髄核の細胞を分離。同時に骨盤から骨髄液も採取し、幹細胞を分離して、髄核細胞と一緒に培養する。活性化した髄核細胞を、摘出手術から1週間後、ある程度変形が進んだ椎間板内に移植する。対象患者は20歳以上30歳未満の10人で、実施後3年間経過観察するという。 《腰痛と椎間板》国内の腰痛患者は800万〜1000万人といわれる。このうち約半数が椎間板の変形が原因とされる。椎間板は、背骨の一つ一つの骨の間をつなぐ軟骨状の組織。皮の厚いまんじゅうのような構造で、中心部を髄核、周囲を線維輪と呼ぶ。刺激の積み重ねや加齢により細胞や組織が傷み、飛び出した髄核が神経を圧迫するなどして、痛みやしびれを引き起こす。これまで髄核は脊椎(せきつい)発生期の遺物で、成人後は不要と考えられていた。(平成20年2月4日 毎日新聞) 難病ALS、進行関与の細胞特定 全身の運動神経が侵される難病「筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)」の進行に、神経細胞のネットワーク作りに重要とされるグリア細胞のうちの2種類が関係していることを、理化学研究所などのチームが突き止めた。治療法の開発につながる可能性がある。理研脳科学総合研究センターの山中宏二・ユニットリーダーらは、特定の細胞から遺伝型のALSに関係する遺伝子変異を取り除けるモデルマウスを作った。このマウスを使い、グリア細胞のうち、神経細胞を支え養う働きがあるアストロサイトから、変異型遺伝子を取り除いた。すると病気の進行が大幅に遅れた。また、傷んだ神経細胞を修復する働きがあるというミクログリアが病巣で神経細胞に障害を与えていることもわかった。ALSの進行を遅らせる有効な治療法として、この二つのグリア細胞を標的とした幹細胞治療法や薬剤の開発が考えられる。(平成20年2月4日 朝日新聞) ES細胞、網膜細胞作成に高効率で成功 あらゆる細胞になる能力を持つヒトの胚(はい)性幹細胞(ES細胞)から、目の網膜細胞を高い効率で作り出すことに、理化学研究所などのグループが成功した。病気で失われた網膜細胞を体外で再生させて移植する再生医療の実現に、大きく近づく成果。今後は、できた細胞の機能を調べるとともに、京都大で開発され、拒絶反応の問題を回避できる「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」での応用を試みるという。光を感知する視細胞や、網膜に栄養を与える網膜色素上皮細胞が、20〜30%の効率で作れた。マウスで05年に成功した際は未知の成分を含む牛の血清などを使ったが、今回は安全性に問題のない2〜4種類の物質で成功させた。ヒトのES細胞の例は海外でわずかに報告されているが、数%の効率だった。日本に約3万人の患者がいる網膜色素変性症や、欧米で高齢者の失明原因の1位の加齢黄斑変性症は、視細胞が徐々に失われる病気で、有効な治療法はほとんど確立されていないという。理研発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の笹井芳樹グループディレクターは「ES細胞と性質が同じiPS細胞に応用できるので、国内の研究機関に積極的に技術移転したい」と話している。(平成20年2月4日 毎日新聞) インフルエンザ、欧州でタミフル「耐性」急増・日本流入の恐れも 今シーズンのインフルエンザで、スイスのロシュ社が製造する治療薬「タミフル」の効かない耐性ウイルスが欧州で急増している。ノルウェーなど北欧を中心に、高頻度で耐性が検出された。日本に入ってきた場合、最も一般的な治療薬であるタミフルを投与しても効果が期待できないため、専門家は危機感を強めている。今年は日本を含め、世界的にAソ連型(H1N1型)のインフルエンザが流行している。欧州の国際的な感染症の動向監視ネットワーク「ユーロサーベイランス」によると、ノルウェーではAソ連型ウイルスの70%に耐性が確認。ほかにもポルトガル(33%)、フィンランド(29%)、フランス(17%)など幅広い国々で、耐性ウイルスが高頻度で検出された。(平成20年2月3日 日本経済新聞) 他人の頭皮で毛髪再生 国循センターなど研究へ 美容外科手術などであまった他人の健全な頭皮で毛の生えやすい基盤をつくり、髪の毛が少ない人の頭髪をよみがえらせる再生医療の研究を、国立循環器病センター(大阪府吹田市)、神戸大学病院、大阪工業大のグループが始める。まず人の頭皮を利用した基盤づくりの共同研究をする。他人の細胞は、拒絶反応を引き起こす。拒絶反応を避けるため、国循センターがブタの心臓弁の再生で成功している脱細胞化処理法を用いる。これは、薬品を使わずに高い水圧をかけて組織の中にある細胞を壊し、洗い流して組織の「抜け殻」を移植するもの。新たにできる組織や臓器には患者自身の細胞が入り込み、拒絶反応を起こさないという。研究は、他人の頭皮をとりだし、1万気圧の水圧を約15分間かけて細胞を壊し除去する。残ったコラーゲンなどによる1センチ四方の基盤の性質を確認する。その後、臨床研究を検討し、基盤の上に毛根を包んでいる患者の毛包(もうほう)をつけ、患者に移植。毛根づくりの指令を出す毛乳頭(もうにゅうとう)細胞を患者からとりだして新たな頭皮に育った基盤に注射し、頭髪の再生を促す。(平成20年2月1日 朝日新聞) 米がん患者2%が「CTが原因」 コンピューター断層撮影法(CT)検査の急増に伴い、検査で放射線を浴びることが原因でがんになる人は米国で将来、がん全体の2%に達する、との試算がまとまった。米コロンビア大の研究チームが米医学誌に報告した。研究チームによると、1回のCT検査で2〜3回放射線を浴び、その放射線量は 30〜90ミリ・シーベルトに達する。これは胸部エックス線撮影の最大9000倍に上る。CT検査は使い勝手が良く、米国民がCT検査で放射線を浴びる回数は、1980年の300万回から2006年の6200万回へと大幅に増えた。この影響を調べるため、研究チームは、原爆の被爆者の発がんリスクと比較した。その結果、91〜96年にはCT検査による被ばくが、米国のがん発症者の原因の0.4%にとどまっていたが、将来は1.5〜2.0%に高まるという。研究チームは「特に子供は放射線でがんが引き起こされる危険性が高く、代替策を講じて、CT検査の回数を減らすべきだ」としている。CT検査の3分の1は不要とする研究もあり、必要のない検査を受けないよう訴えている。日本の場合、がんにかかる人の3.2%は、放射線診断による被ばくが原因と推定される、との報告が、英国オックスフォード大グループの国際調査で2004年にまとまっている。日本はCTの設置台数が多く、国民が受ける検査回数が、調査対象の15か国の平均に比べ1.8倍と多いことが背景となっている。放射線を浴びると、正常細胞を傷つけることにより、がんを引き起こすとされている。(平成20年1月27日 読売新聞) 抗がん剤がリウマチに効果 抗がん剤として開発された薬が、関節リウマチ治療に効果があることを東京医科歯科大の上阪等准教授らのチームが動物実験で確認した。関節の痛みの原因となっている炎症や、細胞の異常増殖を直接抑える画期的な薬として期待される。免疫の過剰な働きによって起こる関節リウマチの薬のほとんどは免疫力を抑える治療を目指していたが、患者の病気への抵抗力を低下させるという問題があった。この薬が実用化されれば、こうした副作用を避けられる可能性があるという。関節リウマチは、関節で「サイクリン依存性キナーゼ」という物質が活性化、滑膜細胞が異常に増殖するのが主な原因。(平成20年1月26日 中国新聞) ボツリヌス毒注射の副作用で16人が死亡 美容整形にも使われるボツリヌス菌毒素の注射による副作用で、9年間に16人が死亡したと、米消費者団体「パブリック・シチズン」が発表した。ボツリヌス毒は、神経を一時的にまひさせ、筋肉を弛緩させる。筋肉が異常に緊張する病気などの治療のほか、眉間のしわを取る美容整形にも使われる。同団体は、製薬会社から米食品医薬品局(FDA)への自発的な副作用報告を分析。まひの影響で飲食物が誤って気管へ入り、肺炎を起こすといった例が、1997年11月〜2006年12月に米国内で180件あり、16人が死亡していた。 死者のうち4人は少年だった。副作用は病気治療で多いが、しわ取りでも少なくとも1人が死んでいた。(平成20年1月26日 読売新聞) ステロイド薬と抗アレルギー薬の併用で花粉症に効果 英系製薬会社のグラクソ・スミスクラインは、同社が扱うステロイド薬と抗アレルギー薬の併用治療に関する調査結果を発表した。花粉症などアレルギー性鼻炎の患者を対象に実施した。83%の患者がくしゃみや鼻水などの症状が改善し、32%の患者は症状が治まった。花粉症シーズンを迎え、医師に併用治療を提案し処方の拡大を狙う。調査は2007年1月から5月まで、約2000人の花粉症などの患者を対象に実施した。患者にステロイド薬「フルナーゼ」と抗アレルギー薬「ジルテック」の両方を投与して、症状の改善の様子を4週間観察した。(平成20年1月24日 日経産業新聞) 「iPS細胞で心筋再生」 人間の皮膚から様々な細胞に変化できる万能細胞(iPS細胞)を作製した京都大の山中伸弥教授と、筋肉から作った細胞シートで重い心臓病の治療に成功した大阪大の澤芳樹教授が、iPS細胞を使った共同研究を始めることになった。世界初の二つの成果を組み合わせ、心筋の再生医療を目指す。一方、京都大は山中教授をトップとする「iPS細胞研究センター」の設置を正式に発表し再生医療の実現に向け、万能細胞研究が大きく動き出した。澤教授らは昨年、患者の足の筋肉の細胞をもとにシートを作製。心臓移植が必要だった患者の心臓の周囲に張り付け、心機能の回復に成功した。シートは心筋にはなっていないため、iPS細胞から変化させた心筋でシートを作り、治療に生かしたい考えだ。京大の研究センターは、昨年10月に開設された「物質―細胞統合システム拠点」の一部門。教授や研究員、技術職員ら10〜20人でつくる「専任チーム」と、京大再生医科学研究所などから参画する「兼任チーム」数チームで構成される。当面は、京都市内にある民間研究施設「京都リサーチパーク」内の研究室を借り、2年後をめどに専用研究棟を建設する。iPS細胞の研究は、国内の研究者を結集したコンソーシアム(共同体)を設け、オールジャパン体制で取り組む予定で、京大のセンターがその中心になる。山中教授はこの日の記者会見で「iPS研究は10年、20年と息の長い取り組みが必要なので、若い研究者を積極的に育てたい」と語った。(平成20年1月22日 読売新聞) コーヒー、1日2杯以上で、流産の危険2倍 1日に2杯以上コーヒーを飲む妊婦は飲まない人と比べ、流産の危険が2倍になる。そんな調査結果が米国最大の会員制健康医療団体「カイザー・パーマネント」の研究チームによって明らかになった。米産婦人科ジャーナルに掲載された論文によると、研究チームは1996年10月から98年10月にかけ、同州サンフランシスコの1063人の妊婦を調査。その結果、1日にコーヒー2杯分に相当する200ミリグラムのカフェインを摂取した妊婦はカフェインを摂取ない妊婦と比べ、流産する割合が2倍に高まった。コーヒーだけでなく紅茶などを通じ、カフェインを摂取した妊婦も流産の危険が高かったことから、研究チームはカフェインが原因物質と結論付けた。カフェイン摂取は胎盤の血流減少などを引き起こし、これらが胎児に悪影響を与える可能性があるという。(平成20年1月23日 毎日新聞) エボラウイルスを無毒化 感染すると致死率が50−90%と高く、ワクチンも治療薬もないエボラ出血熱の原因であるエボラウイルスを遺伝子操作で無毒化し、実験用の特殊な人工細胞の中でしか増えないようにすることに、東京大医科学研究所の河岡義裕教授、海老原秀喜助教らが世界で初めて成功し、米科学アカデミー紀要に発表した。ウイルスの危険性が研究のネックだったが、この無毒化ウイルスを使えば、治療薬探しなどの研究が進むと期待される。 このウイルスをワクチンとして使う道も考えられるという。チームは、遺伝子からウイルスを合成する「リバースジェネティクス」という手法を使い、エボラウイルスが持つ8個の遺伝子のうち、増殖に欠かせない「VP30」という遺伝子だけを取り除いたウイルスを作製した。できたウイルスは、通常の細胞の中では増えず、毒性を発揮しないが、VP30遺伝子を組み込んだサルの細胞の中でだけ増殖。それ以外の見た目や性質は、本物のエボラウイルスと変わらず、治療薬探しなどの実験に使えることを確認した。(平成20年1月22日 中国新聞) 新型インフルエンザ対策ワクチン 新型インフルエンザの流行初期に接種する「プレパンデミックワクチン」について、厚生労働省は、備蓄計画を現在の2000万人分から3000万人分へ拡大する方針を決めた。06年度にベトナムとインドネシアのウイルス株の計1000万人分を製造(予算45億円)。07年度は、中国のウイルス株の1000万人分を3月までに製造(同43億円)し終える予定だ。新たに追加するウイルス株の種類や製造時期は未定だが、厚労省はウイルス株を多様化させる考えという。厚労省の推計では、新型インフルエンザが世界的に大流行した場合、国内で4人に1人が感染し、最大で約2500万人が医療機関を受診し、約64万人が死亡する、とされる。(平成20年1月22日 朝日新聞) ES細胞で筋ジス治療 筋肉の力が徐々に失われる遺伝性疾患の筋ジストロフィーの症状を示すマウスに、遺伝子操作した胚性幹細胞(ES細胞)を注射して、筋肉の機能を一部回復させることに成功したと、米テキサス大の研究チームが米医学誌ネイチャーメディシン電子版に発表した。筋ジストロフィーのマウスを、あらゆる細胞に分化する能力を持つES細胞の移植で治療したのは初めて。遺伝子を操作するため、すぐには人への応用はできないという。 筋ジストロフィーのうち患者の多いデュシェンヌ型は、筋細胞の形を保つタンパク質「ジストロフィン」が遺伝子変異のため作られず、筋力の低下や筋委縮が起きる。研究チームは、マウスのES細胞を培養し、筋細胞への分化を促進する遺伝子「Pax3」を人工的に導入。筋細胞になるよう分化し始めたものだけを取り出した。これを病気のマウスの大動脈に注射したところ、1カ月後には筋細胞になって筋肉に定着し、ジストロフィンも作られていた。通常のマウスほど強くないが、ある程度筋力が回復したという。ES細胞を注入する治療では、無限に増殖するがん化が懸念されるが、筋細胞に分化するものだけを厳選した結果、3カ月後にもがんは起きなかったとしている。(平成20年1月21日 中国新聞) 胆石の病歴、胆道がんになる確率2.5倍 胆石を患ったことがある人は、そうでない人に比べて胆道がんになる危険性が2〜3倍に高まることが、厚生労働省の研究班の大規模調査で分かった。また、胆道がんの一種の肝外胆管がんは、体格指数(BMI)が27以上の人は、23未満の人に比べて1.8倍も発症の恐れが高いなど、太っているほど危険性が高まることも分かった。BMIは体重を身長で2回割り算して算出する。調査は、当初40〜69歳だった秋田、茨城県などの男女10万人を10年以上にわたり追跡調査。この間に235人が胆道がんと診断され、内訳は胆のうがんが93人、肝外胆管がんが142人だった。こうした患者と、胆石の病歴、肥満などとの関連を調べたところ、胆石の病歴を持つ人は、2.5倍ほど胆道がんになる確率が高く、特に女性では3.2倍高まることが判明。胆のうがんは3.1倍、肝外胆管がんは2.1倍、それぞれ危険性が高まっていた。胆石が胆道がんになる危険性を高める一因だという指摘は以前からあったが、大規模調査で確かめたのは初めて。(平成20年1月11日 読売新聞) 万能細胞「お分けします」 理化学研究所バイオリソースセンターは3月から、京都大学の山中伸弥教授のグループがマウスの皮膚細胞から世界で初めて作製した万能細胞(マウスiPS細胞)を希望する研究者に配布する事業を始める。iPS細胞を多くの研究者に利用してもらうことで、再生医療などの研究を加速させるのが狙い。iPS細胞は、さまざまな臓器・組織の細胞に変化する万能細胞の一種。山中教授らは人間でも同様にヒトiPS細胞を作製しているが、受精卵を使わず作製できることから世界的に注目されている。特許取得の手続きも済んだことから、細胞バンク事業に実績のある同センターは京大から依頼を受けて、希望する国内外の研究者に提供することにした。 今週にもiPS細胞の培養を開始し、3月から提供を始める。費用は約100万個の細胞が入った試験管1本で実費1万2000円。提供を受けた研究者が論文を発表する場合は、京大との共同研究になる。同センターはヒトiPS細胞についても4月以降配布する予定。(平成20年1月8日 読売新聞) ピロリ菌から発がんたんぱく質 人の胃にすみ着くピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)がつくるたんぱく質にがんを引き起こす働きのあることを、北海道大遺伝子病制御研究所の畠山昌則教授らのグループがマウスの実験で明らかにした。今週の米科学アカデミー紀要電子版に発表する。胃がんなどを起こす仕組みの解明につながる成果だ。ピロリ菌が胃の粘膜の細胞にくっつくとCag(キャグ)Aというたんぱく質を細胞内に打ち込むことが知られている。畠山さんらはCagAを作るピロリ菌の遺伝子を取り出してマウスの受精卵に組み込み、全身の細胞にCagAが入るとどうなるかを調べた。すると、約200匹のマウスの半数以上は生後3カ月までに胃の粘膜の細胞が異常増殖して胃壁が厚くなり、その後約20匹で胃にポリープができた。さらに1年半以内に2匹が胃がん、4匹が小腸がんを発症。白血病になったマウスも17匹いた。これまでの細胞レベルでの研究で、CagAが細胞内で別のSHP-2というたんぱく質と結びつくと細胞のがん化が起きることを突き止めていたため、SHP-2と結合しないように細工したCagAをつくらせてみると、マウスはがんにならなかったという。畠山さんは「CagAががんを起こすことが、個体レベルで証明できた。将来、CagAとSHP-2との相互作用を妨げる薬の開発ができるかもしれない」という。(平成20年1月8日 朝日新聞) |
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