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治験で子どもに接種へ 新型インフル備蓄ワクチン 厚生労働省は16日、新型インフルエンザ対策として鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)から製造し、国家備蓄しているワクチンを、子どもに接種する臨床試験を今月中に始める方針を明らかにした。「プレパンデミックワクチン」と呼ばれる備蓄ワクチンは、大人のみを対象とした臨床試験で承認されたため、新たに子どもについても用法、用量を確認するのが目的。通常のインフルエンザワクチンでも大人と子どもでは用量が違う。厚労省によると、備蓄ワクチンの承認審査の段階でも、子どもについて情報収集の必要性が指摘されていた。計画によると、治験は医師主導で実施し、今年12月までに、北里研究所と阪大微生物病研究会が製造したワクチンを、6ヵ月以上20歳未満の120人に接種する。(平成20年4月17日 中国新聞) 小児のインフルエンザ菌、6割が抗生物質効かず 小児の髄膜炎や中耳炎の原因となるインフルエンザ菌の6割は、抗生物質の効かない耐性菌であることが、北里大北里生命科学研究所の砂川慶介教授らの全国調査でわかった。髄膜炎に関する調査は、全国約260の国公立病院を対象に2年ごとに実施しており、最新の2006年のデータでは、小児の髄膜炎患者から検出されたインフルエンザ菌のうち60%が耐性菌だった。また、27病院でつくる小児科領域耐性菌研究会が2004年、中耳炎や肺炎の原因となるインフルエンザ菌を小児患者から採取して調べたところ、やはり耐性菌が60%にのぼった。2000〜01年の前回調査に比べて倍増し、子供の中耳炎が治りにくくなっていることを示す形となった。耐性菌の広がりは、医療現場で風邪などに安易に抗生物質が多用されてきたことなどが背景とみられる。砂川教授は「抗生物質を適正に使うことや、髄膜炎を予防するワクチンの普及が必要だ」と話している。(平成20年3月21日 読売新聞) インフルエンザ、欧州でタミフル「耐性」急増・日本流入の恐れも 今シーズンのインフルエンザで、スイスのロシュ社が製造する治療薬「タミフル」の効かない耐性ウイルスが欧州で急増している。ノルウェーなど北欧を中心に、高頻度で耐性が検出された。日本に入ってきた場合、最も一般的な治療薬であるタミフルを投与しても効果が期待できないため、専門家は危機感を強めている。今年は日本を含め、世界的にAソ連型(H1N1型)のインフルエンザが流行している。欧州の国際的な感染症の動向監視ネットワーク「ユーロサーベイランス」によると、ノルウェーではAソ連型ウイルスの70%に耐性が確認。ほかにもポルトガル(33%)、フィンランド(29%)、フランス(17%)など幅広い国々で、耐性ウイルスが高頻度で検出された。(平成20年2月3日 日本経済新聞) 新型インフルエンザ対策ワクチン 新型インフルエンザの流行初期に接種する「プレパンデミックワクチン」について、厚生労働省は、備蓄計画を現在の2000万人分から3000万人分へ拡大する方針を決めた。06年度にベトナムとインドネシアのウイルス株の計1000万人分を製造(予算45億円)。07年度は、中国のウイルス株の1000万人分を3月までに製造(同43億円)し終える予定だ。新たに追加するウイルス株の種類や製造時期は未定だが、厚労省はウイルス株を多様化させる考えという。厚労省の推計では、新型インフルエンザが世界的に大流行した場合、国内で4人に1人が感染し、最大で約2500万人が医療機関を受診し、約64万人が死亡する、とされる。(平成20年1月22日 朝日新聞) 注射より効く「鼻」ワクチン 鼻粘膜に噴霧するだけで、インフルエンザの感染を予防できる経鼻インフルエンザワクチンを国立感染症研究所が開発した。動物実験では、皮下に注射する現在のワクチンより効果が高いことが確認され、新型インフルエンザの予防にも威力を発揮することが期待される。感染研は3年以内に、国内初の臨床試験開始を目指している。注射型ワクチンは、主に血中の免疫物質を増強するが、気道粘膜では免疫が増強されないため、ウイルス自体の感染は防げない弱点があった。その点、経鼻ワクチンは、直接、粘膜に噴霧するため、ウイルスの感染を防ぐ効果がある。しかし、ワクチンの原料となるウイルスの成分だけでは、十分な免疫を引き出すことができなかった。同研究所感染病理部の長谷川秀樹室長らは、ウイルス成分に加え、人工的に作ったRNA(リボ核酸)の2本鎖を添加したワクチンを試作。RNAの2本鎖は、ウイルス感染のシグナルになり、体内に入ると、免疫を増強する働きがある。強毒型のウイルス(H5N1型)の経鼻と注射型ワクチンをマウスに接種し、ウイルスを感染させたところ、注射型に比べ、経鼻ワクチンを接種したマウスの生存率は平均して約2倍高かった。また、経鼻ワクチンは、注射型と異なり、様々なウイルス株に効果があることがわかった。(平成19年6月30日 読売新聞) 暖冬影響? インフルエンザ流行に遅れ 暖冬の影響なのだろうか? インフルエンザの全国的流行の始まりが今冬、例年に比べて遅いことが国立感染症研究所のまとめで分かった。例年は12月の中〜下旬に患者の報告数が急増するが、今シーズンは1月中旬に入っても少ないままだ。ただし油断は禁物。同研究所感染症研究官は「患者報告数は増加傾向にある。流行は近づいている」と指摘する。予防のため、手洗いやうがいの励行を心掛けたい。インフルエンザは、国内で毎年1000万人前後がかかるとされる。38度以上の高熱や頭痛のほか、倦怠感、関節痛、筋肉痛などの全身症状が突然現れるのが特徴だ。現時点では、全国的流行の指標となる1・0人に達していない。だが、時期の遅れは必ずしも流行規模の縮小に直結しない。平成16〜17年のシーズンは、17年1月17日からの1週間が1カ所当たり2・81人で初めて1・0人を超え、流行期間が長く、最終的な推定患者数は約1770万人と過去10年で最大の流行となった。(平成19年1月25日産経新聞 注射嫌いの子も大丈夫、鼻からワクチン 注射が嫌いな子どもには鼻にひと吹き。東京大学医科学研究所の清野宏教授らがインフルエンザなどのワクチンを鼻から簡単に投与できる技術を開発した。液を鼻の中に吹きつけたり垂らしたりするだけで済む。動物実験に成功、5年後の実用化を目指す。一般にワクチンは注射でないと病気の発症を抑える免疫の抗体が十分できないため、他の投与法は難しい。新技術は、抗体ができにくい半面、副作用の心配が少ない利点がある不活化ワクチンというタイプで可能にしたのが特徴だ。(平成18年9月22日 日本経済新聞) 新型インフルエンザ対策 新型インフルエンザ出現に備えて、国立感染症研究所と国内のワクチンメーカー4社は、人に感染した鳥インフルエンザウイルス(H5N1)をもとにしたワクチンの臨床試験を月内にも始める。新型インフルエンザが発生してからでないと、新型ウイルスをもとにしたワクチンは製造できない。感染研では、鳥インフルエンザワクチンでも、効果はある程度期待できるとみており、国の新型インフルエンザ対策の行動計画に基づいて、緊急時には医療関係者などに優先的に接種できるよう備蓄を進める。順調に進めば、来年、国の製造承認が出る。ワクチンの製造設備は、通常のインフルエンザワクチンを生産する4月〜9月は使えないため、メーカーは承認に先行して、秋から備蓄用ワクチンの製造準備に入る。インフルエンザウイルスは変異しやすいため、備蓄用ワクチンのウイルスは、臨床試験で使うベトナムのウイルスと型は同じH5N1でも、より新しいインドネシアのウイルスを使う予定だ。新型インフルエンザ用ワクチンは、新型が出現してから接種できるまでに1年はかかるとされ、流行の第1波には間に合わず、第2波以降の対策に使われる。(平成18年1月29日 読売新聞) 鳥インフルエンザワクチン開発 アジアや欧州で猛威をふるっている鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)がニワトリやマウスに感染するのを100%阻止する新型ワクチンを米ピッツバーグ大の研究グループが開発した。 今後は人間でも有効かどうかを臨床試験で確かめる方針だ。ピッツバーグ大学医学部のアンドレア・ガンボット助教授らは、鳥インフルエンザウイルスの表面を覆うたんぱく質の遺伝子を風邪の原因ウイルスであるアデノウイルスの遺伝子に人工的に組み込むことに成功した。 こうして作った改造ウイルスは動物や人間の体内に入っても増殖する力はない。 しかし体内の免疫細胞はウイルス表面に現れた鳥インフルエンザたんぱく質を認識して、これを攻撃する抗体を作ることが可能になる。 つまり改造ウイルスがワクチンとしての役割を果たすことになる。 ニワトリやマウスでの動物実験では、ウイルスの感染をほぼ100%食い止めたという。(平成18年1月28日 日本経済新聞) 新型インフルに備え、ウイルス1600種公開 新型インフルエンザの発生に備え、理化学研究所は約1600種のインフルエンザウイルスのデータベースを作り、インターネットで公開した。ウイルス増殖に必要なたんぱく質の立体構造を解析したもので、その形から鍵穴をふさぐカギのような化合物が見つかれば、新薬開発につながる。理研は「国内外の製薬会社、研究者に使ってもらい、治療薬の開発を促したい」という。たんぱく質の立体構造は、米国立保健研究所(NIH)に登録されているインフルエンザウイルスの情報をもとにコンピューターで予測、解析した。05年にベトナムで死者が出たH5N1型の鳥インフルエンザウイルスや過去の人インフルエンザウイルス、その変異体などが含まれている。理研の横山茂之さんは「タミフルなど既存の治療薬が効かないウイルスも出ており、ほかの治療薬の開発を急ぐ必要がある」という。(平成18年1月21日 朝日新聞) 薬剤耐性、インフルエンザ治療薬2種を使用中止 米疾病対策センター(CDC)は14日、現在米国で流行中のインフルエンザ(H3N2型)に対し、2種の治療薬「アマンタジン」「リマンタジン」がほとんど無効と分かったとして、医師らに処方しないよう呼び掛けた。CDCによると、検査したウイルスの91%が二つの薬に耐性を示した。両薬への耐性ウイルスの割合は前年の11%から急増したという。日本で広く使われている「タミフル」や、「リレンザ」は有効だとしている。アマンタジンは比較的安価なことから発展途上国などで多く使われており、日本でも承認されている。(平成18年1月16日 毎日新聞) 新型インフルエンザ、満員電車の通勤が感染加速 新型インフルエンザが出現した場合、満員電車での通勤が感染の広がりを速くし、患者数も増やすとのシミュレーション結果を11日、東京大生産技術研究所と国立感染症研究所の研究者が共同で発表した。通勤電車の運行を停止すれば、感染者数が3割程度減るとの結果も出ており、発生時の対策をどうすべきかの参考になりそうだ。新型インフルエンザの広がりについては、多くのシミュレーションがあるが、通勤の影響を調べたのは初めてという。合原一幸・東大教授らは、国勢調査結果に合わせ、満員電車で通勤する会社員や、学校へ通う子供などが住む、人口約80万人の都市を想定。新型インフルエンザは、通勤電車内と職場、学校、家庭などで他人にうつると仮定し、感染が広がる日数や患者数などを試算した。その結果、通勤電車の影響を考えなければ、最初の患者が出てから1日あたりの患者数が最大となるまでには約50日かかり、延べ患者数は四十数万人になると推計された。ところが、通勤1回で感染する確率を、仮に「10万分の5」と見積もると、感染は加速して、1日あたりの患者数は十数日でピークに達し、延べ患者数は50数万人に増えた。患者数が人口の1%に達した時に満員電車の運行を禁じると、ピークまでの日数は変わらないが患者数は30数万人まで減るとの結果も出た。感染拡大の期間が長いほど余裕を持って対策がとれるため、期間の推定は重要だとされる。合原教授は「電車の運行停止は実現できないかもしれないが、今回はそうした政策判断のための基礎資料を示した。時差通勤や、電車内の換気の改善などでも一定の効果は出ると思う」と話している。新型インフルエンザに関し厚生労働省は、最悪の場合、国民の25%が感染し、1300万人から2500万人が医療機関で受診すると予測している。(平成18年1月11日 毎日新聞) 77人過去に感染? 茨城、埼玉の鳥インフルエンザ 高病原性鳥インフルエンザ問題で、厚生労働省は10日、茨城、埼玉両県の養鶏場の従業員ら計77人が過去に感染していた可能性があると発表した。毒性の弱いH5N2型で発症者はいなかった。体内にウイルスが残っている段階で通常のインフルエンザウイルスと混じり合うと、新型インフルエンザに変わる可能性も否定できないため、厚労省は「通常のインフルエンザにかかった場合は養鶏場での作業を避けてほしい」と呼びかけている。中国やカンボジアなど海外では毒性の強いH5N1型で鶏から人に鳥インフルエンザが感染した例が相次いでいるが、毒性が弱く発症しにくいH5N2型については、実態はあまり知られていなかった。国立感染症研究所は「H5N2型の人への感染の可能性が報告されたのは世界で初めて」としている。鶏の感染が確認されている茨城と埼玉の養鶏場34カ所の従業員ら353人の血液を採取し、鶏との接触などがない茨城県職員31人と比べたところ、茨城の従業員ら70人、埼玉の従業員7人は血液中の抗体値が高く出た。ただ、ウイルスは検出されておらず、感染を断定することはできないという。厚労省では今回の調査結果から、H5N2型は人に感染しても、健康上の影響は小さいとみている。(平成18年1月10日 朝日新聞) ビフィズス菌、インフルエンザ予防に効く! ビフィズス菌を多めに取る高齢者は、免疫機能が高まり、インフルエンザウイルスに感染しにくいという研究結果を、森永乳業栄養科学研究所(神奈川県座間市)がまとめた。今年3月に開かれる日本農芸化学会大会で発表する。茨城県内の介護老人保健施設に入所している高齢者27人(平均年齢86歳)に2004年11月から毎日、ビフィズス菌の一種「BB536」を1000億個含む粉末(2グラム)を飲んでもらった。インフルエンザ流行のピークが過ぎる昨年3月末まで飲み続けたグループ(13人)には、飲む前に比べて、白血球の殺菌機能が高まる傾向が見られ、インフルエンザ発症者がいなかった。一方、1か月半で飲むのをやめたグループでは、14人中5人が発症した。光岡知足、東大名誉教授は「免疫力の下がった高齢者にとって、インフルエンザにかかりにくくなる効果が期待できる。ただ即効性はないので、流行の1か月以上前から飲み続けることが望ましい」と話している。(平成18年1月4日 読売新聞) 新型インフルエンザに対する行動計画 東京都は26日、世界規模での流行が懸念される新型インフルエンザに対する行動計画をまとめた。予測を超えた大流行の際には、公立学校の体育館などを医療施設に転用することなどを盛り込んだ。都総務局などによると、都内では最大で約380万人が感染し、約1万4000人が死亡すると予測。国は人口の25%が感染すると想定しているが、都は人口集中を考慮し、約30%の感染を想定した。この予測を超えて大規模に流行した場合、知事が緊急事態宣言を出し、公共交通機関の運行縮小や野球場、劇場など集客施設でのイベント自粛を要請する。病床が不足する事態に対処するため、公立学校の体育館などの施設を臨時医療施設として使い、外来診療や入院患者の受け入れを行う。(平成17年12月26日毎日新聞) 鶏肉や卵の加熱「70度以上で」 国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)は5日、鶏肉や卵は70度以上の高温で十分火を通せば鳥インフルエンザに感染する心配なく食べられるとの声明を発表した。 感染が広がっている地域で生産された家きんの肉や卵を生や半熟で食べないよう警告している。人間に感染する危険が高いのは死んだ鶏を始末したり鶏を食肉処理する時。 感染した鶏の肉や卵が市場に出回り、消費者が危険にさらされる可能性は小さいが、十分加熱して調理すれば、さらに安全性は高まるとしている。(平成17年12月10日 日本経済新聞) インフルエンザ、今冬はA型流行か 今年も各地でインフルエンザの患者が出始めた。昨シーズンにB型が大流行したため、今シーズンは免疫を持つ人が増えたB型より、A型が流行の主流になるとみられる。なかでもA香港型は短期間で多くの人がかかる可能性があり、専門家は注意を呼びかける。東京都は、「今冬はA型(Aソ連、A香港)を中心とした流行となる」とのインフルエンザ流行予想を公表している。昨シーズンに全国で分離されたウイルスをみると、例年半分以上を占めるA型が少なく、B型が56%を占めた。B型が半分を超えたのは8シーズンぶりだった。この結果、今年は例年になくB型の免疫を持つ人が多いとみられている。都による免疫の有無を調べる検査でも、過去15年でB型の抗体保有率が2番目に高く、A型は平年並みだ。国立感染症研究所感染症情報センターの安井良則主任研究官も「過去20年間、B型が2年連続で大流行を起こしたことはない」としている。インフルエンザウイルスは表面のたんぱく質が少しずつ変異するため、ワクチン用に次シーズンに流行しそうな株を同研究所が予想し、厚生労働省が決めている。今冬は、Aソ連型の「ニューカレドニア株」、A香港型の「ニューヨーク株」、B型の「上海株」の3種類だ。A型の中でも香港型が流行すると、若い元気な人もかかり、重症化する可能性がある。特に高齢者や小さい子どもは流行前にワクチンを受けておいてほしい。 不要な外出を避け、うがい、手洗いや規則正しい生活も忘れずに(平成17年12月2日 朝日新聞) 新型インフルエンザ、あらゆる型への対応目指す 科学技術振興機構は29日、新型インフルエンザの拡大に備え、あらゆるタイプのウイルス診断薬やワクチン開発を進めるための体制づくりを支援することを決めた。3年間に約1億円を投じ、この問題で世界の中核施設になっている北海道大人獣共通感染症リサーチセンターが世界に先駆けて完成を目指す。インフルエンザウイルスは、表面に分布する2種類の分子の型から144通りのタイプが存在する。このため、個々のウイルスに対応したワクチン開発が急がれている。センター長を務める喜田宏・北大教授は約30年前から、米アラスカやモンゴルなど世界中からウイルスを採取してきたほか、実験室でも作ってきた。その結果、ウイルスの型全体の約9割が保存され、世界保健機関などは同センターをウイルス対策の中核的な研究機関に位置づけている。今後、研究チームは保存されたウイルスを活用して、発病を防ぐワクチン開発のほか、ウイルスに感染した細胞が死んでしまうのを防ぐ薬剤開発にも取り組む。(平成11月30日 朝日新聞) 子供襲うインフルエンザ脳症、「疑い」も早期治療を 乳幼児に多く、死亡率が高いインフルエンザ脳症について、医師向けの初の診断・治療指針を厚生労働省の研究班(主任研究者=森島恒雄・岡山大教授)が作った。発症1〜2日目に治療を始めれば、死亡や重度の後遺症を大幅に減らせるとして、疑わしい段階でも抗ウイルス薬「タミフル」の服用やステロイドの短期集中投与をすぐに始めることなどが柱だ。家族にとっても対応などの参考になりそうだ。初期対応、診断指針、治療指針などの5項目で構成。初期対応では、明らかな意識障害がある場合、かかりつけ医らは救急対応ができる大規模な医療機関へ患者をすぐに紹介する、とした。けいれんや異常言動・行動は、脳症以外でも起きる。そこで、けいれんの持続時間が長く、左右非対称の部位で起きる場合は、大規模病院へすぐに紹介する。短時間で単純なけいれんの場合は、様子を1時間程度は見て、意識障害がないと確認できなければ紹介する。異常言動・行動が断続的でも1時間以上続く場合は同じだ。親が子どもをすぐに高度な医療機関へ連れて行くべきかの目安にもなる。 送られた医療機関は意識障害の程度や頭部CT検査で診断。インフルエンザ脳症と確定できない疑い例でも、治療を始める。体温が41度以上、下痢がある、症状を悪化させる一部の解熱剤を使用した、などの場合は特に注意が必要としている。治療では、ウイルスの増殖を抑えるタミフルを投与し、炎症を抑えるステロイド薬「メチルプレドニゾロン」の短期集中投与などを実施する。約200人を対象にした調査では、ステロイド投与は発症3日目以降に開始しても約8割の患者が死亡または重度後遺症を残してしまうが、1日目に始めれば、ほぼゼロに、2日目なら半分程度になる。タミフルは服用後の異常行動による死亡例が報告されているが、森島さんは「因果関係がはっきりしない。異常行動は脳症でよく見られる症状でもあり、タミフルが重症化を防ぐと期待される」とする。(平成17年11月25日 朝日新聞) インフルエンザのウイルス除去装置 三洋電機と群馬県環境衛生研究所は空気中のインフルエンザウイルスを除去できるフィルターユニットを開発した。 電解水を滴らせたハチの巣構造に似たフィルターに空気を通過させてウイルスを吸着し殺滅する仕組み。 インフルエンザの大流行が心配される中で「なるべく今冬中に実用化したい」(三洋)という。 ユニットは水道水を電気分解し電解次亜塩素酸を発生。この電解水をフィルターの上から滴らせ、空気中に含まれるウイルスをとらえる。 フィルターの断面の一辺が2―3ミリメートルの三角穴を多数組み合わせたハチの巣構造に似た仕組みにし空気と接する表面積を広げた。 県衛生研究所によるインフルエンザウイルスの除去試験では、99%の除去を確認したという。 衛生研はスギ花粉などにも有効とみている。三洋がユニットを開発、衛生研が効果測定などで協力した。 大規模空間の浄化に活用できるのが最大の特徴という。学校の教室や病院などでの活用を想定している。(平成17年11月24日 日経産業新聞) インフルエンザ予防接種後の副作用 昨年度、インフルエンザの予防接種を受けた後に、発熱やショック症状、肝機能障害などの副作用とみられる症状を起こした人は113人に上ることが、厚生労働省の調べでわかった。113人のうち、92人は回復したが、60〜70歳代の4人(男女各2人)が予防接種後に心肺停止や、肝不全などで死亡。これら死亡例について、同省の専門家検討会は「インフルエンザワクチンの影響が強く疑われる症例はなかった」としている。調査は、全国の医療機関などから寄せられた報告をまとめたもので、最も多かった症状は発熱の22人。次いでショック症状(17人)、肝機能障害(12人)、浮腫(ふしゅ)(11人)、ぜんそくなど呼吸器症状(11人)、注射部位のはれ(10人)、発疹(ほっしん)(8人)の順。年齢層では、10歳未満と70歳代のそれぞれ21人が最も多かった。接種後、精神の発達の遅れや脊髄(せきずい)炎などの後遺症が残った人もそれぞれ1人いたが、情報不足からワクチンとの因果関係は特定できなかった。前年度は162人に副作用とみられる症状が出て、7人の死亡報告があったが、死亡例についてワクチンの影響が強く疑われるものはなかった。昨年度のインフルエンザワクチンの出荷量は約1600万本(成人で約3200万人分)。(平成17年10月24日 読売新聞) インフルエンザ薬「アマンタジン」、耐性ウイルス急増 人で毎年流行するインフルエンザウイルスが、比較的安価な治療薬「アマンタジン」に対する耐性を急速に獲得、中国や香港で耐性ウイルスの割合が約7割に及ぶ深刻な事態になっていると、米疾病対策センター(CDC)のチームが21日、英医学誌ランセット(電子版)に発表した。 アマンタジンへの耐性は、アジアで流行中の鳥インフルエンザ(H5N1型)ウイルスでも報告されていた。人と鳥のウイルスが交雑し、世界的に大流行する新型インフルエンザが出現する事態が懸念されているが、CDCは今回の人のウイルスでの耐性拡大を受け「この薬は新型ウイルスの治療にはもう役に立たないだろう」と警告。世界的な新型インフルエンザ対策にも影響しそうだ。(平成17年9月22日 日本経済新聞) アマンタジン、鶏に乱用、薬が人に無効 中国が、鶏に鳥インフルエンザが流行するのを抑えるため、人の治療に使う薬「アマンタジン」を鶏に大量に与えていたことが分かったと、18日付の米紙ワシントン・ポストが伝えた。同紙は専門家の話として、この結果、ウイルスが薬に対する耐性を獲得し、人にはもう効かない恐れが強いとしている。薬を製造した中国の製薬企業幹部の証言などに基づく報道。人の抗ウイルス薬を家畜に流用することは、耐性の危険を高める恐れがあり、国際指針でも認められていないが、中国政府は鶏への使用を許可していたといい、倫理的な批判を浴びそうだ。アマンタジンは人のインフルエンザ治療に使える数少ない抗ウイルス薬。現在、鳥インフルエンザウイルスが変異して人で大流行する事態が懸念されているが、その際に有効なはずの薬が乱用のため役に立たなくなってしまった可能性がなる。同紙によると、中国は昨年2月に初めて鳥インフルエンザの発生を公表したが、実際は1990年代後半から鶏で流行。発生のたびに農家が地元企業から購入したアマンタジンを飲み水に混ぜるなどして鶏に与えていた。現在、アジアで流行中の鳥インフルエンザに感染した人は100人以上に上り、この人たちにアマンタジンが効かないことが分かっていたが、理由は不明だった。アマンタジンが無効なため、高価で製造量にも限りがある別の薬しか使えず、近い時期に人で大流行が起きた場合、治療薬の不足が心配されている。(平成17年6月18日 産経新聞) インフルエンザ脳症、今冬の報告36人 過去10年で最大規模となった今冬のインフルエンザの流行期間中、インフルエンザ脳症と診断された患者の報告数は全国で36人だったことが、国立感染症研究所の集計でわかった。今シーズン、インフルエンザ脳症の発生が医療機関から報告されたのは昨年10月から今年3月までで、届け出の時点で36人中8人が死亡していた。インフルエンザの流行が本格化した2月以降に33人と集中しており、ウイルス別では、大流行したB型が24人、A型と不明が6人ずつ。年齢別では、10歳未満が27人、10歳代が3人。60歳以上の高齢者も、4人の報告があった。今冬は、インフルエンザ脳症を含む急性脳症が、すべて届け出報告の対象となってから最初の流行シーズン。過去の厚生労働省研究班の調査では、例年100〜300人が発症したと推計される。今回の集計では、患者の届け出があった自治体は17都府県にとどまり、調査の精度を高めることも課題となっている。(平成17年5月9日 読売新聞) 鳥インフルエンザでカラス同士の感染を確認 毒性の強い鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)がカラス同士で感染することを、動物衛生研究所(茨城県つくば市)の塚本健司・病原ウイルス研究室長らが実験で確認した。塚本室長は「カラスが感染を広げる可能性があることがわかった。防鳥ネットなどで鶏舎にカラスを近づけない対策が必要」と話す。 実験では、山口県で昨年1月に検出されたH5N1型の鳥インフルエンザウイルスをカラス4羽に飲ませ、感染していない2羽とともに2週間飼育した。ウイルスを与えた4羽は感染し、うち1羽は発病した。一緒に飼育した2羽も感染が確認された。 6羽とも死ななかったが、気管や肛門(こうもん)から、別のカラスやニワトリに感染するのに十分なウイルスが検出された。 昨年3月に高病原性の鳥インフルエンザが発生した京都府の養鶏場の周辺では、死亡したカラスからウイルスが見つかっていた。(平成17年5月4日 朝日新聞) 新型インフルエンザのワクチンを開発 国立感染症研究所のグループが12日までに、発生が懸念される新型インフルエンザ対策として、高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)から新しい予防ワクチンを開発、感染防御効果を動物で確認した。インフルエンザワクチンでは初めて免疫増強剤を加えたのが特徴。人での感染防御が海外のワクチンに比べ高いと期待される上、現在の日本のワクチン製造能力で数億人分の供給が可能になる。新型インフルエンザウイルスは鳥のウイルスが変異して人から人へと感染する能力を獲得すると出現すると考えられている。ひとたび発生すると人には免疫がないため世界的大流行が心配されている。ワクチン製造にはアジアの家禽で大流行しているH5N1型を使うのが理想とされているが、同型ウイルスは毒性が強く、培養に使う卵が死ぬのが課題だった。同研究所は国内メーカーと協力、来年中の新薬承認を目指して近く動物を使った前臨床試験を始め、その後本格的な臨床試験に入る方針。厚生労働省も審査をできるだけ迅速に進め、危機管理態勢を整えたいとしている。(平成17年3月13日 日本経済新聞) インフルエンザ、過去10年で最高レベルに B型が主流 今年第8週(2月21〜27日)のインフルエンザの患者数が約23万人を超え、過去10年間で最悪だった98年の大流行に迫る水準に達していることが12日、国立感染症研究所の定点観測で分った。今年は流行が例年より3〜4週間遅く、B型インフルエンザの患者が半数以上を占めているのが特徴だ。国はインフルエンザの週ごとの患者数を、全国約5000カ所の医療機関から集計している。第8週の1機関あたりの患者数は全国平均で49.19人。山梨県と沖縄県を除き警報レベル(30人)を超え、両県でも地域によっては警報レベルに達している。最も高かったのが宮崎県の72.4人、次いで新潟県の70.8人、長野、山口、福井、佐賀、愛知、熊本、石川の7県が60人台、北海道など12道県で50人を上回った。国内で流行するインフルエンザウイルスはA香港型、Aソ連型、B型の3種類。感染研は「B型がこれほど流行した例は過去10年にない」と指摘。 B型は春先まで長く流行する特徴があるため、今後も警戒が必要だ。「人ごみでのマスクの着用や、外出後のうがいや手洗いを徹底してほしい」と呼びかけている。 《インフルエンザ》 38度以上の急な発熱、頭痛、のどの痛み、関節痛、筋肉痛などの全身症状が強いことなどが診断基準となる。原因のインフルエンザウイルスは表面にあるたんぱく質の違いでA型、B型に分かれる。症状や治療法はほぼ同じだが、B型は筋炎と消化器症状を起こす確率が高い。現在、A型のうちAソ連(H1N1)型とA香港(H3N2)型、B型の3種類が流行している。(平成17年3月12日 毎日新聞) インフルエンザ脳症6人死亡 インフルエンザに感染した後、中枢神経が急速に侵される「インフルエンザ脳症」で、睡眠中などに子供が突然死する新しいタイプが出現、2年前の流行期に大阪府内だけで6人が死亡していたことが、厚生労働省研究班の調査でわかった。 同時期に他地域でも子供数人が死亡、昨冬も死亡例があったという。従来の脳症と異なり、けいれんや意識障害などの症状が出ないまま急死するのが特徴で、研究班は「共通する原因は不明で、詳しい調査が必要」としている。 研究班員の塩見正司・大阪市立総合医療センター小児救急科部長によると、2002年12月から03年2月にかけ、大阪府内でインフルエンザになった1―8歳の男児6人が、発症後1―2日目に、寝ている間に突然死した。 厚労省研究班(班長=森島恒雄・岡山大教授)に同様の急死例が数例報告されたが、詳しい調査は行われていない。ただ、大阪で死亡した6人のうち4人は、抗ウイルス薬オセルタミビル(商品名タミフル)を服用、その3―7時間後に死亡していた。 タミフルは01年2月から発売されたが、製造元のロシュ社(本社・スイス)は、動物実験で大量投与を受けた幼若ラットが死亡、脳から高濃度の薬剤成分が検出されたため、昨年1月、1歳未満には投薬しないよう警告していた。(平成17年2月24日 読売新聞) インフルエンザ B型も注意 冬のインフルエンザは昨シーズンに比べ、B型の流行が目立っていることが、厚生労働省の調査でわかった。B型は、高齢者に免疫を持つ人が少ないとみられており、同省は注意を呼びかけている。 昨シーズンに検出されたインフルエンザウイルスは全体の95%がA香港型、5%がB型だった。今冬は、先月28日までに報告されたウイルスを分類すると、B型が115件、A香港型が100件、Aソ連型が68件。年明け以降はAソ連型は少なくなり、現在はB型とA香港型が同時に流行しているとみられる。 昨年夏に同省が行ったインフルエンザの免疫力の調査では、A香港型は60歳以上の3人に1人は十分な免疫があったが、B型は8人に1人しか免疫がなかった。 全国約5000か所の医療機関での調査によると、先月24―30日の一週間の患者数は約3万7000人で、流行が確認された前週の約2・8倍に増えた。 患者の報告は関東や東海・中部地方に多い。 ここ10年で2番目に遅い流行だが、高齢者施設などではB型が流行すると一気に広まる可能性もある。(平成17年2月14日 読売新聞) インフルエンザ出足遅め 例年なら12月末には始まることが多いインフルエンザの流行が、今年はまだ始まっていない。1月中旬まで流行が始まらなかったのは、過去10年で今年が2度目だ。専門家は暖冬や湿度の高さなどが関係しているのではないかと考えているが今後の予測は難しく、油断は禁物だ。流行が兆せば、うがいや手洗いなどの感染予防が重要になる。 国立感染症研究所の5000医療機関定点調査で、今年1月第2週(9〜15日)の1機関当たりインフルエンザ患者数は0.7人。感染研は1.0人を「流行の始まり」とみて注意を呼びかけており、今年はまだ流行が始まっていないことになる。地域的にも、宮城県と岐阜県の一部保健所管内で12月に一時的に患者発生が目立っただけだ。 過去10年で流行開始が最も遅かったのは00〜01年のシーズンで、1月末だった。この年の流行のピークは例年より1カ月遅い2月下旬で、流行の規模も小さかった。 今年の流行開始が遅いことについて、感染研感染症情報センターの安井良則主任研究官は「寒く乾燥した日が少なかったことが影響しているのではないか」という。 気象庁によると、昨年12月の気温は北海道を除く全国で平年を上回り、降水量も平年のほぼ倍。高温多湿を嫌うインフルエンザウイルスにとっては、不都合な天気が続いた。 今年流行が予測されるA香港型に対して、多くの人がすでに免疫を持っているから、との見方もある。 インフルエンザウイルスにはA香港型、Aソ連型、B型と3種類ある。流行が早く始まる年はA香港型のことが多い。感染研がこの冬を前に一般の人の血液を調べたところ、最も高い10〜14歳では7割弱にA香港型の抗体が見つかった。昨年の流行がほぼすべてA香港型だったためらしい。 さらに、今年は過去最高に匹敵する2000万本以上のワクチンが出荷されており、その効果の可能性も考えられる。 ただ、今後に関しては予断を許さない。過去10年は、定点当たり患者数が0.7人を超えた翌週には必ず1.0人を超え流行が始まっている。 流行開始が遅い年は、B型の割合が大きい傾向がある。B型は感染力、病原性とも比較的弱く、爆発的な流行にはなりにくいが、免疫を持っている人は最も多い15〜19歳でも3割程度で、流行の素地はある。 流行が兆せば、マスクや手洗い、うがいが大事だ。感染研は「手洗いはノロウイルスなど感染性胃腸炎の予防にもなる。徹底を」といっている。(平成17年1月26日 朝日新聞) インフルエンザ、全ウイルスを保存、データベース化 人類が流行を経験していない新型インフルエンザの発生に備えるため、自然界にある135種類すべてのA型インフルエンザウイルスを保存し、遺伝子配列をデータベース化する計画が北海道大で進んでいる。今年度中にほぼ完了する見通しで、来年4月には同大に「インフルエンザウイルス・遺伝子リソースセンター」を設置する。ワクチン開発などの新型インフルエンザ対策に不可欠な情報を世界に提供する。A型インフルエンザウイルスは野生動物や家畜、人がかかる人獣共通感染症で、ウイルス表面に感染、増殖に必要なヘマグルチニン(H)、ノイラミニダーゼ(N)という2種類のたんぱく質を持つ。 Hは15通り、Nは9通りあり、この組み合わせで135種類が存在する。現在、人がかかるのはH1N1型とH3N2型だが、これ以外のウイルスでも変異して、人の新型インフルエンザになる恐れがあるという。北大の喜田宏教授(ウイルス学)は、全種類のインフルエンザウイルスを収集しようと、ロシア、モンゴル、中国、日本で自然宿主のカモなどの野鳥から計49種類を分離。残りの種類のウイルスも掛け合わせて作り出している。また分離した別種類のウイルスを卵に同時感染させ、55種類のウイルスを作り出した。この手法で来年3月までに残り31種類のウイルスを生み出し、135種類のウイルスライブラリーを完成させるという。喜田教授は「遺伝子配列をすべて解読し、データベース化して人類共通の財産としたい。保存されたウイルスはワクチンのもとにもなるため、新型インフルエンザの『先回り対策』として役立つ」と話している。(平成16年11月20日毎日新聞) インフルエンザ予防接種後死亡、昨年度は8人 インフルエンザの予防接種による副作用が疑われる報告は2003年度に192件あり、うち8人が死亡したことが30日、厚生労働省のまとめで分かった。専門家の検討会などは、死亡とワクチン接種の因果関係はいずれも「少ない」「情報が少なく評価できない」などと判断。副作用などへの注意を促すための添付文書の改訂も必要ない、としている。同省によると、死亡した8人はいずれも50歳以上で、急性心不全や呼吸困難、急性心筋梗塞などを発症した。03年度のワクチンの推定出荷本数は約1463万本。(平成16年10月1日 日本経済新聞) 特効薬タミフル、1千万人分備蓄へ 国内で流行すると4人に1人が感染し最悪で約17万人が死亡するとの試算もある新型インフルエンザ対策として、厚生労働省は、「特効薬」とされるオセルタミビル(商品名・タミフル)を国と都道府県で計1千万人分を国家備蓄する方針を固めた。製薬会社の調達分と合わせ、5年後には2500万人分を確保する。薬品の国家備蓄は例が少なく、同省は消極的だったが、鳥インフルエンザの発生などで緊急性があると判断した。 同省は昨秋から、10〜40年周期で出現する新型インフルエンザウイルス対策を、専門家による小委員会を設けて検討してきた。同委員会は、日本で流行した場合、最大約3200万人の感染者が出て、約2500万人が受診、何も処置をしなかった場合約17万人が死亡すると試算した。 このため、この薬を毎年200万人分ずつ積み増して5年後に1000万人分を備蓄する。使用期限が5年間のため、その後新しい薬と交換していく。 国と都道府県の備蓄割合や量は、人口に応じて決める。 国は国立の医療機関で、都道府県では、感染症患者を受け入れる拠点病院になる見込み。02年から03年にかけてのシーズンでは、インフルエンザの流行でタミフルが不足、病院などで混乱が起きた。 昨シーズンは同省の要望で約1500万人分が輸入されたが、現在、約700万人分が余っているという。 同薬は、スイスのロシュ社が製造、販売。 日本では、01年2月に発売され、今年7月には、条件付きで予防薬の承認もされた。症状が出てから、48時間以内に飲むと効果があるとされる。輸入販売する中外製薬は今シーズン前には、昨シーズンと同規模の量を確保したいとしている。同省などによると、01年9月、アメリカで発生した同時多発テロ事件を受け、生物化学兵器対策で天然痘ワクチンを備蓄したことがあるが、近年、大量の国家備蓄は例がないという。 海外ではオーストラリアなども同様の方針を示しているという。(平成16年8月21日 朝日新聞) 未知のインフルエンザ国内流行なら死者10万 人類のほとんどが免疫を持たない新型インフルエンザが日本国内で流行した場合、死者が10万人を超え、治療が必要な患者は2500万人にのぼることが厚生労働省の試算でわかった。 死者数や入院者数は、医療行為が一切行われないという前提の数字で、現実とは異なるとしているが、厚労省では最悪の事態も想定して、治療薬や病床の確保など対策を進める。 米国疾病対策センター(CDC)が2000年に作成した、病気に対する年齢層ごとの抵抗力などを考慮した計算式に、日本の人口統計をあてはめた。その結果、新型インフルエンザが流行し、人口の25%が罹患(りかん)した場合、最大で約2500万人が治療が必要となり、入院患者数は43万人、死亡者は10万7000人にのぼると推定した。 ウイルスの毒性や感染力が強いなど最悪の状況を想定した場合、死者は16万7000人に及ぶ可能性もあるという。また、大流行が8週間続いた場合、1日当たりの入院患者数は、5週目に国内での利用可能なベッド数の約半分にあたる10万1000人にのぼると推計された。(平成16年8月9日 読売新聞) 鳥インフルエンザ:発症から死亡まで平均10日 世界保健機関(WHO)は13日までに、ベトナムで高病原性鳥インフルエンザに感染した10人(うち8人が死亡)についての臨床データを初めて発表し、発症から死亡するまで平均10日と病気が急激に進行することに加え、死亡率も高いことを明らかにした。10人については人から感染したことを示すデータは得られなかったが、WHOは「人から人へ感染するウイルスに変異する可能性は将来あり得る」として注意を呼び掛けている。 発表によると、10人のうち6人の潜伏期間は2日から4日。発症後、38度以上の高熱とせきが出る。白血球の著しい減少や呼吸困難、下痢などの症状が表れ、胸部のエックス線写真に異常が見られた。8人は発症から平均10日で死亡。残る2人については1人が回復し、1人が治療中。また10人のうち8人は死んだ鶏をさばくなど直接、家禽(かきん)に接触していたことも分かった。WHOの集計によると、ベトナムでの鳥インフルエンザの感染者は13日までに計19人で、うち14人が死亡した。データは、患者の治療や調査にかかわったベトナム人の臨床医や研究者らから提供された。(平成16年2月13日 毎日新聞) インフルエンザワクチン1回接種の高齢者、シーズン内に抗体価低下目立つ せっかくインフルエンザワクチンを接種してもそのシーズン中に抗体価が落ちてしまい、十分な免疫を確保できなくなる場合があることが、高齢者を対象とした調査で明らかになった。ワクチンの有効性や接種方法について大きな問題点を提起したと言えそうだ。厚生労働省の班研究「インフルエンザ予防接種のEBMに基づく政策評価に関する研究」の一部成果として、1月22日のポスターセッション「感染症」で東京女子医科大学衛生学公衆衛生学教室の小島原典子氏が発表した。 小島原氏らの研究グループは、東京都内の精神病院に入院中の50歳以上の152人に対して、2002年12月1日から2003年3月31日まで、インフルエンザ様症状を観察した。対象患者のうち、本人が希望した90人(55.6%)に対し、観察期間に入る前の11月初旬にインフルエンザワクチンを1回接種した。対象者のうち、文書による同意がとれた57人に対し、シーズン前(12月)とシーズン終了期(3月末)に抗体価を測定した。観察期間中、インフルエンザ様症状を呈した患者に対してはインフルエンザA、B型の迅速診断を実施した。観察期間中28例に症状が見られたが、診断結果は全例で陰性だった。シーズン前後の抗体価を比較したところ、ワクチン接種群では、シーズン前の抗体価が40倍以上だった対象者が、Aソ連型(H1N1)では12月に約74%だったのに対し、3月末には48.6%に減った。B型では12月時点でも約29%と少なく、3月末には約11%に減った。これに対してA香港型(H3N2)では、12月に約97%だったのが3月末にも約94%とほとんど減少しなかったという。高齢者の場合、少なくとも1回接種ではシーズン期間中、十分な免疫を維持できない可能性が示唆されたわけで、2回接種を含め、抗体価の増強・維持に必要な手段を検討する必要性がありそうだ。(平成16年1月28日 medwave) インフルエンザ脳症、薬害の可能性 インフルエンザに伴う急性脳症は、解熱剤など薬が原因である可能性がある、と近藤誠・慶応大医学部講師が報告し、イギリスの医学専門誌「ランセット」に掲載された。脳症の詳しい原因は不明とされるが、欧米にはまれなのに日本で多発しており、薬を多用するわが国での「薬害」との見方だ。 この脳症はインフルエンザに感染した子供が急激に意識障害などを起こす病気で、死亡率が高く、重い後遺症を残す場合も多い。近藤講師は厚生省研究班(当時)が1999年に「一部の解熱剤と脳症による死亡に関連がある」と報告したことや、風邪の子供が解熱剤や抗生物質、鼻水止めなど数種類の薬を飲んだ後に脳症で死亡した例が複数あることを指摘。この脳症が日本に多いのは、「風邪でも多くの医師が強力な解熱剤を処方したり複数の薬を出したりすることで、体の免疫物質の働きが過剰になり、脳症を引き起こしているためではないか」としている。(平成16年1月20日 読売新聞) インフルエンザ脳症の予後改善策、ステロイド軸に早期治療を(日経メディカル) 経過が急で、予後も悪い小児のインフルエンザ脳症。治療は脳圧降下薬や抗痙攣薬による対症療法が中心だが、死亡率は約3割、重度の脳障害などの後遺症が残る例も約3割と、予後は非常に悪い。だが、最近、ウイルス性の急性脳症全般に対する病態の解明が進み、炎症性サイトカインの過剰産生と血管内皮障害が、様々な神経症状や全身の機能障害を引き起こすことがわかってきた。 インフルエンザ脳炎・脳症治療研究会に登録した約3500施設では、2000年から、これまでに高サイトカイン血症や脳浮腫の改善効果が報告されている複数の治療法を積極的に実施。流行したウイルス型の違いもあるため単純比較はできないが、ここ2シーズンでのインフルエンザ脳症による死亡率は、15%前後にまで下がったという。本記事では、ステロイド・パルス療法など、インフルエンザ脳症への治療効果を上げている臨床事例を詳しく紹介。熱性痙攣との鑑別など、治療に取り組む中で見えてきた課題も含め、早期治療が予後を分ける鍵になると論じています。(平成16年1月16日MedWave) インフルエンザ薬「タミフル」使用で注意喚起 中外製薬(本社・東京都)は10日までに、国内で独占販売しているインフルエンザ治療薬「タミフル」(リン酸オセルタミビル)について、「薬の成分が脳に入り込む危険がある」として、1歳未満の乳児に投与しないよう医療機関に求める方針を決めた。海外の動物実験で危険性が確認されたため。1歳以上の患者については「安全性が確認されている」としている。タミフルは経口摂取型のインフルエンザ治療薬で、カプセルと小児用のドライシロップが販売されている。同社によると、販売量は国内のインフルエンザ治療薬全体の約9割を占めているという。実験を行ったのは、タミフルの製造元でスイスに本社を置く製薬会社。ラットに大量投与したところ、生後間もない個体で死ぬケースがあり、脳の中から高濃度の薬成分が検出されたという。薬剤などの脳への侵入を防御する機能が未発達だったためとみられる。現在の添付文書には「1歳未満の患者への安全性は確立されていない」と記されているが、中外製薬は「添付文書の書き換えも視野に入れて対処したい。 近く、実験結果を日本語に訳した文書を医療機関に配布する」としている。(平成16年1月10毎日新聞) 米国今シーズンのインフルエンザ流行は過去3年より深刻か 米国疾病対策センター(CDC)は11月17日、今シーズンのインフルエンザ流行は、過去3年より深刻になる可能性があると予測し、50歳以上の人などに対し、予防接種をできるだけ早く受けるよう勧告した。 CDCが予防接種を勧める対象は、インフルエンザ発症に続き重症な合併症を引き起こすリスクの高い、以下に挙げる人。50歳以上の人、長期介護施設の住人、慢性心疾患や喘息などの慢性呼吸器疾患を持つ生後6カ月以上の人、糖尿病などの代謝障害や、慢性腎疾患で長期的に治療を受けていたり、免疫系が弱っている人、生後6カ月以上の人、生後6カ月以上18歳以下の人でアスピリンを長期服用しており、そのためにインフルエンザ発症後、ライ症候群を引き起こす可能性のある人、インフルエンザ流行期に妊娠3カ月を超える女性。さらにCDCは、医師や看護師、医療機関や長期介護施設で働く人、先に挙げたリスクの高い人と同居する家族などに対しても、予防接種を勧めている。(平成15年11月26日medwave) インフルエンザ抗体保有率、5〜19歳は高く、成人・高年齢層では低く 国立感染症研究所感染症情報センターは10月31日、今シーズン最初のインフルエンザHI抗体保有状況を速報した。それによると、Aソ連型(H1N1)とA香港型(H3N2)に対しては、5〜19歳の若年齢層では抗体陽性率が十分高いが、成人や高年齢層では低く、B型は全年齢層にわたって陽性率が低いことが分かった。 2001年11月から65歳以上で定期接種の対象になったことで60歳以上の抗体陽性率は向上しているが、40歳代、50歳代の陽性率は特に低く、ワクチン接種を積極的に受けるといった対策が必要になりそうだ。この調査は、感染症流行予測調査の一環で、厚生労働省が実施主体となり、国立感染研と都道府県衛生研究所が協力して、一般国民のインフルエンザ抗体保有状況を調べたもの。2003年7〜9月を中心に、前シーズン終了後の今年5月以降に採血された12都道府県の3019検体におけるインフルエンザHI抗体保有状況を速報している。調査対象の抗原は、1.Aソ連型 A/New Caledonia/20/99(H1N1)、2A香港型 A/Panama/2007/99(H3N2)、3.B/Shandong/7/97(Victoria系統株)、4B/Shanghai/44/2003(Yamagata系統株)の4種類。1〜3は2003-2004シーズン用ワクチンに使用されている。Aソ連型(H1N1)に対して40倍以上の抗体価を持つ陽性者の比率は、5〜19歳が約50%と高いが、20歳代では約20%と大きな差がある。 30歳以上ではどの年齢も20%を下回り、特に50歳代では10%以下と少ない。 0〜4歳も約20%と低かった。A香港型(H3N2)に対しては、10〜14歳では約75%が抗体陽性で最も比率が高い。0〜4歳では約30%と低いが、5〜19歳では60%を超えている。 半面、20歳代以上は40%以下と急に低くなり、50歳代までは高年齢ほど抗体陽性率が低い。20歳代では約35%、30歳代では約30%、40歳代では約25%であり、50歳代では、40倍以上の抗体価を持つ陽性者は約20%しかいない。 60歳以上の陽性率は約45%だった。一方、B型(B/Shandong/ 7/97)では全く陽性率の年代別パターンが異なる。 20歳代が約20%と最も多く、次いで30歳代が15%、0〜19歳と40〜59歳は10%以下と少ない。 60歳以上では約15%である。今シーズンのワクチン株に含まれないB型(Shanghai44/2003)では、A型と似たパターンで10〜19歳が約30%と最も多く、20歳以上では50歳代まで高年齢ほど低くなる分布だが、60歳以上でも5%程度と低い。 オーストラリア、ニュージーランドで今夏に大きな流行をもたらしたH3N2の変異株であるFujian/411/2002が欧州でも流行し始めている。現在製造中の2003-2004シーズン用ワクチンはこの株に対しても有効だが抗体価はやや低いとされるので、流行の状況によっては警戒が必要になりそうだ。(平成15年11月4日 medwave) 厳戒インフルエンザ、ワクチン大増産 SARSにも備え 今冬のインフルエンザへの警戒ぶりが際だっている。ワクチンは能力いっぱい製造、接種を勧める企業も目立っている。昨冬、一時不足したインフルエンザ治療薬も2.4倍用意している。世界保健機関(WHO)も高齢者らへの接種を強く呼びかけた。背景にあるのは、新型肺炎SARSの再流行への懸念だ。インフルエンザとSARSは、急な発熱にせきなどの初期症状が似ているため、同時に流行すると医療機関が混乱する恐れがある。インフルエンザワクチンの接種が勧められるのは、インフルエンザの流行拡大や重症化を抑え、早期にSARS感染を見つける狙いがあるからだ。 ワクチンは厚生労働省の需要予測をもとにメーカーが製造する。今冬は1470万本(大人で最大2940万人分)が用意される見込み。 昨冬の使用量より4割多い。 「SARSの再流行に備え、できるだけのお願いをした」と厚労省血液対策課。 87年に小中学生への義務接種に親の同意が必要になってから製造された量としては最大で、いまの供給能力の上限だ。 効果が生まれるまでに2週間ほどかかり、厚労省は12月中旬までの接種を呼びかける。だが11月に希望者が集中、「ふだんの診療との両立が難しい」(ある小児科医)との声も出始めている。患者への備えにも力を入れる。厚労省によれば、20分程度で判定のできる診断キットは昨年の1.4倍に当たる1500万人分を確保。昨年一時的に不足した特効薬「タミフル」を発売する中外製薬では、昨年の2.4倍に当たる1300万人分を準備している。 厚労省の統計ではインフルエンザが原因の死亡者は例年約600人。4年ぶりに大流行した昨冬は約1100人だった。(平成15年10月25日 朝日新聞) インフルエンザ、ウイルス不活化するフィルター開発 空気中のインフルエンザウイルスをつかまえて瞬時に不活化する新型フィルターの開発に、早稲田大と国立感染症研究所、ダイキン環境研究所などの研究グループが成功した。予防接種の原理を応用し、インフルエンザウイルスに取りついて殺す抗体をフィルターに含ませた。映画館や病院などの空調設備のフィルターやマスクに応用できるという。 インフルエンザのワクチンを接種すると、体内に抗体というたんぱく質ができる。この抗体がインフルエンザウイルスと結合し、感染を防ぐ。研究チームは、ニワトリにインフルエンザウイルスのワクチンを注射、抗体を含む卵を生ませて精製することで、抗体の大量生産に成功した。この抗体を空調用のフィルターに含ませ、インフルエンザウイルスの入った溶液を吹き付けた。10分後にフィルター上のウイルスの量を測ったところ、抗体を含ませていないフィルターに比べ、1万分の1になった。 現在の空調のフィルターもウイルスを吸着するが、再飛散の恐れがあるという。 研究チームは「流行するインフルエンザのタイプに応じた抗体をつくる必要があるが、フィルターは感染の拡大防止に有効だ」と話している。(平成15年10月26日 毎日新聞) 欧州各国、3分の2が医療関係者へのインフルエンザワクチン接種を推奨 欧州の大多数の国では、重症急性呼吸器症候群(SARS)再流行時の混乱を防ぐカギになると見られる医療関係者へのインフルエンザワクチン接種を推奨していることが明らかになった。日本では残念ながら、こうした推奨は国のレベルでは行われない見通しだ。欧州版の感染症週報であるEurosurveillance Weekly9月11日号は、各国のインフルエンザワクチン接種の推奨状況を掲載、欧州では既に、少なくとも10カ国が医療関係者に対するインフルエンザワクチン接種を推奨していることが明らかになった。接種を推奨しているのは、オーストリア、ベルギー、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、ノルウエイ、スペイン、英国の各国。 デンマーク、フィンランド、オランダ、ポルトガル、スウェーデンの5カ国は、調査時点では接種を推奨していなかった。 厚生労働省は、一般的なインフルエンザワクチン接種キャンペーン以外、医療関係者への接種推奨を行う予定はないという。 「副反応があり得るワクチンの任意接種を国として推奨するのは困難」(結核感染症課)というのがその理由だ。今春のSARS流行時に機動的で素早い対応をした東京都健康局でも、「一般的な接種の呼びかけは進めていく」のみで、医療関係者に対する接種推奨を行う予定はないという。当面は、個々の医療機関や地域で自主的に呼びかけて接種を進め、少しでもリスク軽減に努めるしかないようだ。(平成15年9月18日medwave) インフルエンザのワクチン接種、1カ月繰り上げ 北京市は15日、例年より1カ月繰り上げて市民へのインフルエンザのワクチン接種を始めた。インフルエンザは秋から冬にかけて再流行の可能性が指摘されている新型肺炎SARSと症状が似ており、相互の誤診が懸念されるためだ。インフルエンザの予防を徹底する作戦だ。 SARSが再流行すると、インフルエンザの患者を誤診してSARS専門病院におくりこんだり、逆にSARS患者をインフルエンザと誤診して一般の外来で対応したりして、感染を広げたりする可能性もある。このため、今春に大きな被害を出した北京市はかねて対策を練ってきた。 北京市の衛生機関は例年40万人分用意するワクチンを、今年は100万人分に増やし、さらに予備として50万人分も準備した。 接種できる病院も例年の市内300カ所から427カ所に増やした。特に、60歳以上の高齢者、病弱者、医療関係者、小学生、幼稚園児を重点対象者として、接種を呼びかけている。希望者に対し、有料で行われる。(平成15年9月16日 朝日新聞) 高齢者のインフルエンザ治療 インフルエンザ流行期に来院した高齢者がインフルエンザ様症状を呈している場合、まずワクチンの接種歴を問診し、未接種者には検査を行わずに抗インフルエンザウイルス薬を直接投与すべき。米国で行われた費用効果分析から、このような「実践的な戦略」が導かれた。分析は数々の臨床研究データに基づくもので、今回提示された“経験的投与”戦略には一考の価値がありそうだ。 研究結果は、Annals ofInterenal Medicine誌9月2日号に掲載された。 この研究を行ったのは、米国Baystate医療センターのMichael B. Rothberg氏ら。Rothberg氏らは、若年者では「労働損失の減少」という観点から、抗インフルエンザウイルス薬治療が費用効果に優れるとの検討結果が出されているが、高齢者に対する費用効果分析が行われていない点に着目。「入院・死亡の減少」を評価軸とした費用効果分析を行った。主な前提条件は、1.インフルエンザ流行期に急な高熱と咳で来院した高齢者がインフルエンザ感染症である確率は35%、2.インフルエンザの原因ウイルスがB型である確率は11%、3.インフルエンザで入院した高齢者の死亡率は10%、4.インフルエンザ迅速検査薬の感度は73%、特異度は96%、5.インフルエンザワクチンは高齢者のインフルエンザ発症を58%、入院を32%、死亡を50%減らす−−というものだ。 インフルエンザにかかった高齢者の入院率は、1.高リスク者:心疾患または肺疾患の合併者:23.5%、2.中等リスク者:糖尿病、腎疾患、リウマチ、痴呆の合併者、脳卒中の既往者:9.8%、3.低リスク者:これらの疾患に罹患していない高齢者:4.4%−−と仮定した。これらの数値は、種々の疫学研究や臨床研究に基づいて提示されている。 抗ウイルス薬としては、1.A型ウイルスのみに有効な薬(アマンタジン、リマンタジン)、2.A、B両者に有効な薬(オセルタミビル、ザナミビル)−−の2種4薬について検討。罹病期間の短縮効果は同等だが副作用は後者で少なく、抗菌薬投与も少なくて済むとの前提条件を導入した。 後者の2薬に関しては、吸入外用薬のザナミビルの方が副作用は少ないが、経口内服薬のオセルタミビルの方が正しく服薬できるとのデータを導入して比較した。 その結果、特に合併症がなく入院リスクが低い高齢者の場合、ワクチン既接種者にはまず検査を行って陽性ならオセルタミビルを投与、ワクチン未接種者には検査を行わず全員にオセルタミビルを投与するとの戦略が、最も費用効果に優れることが判明。 一方、糖尿病患者など入院リスクが中等度の場合や、心肺合併症がある高リスク者の場合は、ワクチン接種の有無によらず、検査を省いて全員にオセルタミビルを投与する戦略が最も費用効果的に優れるとの結果になった。 注意すべきなのは、この研究があくまで「費用効果」分析であること。 医療費が異なる地域では、当然、最適となる戦略も変わってくる。前提となった医療費は米国のもので、薬剤費は日本とほとんど変わらないが、診察費用はほぼ倍、入院費用(平均5.4日と仮定)も4082ドル(約48万円)と日本の数倍になる。迅速検査による“見落とし”の、費用的な打撃は日本では少なくなるだろう。こうした点を考慮した、日本の実情に合った費用効果分析に期待したい。(平成15年9月16日medwave) インフルエンザワクチンが心疾患・脳卒中を予防、米の大規模観察研究が示唆 米国のマネジド・ケア(前払い集団保険方式の民間医療保険)加入高齢者14万人を対象とした調査で、インフルエンザワクチンを受けた人では、インフルエンザや肺炎だけでなく、心疾患や脳血管疾患による入院も少ないことが明らかになった。ワクチン接種者では高血圧や糖尿病、高脂血症などの持病を持つ人の比率が高く、一般に「ハイリスク」とみなされるだけに、今回得られたデータは大きな意味を持ちそうだ。研究結果は、New England Journal of Medicine(NEJM)誌4月3日号に掲載された。調査対象は、米国Health Partners社(加入者総数:65万人)、米国Oxford HealthPlan社(同:180万人)、米国Kaiser Permanente Northwest社(同:42万人)の3民間保険会社が提供するマネジド・ケア加入者のうち65歳以上の高齢者。調査は1998〜1999年と1999〜2000年の、2回のインフルエンザシーズンに行われた。対象者数は、第1回調査が14万55人、第2回調査が14万6328人。調査対象者の平均年齢は74歳で、半数強が女性だった。第1回調査時には全体の55.5%、第2回には59.7%がインフルエンザワクチンの接種を受けた。ワクチン接種者と非接種者を比較すると、平均年齢は接種者の方がわずかながら有意に高く(第1回:0.5歳、第2回:0.8歳)、女性比率も数%低かった。しかも、高血圧、高脂血症や心疾患、糖尿病・内分泌疾患、癌などの合併比率は、ワクチン接種者でいずれもわずかながら有意に高かった。一方、痴呆・脳卒中の既往は、比率としては少ないものの、ワクチン非接種者で有意に多かった。総じて見ればワクチン接種者の方が病気勝ちで、死亡リスクも高いとみなせるわけだが、シーズン中の入院や死亡は、2回の調査とも、ワクチン接種者で有意に少ないことが判明。肺炎・インフルエンザによる入院(相対入院率:2回の調査で順に32%減、29%減)だけでなく、心疾患(同:19%減、19%減)、脳血管疾患(同:16%減、23%減)による入院も有意に少なかった。総死亡は第1回調査シーズンで相対的に48%、第2回で50%、ワクチン接種者で有意に少なかった。この研究はあくまで観察研究であり、患者背景にも違いがあるため確定的なことは言えないが、「他のより小規模な観察研究や、小規模なオープンラベルの介入研究でも同様の結果が出ており、今回の結果はそれを支持するもの」と研究グループはみる。比較的健康な人が多いマネジド・ケア加入者の調査とはいえ、14万人で2年連続して同じ結果が出たインパクトは大きく、今後のワクチン接種動向に大きな影響を与えそうだ。なお、わが国では2001年11月に予防接種法が改正され、原則として65歳以上の高齢者に対し、インフルエンザワクチンの法定接種(一部公費負担)が行われるようになった。米国では65歳以上の高齢者のおよそ6割がインフルエンザワクチンの接種を受けているが、わが国では、2001年度の高齢者接種率は27.45%(「平成13年度予防接種法に基づく高齢者のインフルエンザワクチン予防接種状況調査報告」)と報告されている。(平成15年4月4日medwave) インフルエンザウイルスの弱点発見、増殖の仕組み解明 国内で昨年末ごろからインフルエンザの流行が急速に広がっている中、ウイルスの弱点になるとみられる増殖の仕組みを、東大などのチームが明らかにした。 近く米科学アカデミー紀要に発表するが、ウイルスの増殖を抑える新タイプの治療薬の開発につながる可能性が期待される。 インフルエンザウイルスの構造は単純で、たんぱく質や脂質などでできた殻の中に8個の遺伝子が収められた粒子。 だが、ウイルスが増える際に、8個の遺伝子がどのようにして殻の中に取り込まれ、完成品の粒子になるのかは謎だった。 東大医科学研究所の河岡義裕教授、広島大大学院の藤井豊助手らのチームは、遺伝子を様々に変化させたウイルスを次々と人工合成し、どんな影響が出るかを詳細に調べた。その結果、8個の遺伝子が効率良く1組にまとまる形で、殻の中に取り込まれることを発見。 遺伝子が1組にまとまる際に必要な“信号”もほぼ特定できた。この信号の働きを妨害できれば、ウイルスの増殖を抑えることが可能になるという。(平成15年1月28日 読売新聞) 鼻スプレーでインフルエンザ予防 米食品医薬品局(FDA)のワクチン諮問委員会は17日、鼻腔(びくう)に噴霧する新インフルエンザワクチンの有効性と安全性を認めた。とりあえず使用世代を5〜49歳に限り、FDAは販売を認める見通しだ。 新ワクチンは米国の製薬会社が開発した。不活性化したウイルスを使う従来の注射型ワクチンとは違い、生きたまま毒性を弱めたウイルスを鼻にスプレーする。 インフルエンザのウイルスは、鼻や口などの粘膜細胞にとりついて増殖する。事前にワクチンを鼻に噴霧することで粘膜の免疫を活発にし、水際でウイルスをたたく。 臨床試験の結果などから、5〜49歳については目立った副作用がなく、有効性を裏付けるデータがそろっていることを同諮問委は認めた。50歳以上では臨床試験が続いており、今回は判断を見送った。5歳未満の乳幼児は、ぜんそくを誘発する恐れがあるため使用できない。 米国では毎年、数千万人規模でインフルエンザが流行。10万人が入院して2万人が死亡する。多くが高齢者なので、50歳以上で有効性が確認できるかが今後の焦点だ。(平成14年12月19日朝日新聞) スペインかぜのウイルス再現、東大グループが成功 1918年に大流行し、全世界で2000万人以上が死亡したインフルエンザ「スペインかぜ」の性質を持つウイルスを作り出すことに、東京大学医科学研究所のグループが、海外の実験施設で成功した。 マウスに感染させたところ、肺が出血するなど強い病原性が確認された。長い間、謎だったスペインかぜの毒性の秘密に迫る一方、インフルエンザがバイオテロに悪用される可能性を警告するものとして注目される。スペインかぜは、短期間に肺に水がたまるなどして呼吸困難に陥り、死亡するケースが多く、インフルエンザの中でも病原性の強いウイルス。この流行で米国人の平均寿命は10歳以上も下がったと言われる。 強い病原性の理由は不明だったが、99年以降、当時の患者の保存組織などから、8個の遺伝子のうち、4個の配列が判明した。 同研究所の河岡義裕教授と高田礼人助手らは、厳重な密閉性を持つカナダの実験施設で、4個の遺伝子のうち、ウイルスが感染する際などに重要な働きをする2個の遺伝子を、現存のインフルエンザウイルスに組み込んだ。この結果、マウスに肺炎を起こすだけだったウイルスの病原性がさらに強くなり、肺の組織が出血を起こすことが確認された。 河岡教授は「テロの危険性を考え、ウイルスの遺伝情報をどこまで公開するべきかをきちんと議論する必要がある。また、ワクチンの大量生産や抗ウイルス薬を備蓄する体制整備が必要だ」と話している。(平成14年10月21日読売新聞) どんなインフルエンザにも効く、夢のワクチン開発へ のどや鼻にスプレーするだけで、どんな型のインフルエンザも予防できる。そんな「夢のワクチン」の開発に、徳島大学分子酵素学研究センターの木戸博教授グループが帝人や日本ベーリンガーインゲルハイム(本社・兵庫県川西市)とともに取り組む。文部科学省は実現可能性が高いとみて、今後3年間で1億8000万円の研究費を投入する方針だ。木戸さんはインフルエンザウイルスの感染を防ぐ体の機構として、ウイルスを攻撃する免疫グロブリンA(IgA)、包み込んでウイルスの動きを止める物質、ウイルス増殖に必要なたんぱく質の合成を阻害する物質、という三つを解明した。これらの機構の働きを強めることで、のどや鼻の粘膜を経由して体に侵入する直前にウイルスを抑え込むスプレー式ワクチンの開発に取り組む。この方式だと、インフルエンザの型ごとにワクチンを作る必要はない。 たんを取り除くのに使われている飲み薬の塩酸アンブロキソールでワクチンの効果を上げることも考えている。動物実験では、粘膜にあるIgAの量を3倍以上に高めたり、ウイルスを包み込んで動きを止める物質を活性化したりすることを確認した。 粘膜の免疫力を上げて感染症を防ぐ新ワクチンは各国で研究されているが、まだ実用化のめどは立っていない。 木戸さんは「3年後には臨床試験を始めたい。実現すれば、感染症の死亡者が多い発展途上国に、安価で使いやすいワクチンを提供できる」と話す。(平成14年8月5日朝日新聞) 来年度より小中学校のツベルクリン検査廃止 厚生労働省は26日、小中学校でのツベルクリン反応検査とBCG接種を、来年度から廃止できるよう政令改正することを明らかにした。廃止の方針は今年5月までに決まっていたが、実施時期が示されず、学校関係者や医療機関からの問い合わせが厚労省などに相次いでいた。生後6カ月までの乳児のツ反検査の廃止も決まっているが、結核予防法の改正が必要で、廃止までには数年かかる見通し。(平成14年7月27日朝日新聞) A型インフルエンザへのセフェム系経口抗生剤投与、症状を改善せず 、 日本小児科学会学術集会のワークショップ「Common disease治療の標準化」で発表した。また、アマンタジンの投薬日数別に治療効果についても比較したが、3〜5日間の場合は特に相違がなかった。検討対象は、2000年から2001年シーズンに名古屋大学小児科関連病院臨床研究グループの14施設において、第3病日以内に外来治療を開始した1歳以上7歳未満の子供。体温の数値、咳嗽や鼻汁の有無などについては、保護者に外来経過表を手渡し、記入後に返送してもらった。治療プロトコルについては以下の通り。アマンタジン(商品名:シンメトレル)は担当医の判断により投与の有無を決定。投与量は体重1kg1日当たり3〜5mgで、投与日数は3〜5日間。抗生剤は封筒法により投与群もしくは非投与群に割り付け、セフポドキシム プロキセチル(商品名:バナン)、セフジニル(商品名:セフゾン)、セフジトレン ピボキシル(商品名:メイアクト)、セフテラム ピボキシル(商品名:トミロン)のいずれかを投薬。170人から同意が得られたが、経過表の未返送などにより最終的な分析対象者は107人だった。それらの患者の平均年齢は3歳7カ月で、男性が55人、女性が52人。アマンタジンは107人中100人が、抗生剤は55人が投与されていた。ワクチン接種歴があったのは21人で、そのうち19人は2回接種だった。治療開始後の38度以上の発熱日数をみると、アマンタジン3日投与群(46人)は1.6日、4日投与群(26人)は2.0日、5日投与群(28人)は2.0日であり、また、37度以上の発熱日数は、3日投与群が2.7日、4日投与群が3.5日、5日投与群が3.5日で、いずれも有意差はなかった(p>0.05)。咳嗽や鼻汁についても、症状を点数化して比較したが、投与日数による差はみられなかった。また、抗生剤投与の有無別に38度以上の発熱日数をみると、投与群が1.8日、非投与群が1.8日。37度以上の発熱日数は、投与群が3.0日、非投与群が3.3日で、ともに有意差はなかった(p>0.05)。さらに、咳嗽や鼻汁も抗生剤投与による違いもなかった。こうした結果を踏まえ、柴田氏は、「アマンタジンの投与日数は、三日間で十分ではないか。抗生剤については、二次感染を防ぐ効果を一部の患者では期待できるが、耐性菌の出現や医療費などを考慮すれば、一律に投与する必要性はないだろう」との見解を示した。また、「多くのケースで38度以上の発熱は治療開始後三日以内であったため、これを参考に二次感染のチェックを行い、抗生剤の投与を検討するのも一つの方法ではないか」と語った。(平成14年5月2日 medwave) 使い残し解熱剤、流感の子供に使い死亡相次ぐ インフルエンザ患者への使用が原則として禁じられている解熱鎮痛剤を、医師の処方なしに家庭で使うなどした子供が、脳炎・脳症で死亡するケースが今年に入って相次ぎ、厚生労働省は、使い残した薬や他人の薬を家庭で勝手に使用しないよう注意を呼びかけている。 同省によると、今年1月、9歳の女児が家庭にあった座薬の解熱剤(ジクロフェナクナトリウム)を使ったところ、けいれんや意識低下などが起きる「インフルエンザ脳炎・脳症」を発症、死亡した。また、同じ解熱剤を家庭で使っていた6歳の女児が死亡する事故もあった。このほか、医師が処方したサリチル酸系医薬品などを服用した7歳と4歳の女児が、脳炎・脳症で死亡するケースもあった。4件の死亡例はいずれも、医薬品と脳炎・脳症との直接の因果関係は不明だが、事態を重視した同省は、全国の都道府県に対し、使い残しの医薬品は原則、廃棄するように求める啓発活動の実施を求めた。(平成14年4月8日読売新聞) |
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