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胸腹部大動脈瘤に筒状器具で新手術 胸から腹部にかけての大動脈が膨らむ胸腹部大動脈瘤の治療で、「ステントグラフト」という筒状の器具を瘤の中に通す新たな手術に、東京慈恵会医科大の大木隆生教授らが成功した。人工血管に置き換える従来の手術は胸から腹部を50センチほど切る必要があり、患者の負担が大きかった。今回の手術方法で、体への負担軽減と、高かった13〜20%の死亡率も低くなると期待されている。ステントグラフトは、ワイヤを筒状にし、合成繊維の布をつけた器具。これを血管代わりにして命にかかわる瘤の破裂を防ぐ。「腹部」「胸部」という限られた場所の大動脈瘤では、今回のような手術方法は行われていた。しかし、動脈瘤が両方にまたがる胸腹部大動脈瘤では技術的に難しく、国内では行われていなかった。対象患者は数百人いるとみられる。患者は東京都内の女性(49)。ふつう直径2センチほどの大動脈が太い場所で6センチに膨らんでいた。大木教授らは女性の血管の配置を詳しく調べ、胸から腹部にいたる大動脈瘤に通す長さ約30センチのステントグラフトを特注した。大動脈瘤の途中から枝分かれした腸や腎臓の動脈ともつなげられるよう工夫した。手術は今月11日。女性の脚の付け根の動脈を3センチほど切り、そこからカテーテルという細い管で瘤の中に挿入した。順調に回復している。(平成20年3月23日 朝日新聞) 内臓脂肪症候群、日本人の8% 動脈硬化などにつながるとされる状態「メタボリックシンドローム」(内臓脂肪症候群)になっている人は、20歳以上の日本人の約8%を占めると推定され、小食や運動、禁煙、趣味によるストレス解消など健康的な生活習慣を多く持つ人ほどこの状態に陥る率は低いことが、東京慈恵会医大(東京都港区)健康医学センターの和田高士センター長らの研究で分かった。 大阪市で開催中の日本脈管学会で2日に発表する。メタボリックシンドロームは、男性はウエスト85センチ以上、女性は90センチ以上で、さらに(1)中性脂肪などの異常(2)高血圧(3)高血糖−−のうち2項目以上を満たす状態だ。それぞれの異常は軽くても、重なることで動脈硬化を起こしやすくなるという。和田センター長らは、00年1月から04年12月までの5年間に、同大で人間ドックを受けた男女計2万2892人について、メタボリックシンドロームだったかを調べた。 同時に「禁煙」「過食をしない」「飲酒は日に1合以下」「週に1回以上運動する」「仕事をしない日が月に6日以上ある」「打ち込める趣味がある」の6項目の「よい生活習慣」について、それぞれ実行しているかどうかをアンケートした。日本人の年齢分布などを考慮して結果を分析すると、メタボリックシンドロームの人は、成人男性の14%、成人女性の2.9%、平均では8.4%と推定された。「よい習慣」の実行数別にみると、受診者のうち、一つも実行していない人は、シンドロームに陥っている率が約21%に達した。しかし、実行数が一つ増えるごとに、率は2ポイント余り低下し、六つとも実行している人は7.2%だった。和田センター長は「メタボリックシンドロームは、生活習慣の改善でかなり防げる。高血圧など個々の異常を薬に頼って治す前に、複数の異常の共通原因となる生活習慣を変えてほしい」と話している。(平成17年12月2日 毎日新聞) 大動脈瘤、原因たんぱく質の異常究明 破裂すると大出血して多くの患者が死亡する大動脈瘤(りゅう)の原因となる細胞内のたんぱく質の異常を、山口大学医学部の松崎益徳教授、青木浩樹助教授らのグループが突き止めた。動物実験でこのたんぱく質の働きを抑える薬を与えると大動脈瘤が縮小したといい、同グループは「薬剤による治療の道が開けた」としている。成果は米医学誌「ネイチャー・メディシン」12月号に発表される。腹、胸部などにできる大動脈瘤は、血管の壁が弱くなり、血圧に押されて風船のように膨らむ病気。コラーゲンなど血管壁をつくる材料が分解されやすくなったり、材料を合成する能力が落ちることが血管壁を弱くすると考えられている。病気の進行を遅らせる薬は登場しているが、根本治療には患部を人工血管に置き換える手術が必要で、患者の負担も大きい。 松崎教授らは、患部で血管壁の材料を分解する酵素が増え、逆に材料を合成する酵素が減少することを確認。その原因が「JNK」というたんぱく質の働きが異常に高まることにあると考えた。大動脈瘤を持ったマウスにJNKの働きを抑える薬を与えたところ、血管壁をつくり直す能力が回復し、大動脈瘤が小さくなったという。研究グループは臨床応用に向け、さらに効果的な薬や投与法を開発中。松崎教授は「手術しか方法がなかった動脈瘤を薬で小さくできれば、治療の選択肢が広がる」と話している。(平成17年11月28日 毎日新聞) 本人の骨髄から幹細胞移植 信州大医学部付属病院は12日、重い狭心症のため心臓を取り巻く血管の流れが悪くなった男性患者(61)の心筋に、本人の骨髄から採った幹細胞を移植した結果、心機能の改善に成功したと発表した。患者はこの治療から1カ月後の今月2日、退院した。重い心筋梗塞(こうそく)の患者が骨髄の細胞移植で回復した例は、8月に埼玉医大から報告されたが、心筋梗塞に至る前段階の狭心症患者での回復例は、国内では今回が初めての報告だという。 治療したのは、信大病院循環器内科の池田宇一、心臓血管外科の天野純両教授らのチーム。 男性は4年前から狭心症を患っていた。今年7月に胸の不快感を訴えたため検査すると、心筋に栄養を送る「冠動脈」3本が詰まっていた。9月1日にうち2本について、人工血管を使ったバイパス手術をした。詰まりのひどい残る1本がカバーする心筋部分には、同時並行で幹細胞を直接注射して移植する治療を採用した。 実際には、本人の骨髄液550ミリリットルを採取し、再生になんらかの働きをする幹細胞を集めて、計5ミリリットルを注射。手術後、付近の血流が改善したのを画像検査で確認した。 患者は退院後、以前と同じ日常生活を送っており、今のところ副作用も認められていないという。治療にあたっては、事前に患者の同意と、院内の倫理委員会の承認を得た。池田教授は「将来はカテーテルを使って心筋に直接、幹細胞を注入できるようにして、患者の負担を減らしたい」と話している。(平成17年10月12日 朝日新聞) 総コレステロール値と心筋梗塞の発症とは無関係 血液中の総コレステロールの値は心筋梗塞(こうそく)を発症する危険性とほとんど関係がないとの調査結果を、青森県立保健大の嵯峨井勝教授(環境保健学)らが15日、東京都内で開かれた日本動脈硬化学会で発表した。関係するのは血圧や「善玉」と言われるHDLコレステロールの値だった。嵯峨井教授は「総コレステロールより血圧に注意し禁煙と運動で善玉コレステロールを増やすべきだ」と訴えている。同学会は、血液1デシリットル中の総コレステロールが220ミリグラム以上を「高コレステロール血症」と定め、心筋梗塞の可能性が高まるとして、喫煙者や45歳以上の男性、55歳以上の女性は220未満に抑えるべきだとの指針を発表している。220以上は全国で2300万人と推定されるが、今回の調査は指針に疑問を呈する形となった。嵯峨井教授らは、04年度に青森県内で健康診断を受けた40歳以上の男女1491人について、総コレステロール値やHDL、血圧、年齢、性別、喫煙の有無を調査。全国の男女5万人を6年間追跡して心筋梗塞の発症率を調べた別の調査と比較した。総コレステロールが260程度でも、大半の人の発症率は1%未満にとどまった。180程度でも、喫煙などの影響で同約5%に達する人もおり、総コレステロール値と心筋梗塞の発症率にはほとんど関係がなかった。(平成17年16日 毎日新聞) 閉塞性動脈硬化症の遺伝子治療 足の血管が詰まる「閉塞性動脈硬化症」の遺伝子治療に、中国地方の広島大病院(広島市)、国立病院岩国医療センター(岩国市)など5施設が取り組むことが、14日分かった。全国規模で行われる臨床試験の一環で、遺伝子治療薬の臨床試験としては国内初となる。閉塞性動脈硬化症は糖尿病や老化のため手足の血管が狭くなり、血流が悪くなる。内科治療やバイパス手術などで治療するが、悪化すると、組織が壊死(えし)して足の切断に至るケースも多い。臨床試験で使う遺伝子治療薬は、大阪大の研究者らでつくるベンチャー企業が開発。血管をつくる作用があるタンパク質「HGF」(肝細胞増殖因子)の遺伝子を組み込んだ治療薬を患部に注射すると、周囲に新しい血管が作られて血流が改善するという。大阪大での臨床研究では、約六割で痛みが和らぐなど症状が改善し、目立った副作用もなかったとしている。対象は40〜85歳で、安静時にも痛みがあったり、潰瘍(かいよう)があって、他に治療法がない重症患者。がんや心臓、肝臓、腎臓に重い障害がある場合などは対象から除かれる。1カ月間隔で2回、足の筋肉に薬を直接注射。その後5カ月間は効果と安定性を調べる。臨床試験で患者の費用負担はない。広島大病院は既に実施を承認。岩国医療センターも20日に開く院内の治験審査委員会の承認を経て、6月中にも治療を始める見通し。全国で、岡山大、川崎医大、鳥取大を含め約40病院が実施する。(平成16年5月15日 中国新聞) 一酸化窒素が動脈硬化抑制 体内の一酸化窒素が血液の固まるのを抑え、動脈硬化になりにくくする仕組みを米ジョンズ・ホプキンス大の松下健二研究員(循環器内科)らの研究チームが解明した。スイッチ役となるたんぱく質の働きが一酸化窒素によって抑えられることをマウス実験で確認し、治療薬の候補も作った。17日付米科学誌セルで発表した。 血液中の一酸化窒素には血管を拡張したり、動脈硬化を防いだりする作用があることは知られているが、詳しい仕組みはわかっていなかった。研究チームは、血管の細胞が血液を固める信号を出すきっかけを作るたんぱく質NSFに注目。一酸化窒素と反応すると、NSFの性質が変化して、信号が伝わらなくなることをマウスの細胞実験で明らかにした。 さらに、NSFの働きを抑えるたんぱく質を人工的に合成することに成功。尾の先端を切って出血させたマウスに注射して、血が固まって止まるまでの時間を比較した。 その結果、注射したマウスは、注射していないマウスよりも、最大で3倍以上も血が固まるまで時間がかかった。 松下さんは「NSFを標的にすれば、副作用が少なく、濃度調節もしやすい薬になる。新しい動脈硬化薬の開発につなげたい」と話している。 一酸化窒素の働きを利用した薬には、狭心症治療薬ニトログリセリンの錠剤などがある。成分が体内に吸収されて一酸化窒素に変化し、血管を広げる。しかし、薬として働く時間が短く、濃度の調節が難しい。(平成15年10月18日 朝日新聞) 動脈硬化を早期診断 九州大学の研究グループは動脈硬化の早期診断に役立つ磁気共鳴画像装置(MRI)用の造影剤を開発した。血管内に注射すると、動脈の傷ついた部分にだけ吸着し、動脈硬化の引き金となる病変部をMRIで簡単に見つけだせる。心筋こうそくや脳梗塞などの予防に有望とみており、3年以内に臨床試験の準備を整える。九大工学研究院の片山佳樹教授と医学研究院の下川宏明・助教授らの成果。 血管の傷ついた部分にだけくっつく「アゾ色素」と呼ぶ特殊な色素を、MRI検査で一般的に使う金属造影剤にくっつけた。この造影剤を血管に投与すると、傷ついた内壁にだけ色素部分が一時的に結びつく。(平成15年10月15日 日経産業新聞) 心筋梗塞後も禁煙で冠動脈改善 心筋梗塞(こうそく)になった人でも、禁煙することにより、心臓に栄養などを送る冠動脈の機能が、比較的短期間に改善することが、徳島赤十字病院循環器科の細川忍副部長らの研究で明らかになり、このほど開かれた日本心臓病学会で発表された。動脈硬化が進んだ人でも、禁煙が効果的であることが示された。 たばこを吸うと、ニコチンや一酸化炭素の影響で動脈硬化が進み、心筋梗塞などの危険が高まることが知られる。だが、禁煙によって冠動脈の機能がどう変化するか調べた研究はこれまでほとんどなかった。 細川副部長らは、急性心筋梗塞で病院に運ばれ、手術が成功した53人(平均年齢63歳、うち男性38人)について、手術1か月後と6か月後の冠動脈内皮の機能を調べた。 血管の収縮具合を調べる検査では、発症まで喫煙し、その後に禁煙した35人は、1か月後では、喫煙したことのない18人に比べ機能が明らかに劣っていたが、6か月後にはその差が縮まった。 細川副部長は「退院後、再び喫煙し始める人も多い。今回のデータなどを基に禁煙の重要性を訴えていきたい」と話している。(平成15年9月16日読売新聞) 骨髄の幹細胞使った新治療法 骨髄に含まれる幹細胞で、詰まった血管を再生する新しい治療法が「高度先進医療」制度の適用対象になり、医療保険から医療費の一部が給付されることが確実になった。 4日の中央社会保険医療協議会(中医協)の審議を経て厚生労働省が正式承認する見通しだ。 さまざまな種類の細胞になる幹細胞を使った「再生医療」への保険適用は初めてで、一般的な医療に一歩近づいたことになる。 承認されるのは関西医科大病院、久留米大病院、自治医科大病院。足などの細かな血管が詰まって血流が悪化する糖尿病患者に多い「閉塞(へいそく)性動脈硬化症」や、原因不明の「バージャー病」の患者が対象だ。 痛みで歩行が困難になり、組織が壊死(えし)することもある。 新治療法は患者自身の骨髄液を濃縮して患部に注射。骨髄液中の幹細胞が新たな血管ができるのを促す。 関西医大が00年に初めて開始した治療法で、これまで3施設で計65人が治療を受け、8割程度で改善がみられた。 この治療法には百数十万円の治療費がかかり、これまでは原則自己負担で病院が研究目的で肩代わりしてきた。 保険が適用されれば、自己負担は30万〜50万円程度になり、治療を受けやすくなる。 高度先進医療は、検査費や薬剤費など一般的な医療の部分を保険の対象にする制度で、3施設は昨年7月に適用を申請していた。(平成15年6月4日 朝日新聞) 動脈硬化起こす原因遺伝子発見 動脈硬化の引き金となる可能性を持つ遺伝子を、東京大医科学研究所の中村祐輔教授らが、動物実験で新たに突き止めた。狭心症や心筋こうそくなどにつながる動脈硬化を抑える新薬開発に役立つという。 中村教授らは、ウサギの血管を傷つけた場合に強く働く遺伝子「ITR」を発見。血管内膜の細胞増殖にかかわる遺伝子と見られ、この働きを抑えることができれば、内膜の肥大が一因である動脈硬化を防ぐ可能性がある。 この遺伝子を働かなくしたマウスの血管に炎症を起こさせても動脈硬化は起きなかったが、通常のマウスでは内膜が肥大し動脈硬化の状態になった。(平成15年2月17日 読売新聞) 手足切断に至る糖尿病、白血病薬で症状を改善 糖尿病が主な原因で、手足などの血管が詰まる閉そく性動脈硬化症(ASO)に対し、白血病の治療薬を使って患者の骨髄幹細胞を増やし、症状を改善させることに岐阜大の研究チームが成功した。患者から骨髄細胞を取り出し、培養して患部に打つ治療法と比べて負担がないうえ、同じ効果が得られ、副作用もない。患者はトイレに歩けるまで回復したという。 ASOは、症状が進むと手足を切断しなければならず、重症患者は国内に1万―2万人いるとみられている。治療法としては現在、患者の体から骨髄細胞を取り出し、この中の、血管などの細胞になる「幹細胞」を培養した後で体に戻す方法が行われている。患部に新たな毛細血管を作り出し、血流を回復させる方法で、全国の大学病院で行われ効果を上げている。 これに対し、岐阜大大学院再生医科学循環器内科(藤原久義教授)のチームは、白血病などの治療に使われる骨髄幹細胞を増やす薬「顆粒(かりゅう)球コロニー刺激因子(G―CSF)」に注目。 50―75歳の重症患者30人の承諾を得て、このうち10人にG―CSFを10日間、腹部に注射。1か月後、この10人の症状と、骨髄細胞を患部に直接打つ治療をした患者、何も治療をしなかった患者各10人と比べてみた。 その結果G―CSFを注射した患者は足の血圧が上がり、足に毛細血管が新しくできたとみられている。患者は近くまでなら歩けるほどになり、骨髄細胞を打った患者と同程度まで症状が改善した。(平成14年9月10日 読売新聞) 造血幹細胞が動脈硬化の原因 東大グループ発表赤血球や白血球などのもとになる造血幹細胞という細胞が、動脈硬化の原因になることを東京大学の佐田政隆医師、永井良三教授(内科)らが見つけ、1日発行の米医学誌ネイチャー・メディシンで発表する。佐田さんらは、心臓移植の際に移植した心臓の周囲の血管に動脈硬化が起きやすいことに着目。マウスで移植実験をし、動脈硬化になった部分を調べた。移植を受けたマウスの血液中の細胞がくっついて変化していた。さらにマウスの骨髄移植実験で、動脈硬化の起きた場所では造血幹細胞がくっつき変化したことを確かめた。動脈硬化は従来、血管をつくる細胞が性質を変えて増殖し、血管を狭めて起きるとされていた。これに加えて、別の仕組みもわかり、造血幹細胞がくっつかないようにする薬など新治療法開発の可能性が出てきた。一方、この細胞はほかの組織の細胞に変わる可能性があり、再生医学の研究で注目されるが、場合によって病気の原因になることを示した今回の実験は、今後の研究に影響を与えそうだ。(平成14年4月1日 朝日新聞) |
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