SARS(重症急性呼吸器症候群)



SARSワクチン、米国立研究所が開発 

世界各国で770人余りの死者を出した重症急性呼吸器症候群(SARS)について、米政府がワクチンの臨床試験を始める。米国立保健研究所(NIH)が13日、「異例の速さで開発できた」と発表した。 ワクチンはSARSウイルスのDNAの断片を利用した。接種するとウイルスのたんぱく質に似た物質が体内にでき、免疫系を警戒状態にする効果が期待できる。 このワクチンをマウスに接種した実験では、SARSを予防できることが確認された。臨床試験では、10人の健康な被験者に接種して32週間にわたって経過を観察し、ワクチンの安全性と効果を確かめる予定だ。一般的にワクチン開発には10年単位の時間がかかることも多いが、今回のワクチンは世界保健機関(WHO)がSARSを新型感染症と位置づけてから21カ月で臨床試験にこぎ着けた。 NIHによると、中国のチームが今年5月、ウイルスを不活化した別のワクチンの臨床試験に着手している。 ロイター通信は、このワクチンの安全性に問題はなく、適切な免疫反応も誘発したと伝えた。(平成16年12月14日 朝日新聞)

新型肺炎のウイルスは動物から人間に感染繰り返し強力に

新型肺炎「重症急性呼吸器症候群」(SARS)の原因ウイルスは、宿主の野生動物から人間への感染を繰り返すうちに遺伝子が変異し、短期間に強力な感染力を持つものだけが残ったことが、中国と米・シカゴ大の研究チームによって明らかになった。SARS患者に接触した人が感染した割合は、流行当初の約3%から、数カ月後には約70%になった。30日付の米科学誌サイエンスに掲載される。SARSは02年11月に中国・広東省で流行し始め、03年7月に世界保健機関(WHO)が制圧宣言したが、今冬、中国で再び患者が発生した。

研究チームは、患者が少数の流行初期、香港のホテルなどで多数が感染した「スーパースプレッダー」現象があった中期、世界に感染が広がった後期の3段階に分け、ウイルスを分析した。初期のウイルスは、野生動物のハクビシンのウイルスと遺伝子配列がほぼ同一だったが、中期以降は人間の免疫から逃れ、細胞に感染しやすいように表面のスパイク状のたんぱく質が変異していた。中期と後期のウイルスでは遺伝子に変異はあまり見られなかった。(平成16年1月30日 毎日新聞)

台湾で今冬初のSARS患者、研究者が実験中感染か

台湾の衛生署(衛生省)疾病管制局は17日午前、国防医学院予防医学研究所に勤める男性の研究者(44)が重症急性呼吸器症候群(SARS=サーズ)に感染したと発表した。患者は検査の結果、陽性反応を示しており、SARS専門の和平病院に移送、隔離された。同患者はSARSの研究に従事しており、実験中に感染したとみられる。 SARS感染者が出たのは今冬初めて。 世界保健機関(WHO)がSARS終息宣言をした7月以降では9月にシンガポールで今回と同様に医療関係者が研究中にSARSに感染したケースが報告されている。疾病管制局によると、男性は今月5日に実験中に感染したもよう。家族や研究所の同僚にSARSの症状は見られず、感染が広がる恐れはないとしている。男性は7日からSARS対策の会議に出席する目的でシンガポールを訪問。 台湾に戻った10日夜に38度5分の高熱が出た。熱がひかないため、16日に三軍総病院で診察を受けた。(平成15年12月17日 日本経済新聞)

SARS迅速検査キット

再流行が懸念されている新型肺炎SARS対策で、感染の有無を約1時間で判定できる検査キットを国立感染症研究所などと共同開発したとして、検査薬メーカーの栄研化学(東京都)は27日、厚生労働省に製造承認を申請した。同省は優先的に審査して、早ければ年内にも成田や関西といった国際空港の検疫所に配置する予定だ。長崎大学熱帯医学研究所や香港やベトナムの研究機関も共同開発に加わっていた。

キットは、血液やのどの粘液に含まれるウイルスの遺伝子を増やし、SARSに感染しているかを判定する。 これまでSARSの判定には遺伝子の一部を増やすPCR法が使われてきた。 しかし、結果が出るまで最低半日かかった。今回開発されたキットは、原理はPCR法と同じだが、遺伝子を増やす仕組みを改良、増殖速度を1000倍に速めて、約1時間でSARSウイルスを検出できる。インフルエンザウイルスや他のコロナウイルスを誤ってSARS陽性と判定する可能性は低いという。国立感染症研究所の田代真人ウイルス第3部長は「高額な機器が不必要で、手順も簡単なので用途は広い」と話している。(平成15年11月28日 朝日新聞)


SARSワクチン、開発最短でも2年

世界保健機関(WHO)は5日、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)のワクチン開発までに、最短でも2年かかるとの見通しを発表した。 北半球の冬が間近に迫り、再流行の懸念も高まっているが、ワクチン開発は今冬には間に合わないことが明確になった。1月にもSARSワクチンの最初の臨床試験が始まる予定。(平成15年11月6日読売新聞)

SARS、飼い猫にも感染 ヒトに再感染も

新型肺炎「重症急性呼吸器症候群」(SARS)の患者から分離したSARSウイルスが、家庭で飼育されているネコやフェレット(イタチ科の飼育動物)に簡単に感染することが、オランダや香港の研究チームの実験で分かった。無症状か軽症のまま、同室の別の動物に感染することも判明した。身近なペットを媒介してSARSが拡大する危険性があることを意味する。研究チームは「予想以上に幅広く動物の間にウイルスが潜伏し、そこからヒトへ再感染する可能性がある」と指摘している。30日発行の英科学誌「ネイチャー」に掲載された。

研究チームがSARS患者から分離したウイルスをネコ6匹とフェレット6匹に投与したところ、すべてが感染したことを確認した。いずれも投与後2〜14日までウイルスの排出が続いた。また、未感染のネコ2匹とフェレット2匹を、感染したネコなどがいる部屋に入れたところ、4匹とも感染した。感染した計8匹のネコはいずれも無症状だった。フェレットはやや調子が悪くなり、3匹は原因不明で死んだ。ウイルスが別の生物に感染するには、細胞の表面にそのウイルスとの接着剤の役割を果たす特別なたんぱく質(ウイルスレセプター)が必要となる。このたんぱく質が、ヒトと動物で同じ形状のものがない場合は、直接投与しても感染には至らない。これまでSARSは野生動物からヒトに感染したと見られていた。

今回の研究で、逆にヒトから動物へも感染することが証明された。鹿児島大医学部の藤吉利信助教授(ウイルス学)は「ウイルスが人間と動物の間で感染を繰り返し、身近な動物もSARSの感染源となりうることを実証した。SARSが流行した中国などでは、動物のウイルス保有状況などを調査する必要がある」と話している。

世界保健機関(WHO)は7月にSARS制圧宣言をした後も、冬に再流行がありうるとして警戒を呼びかけている。一方、国はハクビシンを7月に輸入禁止にし、2年以内にはフェレットなど多くのほ乳類の輸入に対し、輸出国の衛生証明書の添付と国への届け出を義務付ける予定で、輸入動物からSARSなどの感染症が国内に侵入することを警戒している。(平成15年10月30日 毎日新聞)

SARS治療、肝炎治療インターフェロンに注目集まる

新型肺炎、重症急性呼吸器症候群(SARS=サーズ)の治療薬として、肝炎治療に使うインターフェロンに注目が集まっている。 東京大学のグループがインターフェロンを利用する新しい手法を提案したほか、ドイツでもヒト細胞実験で効果を確認した。 東大の森口尚史・助教授らは、遺伝子技術で抗ウイルス作用を高めた「コンセンサス・インターフェロン」を提案。 リバビリンという薬剤を併用した場合、C型肝炎の治療で最も効果が高いことが臨床試験で確認されている。 森口助教授は「SARSウイルスはC型肝炎ウイルスと同じタイプなので、同療法がSARS患者にも効く可能性は高い」と話している。(平成15年10月13日 日本経済新聞)

SARS、一類感染症に指定・改正感染症法

今冬に再流行が予想されている新型肺炎、重症急性呼吸器症候群(SARS=サーズ)に対応するため、国の権限を強化する改正感染症法案と改正検疫法案が10日、参院本会議で可決、成立した。 SARSを最も危険性の高い一類感染症に指定し、ペストやエボラ出血熱と同様、病院の建物封鎖など最大限の強制措置が取れるようになる。 改正によってテロに使われる恐れのある天然痘も同じく一類感染症に指定。 こうした感染症対策で緊急の必要がある場合は都道府県知事に対して指示を出せるようにするなど国の権限を強化した。 動物から人にうつる感染症の対策も強化した。トリ型インフルエンザなど動物由来感染症を中心とした新たな感染症の分類を設け、必要な消毒措置などを実施できるようになる。 さらに動物の輸入届け出制度も創設。感染させる恐れのある動物を輸入する場合は衛生証明書を添付、動物の種類、数量の届け出が義務付けられる。(平成15年10月10日 日本経済新聞)

SARS感染防止に効果 ウイルス殺す微粒子を開発

鳥取大学農学部の大槻公一教授(ウイルス学)の研究グループと鳥取県用瀬(もちがせ)町の電気機械メーカー・用瀬電機(若林一夫社長)は29日、新型肺炎SARSウイルスと同種のウイルスを10分前後で10万分の1程度に死滅させる素材を開発した、と発表した。 SARSはマスク着用や手洗いで予防できるが、「持続的に殺滅し、安全性が高いので感染防止に効果が期待できる」としている。 この冬までに、新素材を添加したマスクやスプレーなどを実用化する予定。 同教授らによると、新素材は、天然鉱物ドロマイト(白雲石)を同社のナノテクノロジー(超微細技術)で特殊加工した微粒子(直径1ナノメートル〜100ナノメートル、ナノは10億分の1)。 同社が抗菌やダイオキシン抑制に効果のある素材開発を進めていることに大槻教授が着目。 SARSウイルスと同科同属で、表面構造も一致する鳥コロナウイルス(鶏伝染性気管支炎ウイルス)と新素材を鶏卵に注入する実験などを繰り返した。 その結果、鶏胚(はい)の正常な成長に影響はなくウイルス数は10万分の1以下に激減、感染力を失うことが分かったという。 入手が難しいSARSウイルスでの実験はしていない。 SARS感染予防策としては、世界保健機関(WHO)は高密度繊維マスクN95を推奨しているが、交換が毎日必要で、ウイルスを死滅させる効果はない。 これに対し、新素材は少なくとも3カ月以上にわたって殺す効果があるという。 ドロマイトは食品としての販売を厚生労働省が認可している。(平成15年9月29日 朝日新聞)

1時間以内でSARS感染を判定 検査キット開発に成功

新型肺炎SARSの感染を1時間以内に判定できる検査キットの開発に厚生労働、文部科学両省の合同研究班(班長=吉倉廣・国立感染症研究所長)と検査薬メーカーが共同で成功した。患者数十人の検体を使ったテストでは8割以上と高い精度を示した。香港などの研究機関とともに本格的な試験を実施中で、11月には結果がまとまる見通し。厚労省は精度が確認できれば今冬にも空港の検疫所などで利用したい考えだ。SARSは発熱やせきなどの初期症状がインフルエンザと似ており、一緒に流行すると判定が難しい。空港などで迅速に検査できれば、感染者をすぐに隔離でき感染拡大を防げると期待される。現在の検査法では、結果が出るまでに最低半日かかる。しかも感度が低く、感染しながら陰性と出る例も少なくない。検査の精度は5割程度とされ、簡単で迅速、精度の高い検査キットの開発が課題になっていた。米国のベンチャー企業なども開発を進めているが、実用化されたものはない。新たな検査キットを開発したのは、感染研の田代真人・ウイルス第3部長らのグループと、検査薬メーカーの栄研化学(本社・東京)。検体中のSARSウイルスの遺伝子の一部を増やして見つけ出し、感染の有無を判定する。この原理は今の検査法と同じだが、遺伝子を増やす仕組みを改良し、速度を1千倍に速めた。血液やのどの粘液をとり、試薬に混ぜて約65度で30分ほど保温するだけで感染していれば白く濁ってくる。この手法は同社が開発し、サルモネラや腸管出血性大腸菌O157などの検査で実用化しておりSARSに応用した。 本格的な試験は検体を数百に増やして精度を確認するとともに、感染後何日で判定が可能か調べる。多くの試料を保管する香港の中文大学をはじめベトナムやフランスの研究機関と共同で行う。 結果を受けて同社は厚労省に承認申請し、商品化を目指す。 田代部長は「短時間で簡単に判定でき、感度も極めて高い。高額で特殊な機器は要らず用途は広い。この冬には間に合わせたい」と話す。 精度が確認できれば、有力な手段になるとみて10月の世界保健機関(WHO)のSARS専門家会議で報告する予定だ。(平成15年9月28日 朝日新聞)

文科省、中国のSARS院内感染対策手引き配布

文部科学省は、中国が実施している重症急性呼吸器症候群(SARS=サーズ)の院内感染対策を手引にまとめ、今週中にも全国42の国立大学病院に配布する。中国は今年前半、5000人以上の感染者が発生したが、流行後半期は対策によって感染の拡大を防いだと評価されている。世界的に秋から再流行する可能性が指摘されており、早期対策の徹底を促す。 手引は群馬大学医学部の池康嘉教授らが北京大学の梢永紅臨床薬理学研究所長の協力を得て作成した。 院内感染対策を講じた現地の病院の様子など約百枚の画像をCD―ROMに収録、取り組みを解説している。(平成15年8月7日日本経済新聞)

SARSウイルス・プロテアーゼの高解像度3次元データがPDBで公開

重症急性呼吸器症候群(SARS)を引き起こすコロナウイルス(SARSウイルス)の、蛋白分解酵素(プロテアーゼ)の立体構造が、論文発表に先立ち蛋白立体構造の公的データベースであるProtein Data Bank(PDB)上に公開された。PDB上には既に、SARSウイルス・プロテアーゼの立体構造が3件公開されているが、これらは全てSARSウイルス以外のコロナウイルスのX線解析像などに基づく予測構造。SARSウイルスそのもののX線解析像に基づく立体構造の公開は初めてで、抗SARSウイルス薬の開発に弾みが付きそうだ。 この構造解析を行ったのは、シンガポール国立Genome研究所と米国Structural GenomiX社(SGX社)の共同研究グループ。 SARSウイルスを結晶化して得られたX線解析像に加え、SARSウイルスのゲノム配列を参照することで、1.86オングストロームという高解像度で3次構造を決定することに成功したという。 SARSウイルスの主要プロテアーゼ(Mpro)はウイルスの複製を担っており、この働きを阻害することで、SARSの治療薬を開発できる可能性がある。 SGX社では、PDBを通してSARSウイルス・プロテアーゼの立体構造を広く公開することで、SARS治療薬の開発を促進すると共に、共同研究の機会を広げたいとしている。(平成15年8月日medwave)

SARSウイルス検出する試薬を開発

栄研化学は19日、重症急性呼吸器症候群(SARS=サーズ)のウイルスを一時間足らずで検出できる試薬を開発すると発表した。 同社が試薬を試作し、長崎大学熱帯医学研究所の森田公一教授の協力を得て性能評価などの実証実験を進める。 今冬にも研究用試薬として供給する。 同社の独自技術である遺伝子増幅法「LAMP法」を活用。 SARSを引き起こす新型コロナウイルスの遺伝子を特定できる試薬と患者の血液などの検体を反応させると、ウイルスの遺伝子だけが短時間で増幅する。 増幅した遺伝子は紫外線ランプにあてると緑色に光るので、目視で簡単に確認できる。 民間企業ではSARS患者の検体の入手が困難なため、森田教授に協力を要請。 同教授は海外研究者の協力などでSARS患者の検体を収集し、試薬の有効性を検証するという。 SARSと似た症状がみられるというインフルエンザの流行時期までには研究用試薬の実用化にメドをつける。(平成15年6月20日日経産業新聞)

SARS「今冬に大流行の恐れ」

新型肺炎SARSが、今年の冬に猛威をふるうとの見通しを、米国の感染症研究の第一人者が米議会で証言した。 衛生当局の責任者たちも同意した。風邪ウイルスの変種のSARSウイルスは、低温で空気が乾く時期になると急速に広がる恐れが強いという。 上院公聴会で証言したのは、ミネソタ大感染症研究政策センターのマイケル・オスターホルム所長。 感染拡大が落ち着きつつあるのは、夏に向かっているためと指摘。 「冬になれば復活し、今よりはるかに急速に広がるだろう」と証言した。同席した疾病対策センター(CDC)のガーバーディング所長と国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長も、同ウイルスは冬に広がりやすい性質をもっている可能性があると指摘した。 また、オスターホルム所長は「20年後には世界中に蔓延(まんえん)しているだろう」とも述べた。 SARS対策の切り札となるワクチンは、米国や日本などが開発を急いでいるが、安全性の確認も含め、実用化まで少なくとも2、3年はかかると専門家らは見ている。(平成15年5月23日朝日新聞)

SARSの死者550人超える、死亡率7.4%に上昇

世界保健機関(WHO)は12日、新型肺炎(SARS)で同日午後5時(日本時間13日午前零時)現在の世界まとめを発表、死者は中国と香港を中心に前回10日より26人増の552人に上った。 可能性例を含む感染者は同151人増の7447人だった。 死亡率もじりじり上昇し、7.4%に達した。 他国・地域で新型肺炎の被害拡大が抑制されつつある中、中国は新たに増加した死者の65%以上、感染者の85%以上を占めており、感染は依然として拡大基調にある。 発表によると、中国の死者は12日の時点で252人、可能性例を含む感染者は5013人だった。 中国に香港、マカオ、台湾を加えた中華圏でみると、死者は世界全体の88.8%に当たる490人、感染者は同92.4%の6881人に上る。 新規感染者が中国を除けば頭打ちとなる一方、重症患者の死亡が続いており、死亡率は今後も上昇すると懸念される。 WHOは、最終的な死亡率は14―15%に達すると予測している。(平成15年5月13日日本経済新聞)

新型肺炎、新種ウイルスは消毒液が有効

世界保健機関(WHO)は4日(日本時間5日)、新型肺炎「重症急性呼吸器症候群」(SARS)を引き起こす新種のコロナウイルス「SARSウイルス」に関する最新の研究結果を発表した。 下痢患者の便の中では4日間生き続けるなど通常のコロナウイルスより強い生存力を示すが、一般的な消毒液にさらされると短時間で死滅することが分かった。 WHOの共同研究チームに参加している香港、ドイツ、日本の研究機関の研究成果をまとめた。 通常のコロナウイルスは、常温だと体外に排出されてから数時間で死滅するが、SARSウイルスは2日間生存した。 下痢患者の便では4日間生き続けた。 通常の便や尿の中でも2日間はウイルスが生存した。 一方、エタノールやホルムアルデヒドなどを含んだ消毒液で消毒すると5分以内に死滅した。 今回の研究結果は、患者の飛沫で汚染されたドアやエレベーターのボタン、汚水のしぶきなどから感染が広がる可能性を示しており、WHOは「感染の防止には、手洗いやこまめな消毒が欠かせない」と指摘している。(平成15年5月6日 毎日新聞)

SARSウイルス、人体外で最長4日間生存

世界保健機関(WHO)は5日、重症急性呼吸器症候群(SARS=サーズ)の原因となるウイルスが人体の外で少なくとも4日間生存できることを確認したと発表した。 WHOと連携する日本、ドイツ、香港の感染症研究機関のネットワークが突き止めた。 ウイルスに汚染された手や物への接触で感染が広がる恐れが強く、一段と警戒の強化が必要になる。 同ネットワークによると、新種のコロナウイルスであるSARSウイルスは乾燥したプラスチックの表面で室温で48時間まで生存可能と判明した。 香港大学クイーンメリー病院は尿の中で最低でも24時間、便の中で最低2日間は生きられると断定。 香港保健衛生当局はサーズ感染者の下痢状態の便の中だと4日間もの生存が可能だと言う実験結果を得た。これまでに知られているコロナウイルスは体外で数時間しか生きられないとされ、SARSウイルスはより強力であることが明らかになった。(平成15年5月6日 日本経済新聞)

WHO、原因は新種のコロナウイルスと断定

世界保健機関(WHO)は4月16日、重症急性呼吸器症候群(SARS)の原因は新種のコロナウイルスであると断定したと発表した。 新種のコロナウイルスは、「SARSウイルス(SARS virus)」と命名された。 WHOは、原因ウイルスを迅速に確認できたのは、「10カ国の13の研究室の国際協力の結果」であると指摘。 カナダ、フランス、ドイツ、香港、日本、オランダ、シンガポール、英国、米国、それに最近加わった中国の研究室からなる共同研究ネットワークの成果を強調した。 発表では、WHOの研究者で、最初にハノイでSARSの診療に当たり、世界に向けてSARS警報を発した故Carlo Urbani氏(3月29日のSARSで死亡)に、SARSウイルス発見の成果を奉げると締め括っている。(平成15年4月17日medwave)

SARSの原因ウイルス、米CDCがゲノム解読

中国・広東省、香港を中心に流行している新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の原因ウイルスとされる新種のコロナウイルスのゲノム(全遺伝情報)を、米疾病対策センター(CDC)などが14日までに解読した。同日中にも公開される見通しで、信頼性の高い診断キットの開発や、どこから出現してきたかなどの解明につながる成果として注目されそうだ。CDCによると、新種のウイルスのゲノムは、約1万7500塩基対で構成。これまで知られているコロナウイルスが3万塩基対前後だったの比べ、塩基数が大幅に少なかった。このウイルスがもともと、人間に感染するタイプだったのかや、ほかの動物を宿主としていたかなどは、特定できていないという。国立感染症研究所の田代真人ウイルス第三部長は「治療薬やワクチン開発には時間がかかるのではないか」としている。(平成15年4月14日 日本経済新聞)

国立感染研が新種コロナウイルス検出、診断応用へ期待

新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の患者の肺組織などを分析していた国立感染症研究所は6日、SARSの主因とみられる新種のコロナウイルスを検出したことを明らかにした。米疾病対策センター(CDC)も、「世界保健機関(WHO)の研究協力ネットワークに参加している研究施設の大半で検出に成功した」と発表。中国の専門家が「クラミジアが原因」と主張する中、主因がコロナウイルスであることは一層確実となり、診断への応用が期待される。 同研究所は、ウイルスの遺伝子の一部を化学的に増幅して検出する「PCR法」を利用。香港などSARS流行地から送られてきた数十人分の患者の肺組織や分泌物などを分析した。その結果、すでに発症した患者のほか、潜伏期に採取した検体の一部からも、ウイルスの遺伝子が見つかった。 SARSは、発熱や肺炎などの症状で診断されており、普通のかぜなどとの区別が困難だった。今後、コロナウイルスの遺伝子や、体内にできる免疫物質(抗体)の検出精度が上がれば、確実な診断法につながる。同研究所が、感染が疑われた国内の患者についてPCR法で調べたところ、感染は否定されたという。 WHOによると、5日現在、患者は20か国・地域で2416人、死者は89人に上っている。(平成15年4月6日読売新聞)

SARSの主因はコロナウイルス…WHO発表

世界16か国・地域で1800人以上が発病し、62人が死亡しているSARS(重症急性呼吸器症候群)について、世界保健機関(WHO)は1日、「コロナウイルスが主因」と発表した。 ウイルス本体や、このウイルスに対する抗体が、患者の大半から検出された一方、比較のために調べた数百人分の献血からは全く見つからなかったため。WHOが断定したのは初めて。 SARSの病原体をめぐっては、カナダなどの研究チームが、メタニューモウイルスを複数の患者から検出しており、各国が協力して、どちらのウイルスが主因かを調べていた。 WHOは「ウイルスが分かったことで、治療薬やワクチンの開発につながる」と期待している。ただ、メタニューモウイルスについても、「コロナウイルスと同時に感染して、重症化に関係している可能性がある」として、引き続き調べている。(平成15年4月2日 読売新聞)

SARSの病原体はコロナウイルスの可能性大と発表

米国疾病対策センター(CDC)は3月24日、重症急性呼吸器症候群(SARS)の病原体として、コロナウイルス科の一種でこれまで発見されていない型のウイルスである可能性が最も大きいと報告した。CDCは今後、病原体の特定に向けて、適切な標本ウイルスの更なる培養や、ウイルスのゲノム配列の解明、病期の異なる患者から取り出した標本の分析などが必要だとしている。CDCによると、コロナウイルスのうち2種が、一般的なかぜ症状の原因の3分の1を占めるという。同ウイルスはまた、未熟児の院内感染による上部呼吸器感染の一般的な原因であるとしている。(平成15年3月25日medwave)

病原ウイルスの分離培養に成功と発表

世界保健機構(WHO)によると、香港大学医学部微生物学部門の研究チームは3月22日、重症急性呼吸器症候群(SARS)の病原ウイルスの分離・培養に成功したと発表した。併せて、信頼度の高い診断テスト開発にも大きな前進があったという。 香港大の研究チームは、中国広東省から香港を訪れた初期感染者に接触した後に肺炎を発症した一人の患者(死亡)の肺組織からウイルスを分離した。さらに、抗体中和法に基づく基礎的な検査法を確立した。患者の血液中の抗体を検出する正確度を確かめる実験を行ったところ、8人のSARS患者の血清から安定して抗体を検出できたという。 信頼度の高い迅速診断テストが利用できるようになれば、SARSの感染初期と見分けがつきにくい一般的な疾患で患者を収容しなくても済むようになると、WHOは期待している。 一方、病原体の特定については、香港の別の研究チームとドイツの研究チームがほぼ同時にパラミクソウイルス科の一種ではないかとする研究発表を行い、21日にはカナダの研究チームが、同科に属するメタニューモウイルスが原因ウイルスではないかとする研究結果を公表している。 しかしWHOは、全く別のウイルスであるという可能性も捨てきれないとして、SARSの病原体究明が完了したわけではないと、注意を喚起している。(平成15年3月24日medwave)

WHO、SARSの診断基準を改定

WHOは3月17日(日本時間、以下同)、東南アジアを中心に発症が続いている重症急性呼吸器症候群(SARS)の診断基準を以下のように改定した。潜伏期間が4〜7日程度と判明したことに伴う接触時期の判断と、死亡患者の剖検所見に関する診断、随伴症状の追加などが主な変更内容。SARSと疑われる場合:2003年2月1日以降に、以下の3条件をいずれも満たすケース。1)38度以上の高熱(2)咳、呼吸の短縮、呼吸困難のうち、少なくとも1以上の症状あり(3)発症前の10日間以内にSARSと診断された患者に「濃厚な接触(注1)」があったか、または、発症前の10日間以内にSARSの感染者発生が報告された地域(注2)を旅行した履歴があるSARSであることが確実な場合:SARSと疑われる条件を満たし、かつ(1)胸部X線撮影で肺炎、または呼吸困難症候群が確認された場合、または、(2)原因不明の呼吸器疾患で死亡した患者で、剖検の結果、病理学的に呼吸困難症候群の所見を呈しており、かつ原因が不明なケース。SARSでは、発熱と呼吸器症状に加え、頭痛、筋肉のこわばり、食欲減退、倦怠感、錯乱、発疹、下痢などを伴うことがある。1) 濃厚な接触とは、SARS患者の看護をした場合、同居している場合、呼吸器分泌物や体液に直接触れたことがある場合を指す。注2)カナダのトロントとバンクーバー、中国の香港と広東州、シンガポールの3国4地域 (平成15年3月17日medwave)

原因不明の急性肺炎世界に広がる

世界保健機関(WHO)は15日、アジアから世界に拡散し、死亡者が出ている原因不明の急性肺炎について、今後も、旅行者を通じて感染がさらに広がる恐れがあるとし、異例の「警報」を出した。通常の薬では治療できず、原因も特定できていないという。 WHOによると、これまでに発症が報告されたのは、中国、香港、フィリピン、シンガポール、ベトナムなどアジア諸国が中心。先週だけで、150人の新たな発症の報告があったという。これまでの発症者は500人を超えるとみられる。高熱やせき、呼吸困難などの症状が伴い、重い肺炎に進むという。 死亡者はこれまでに9人。うち2人は香港旅行から帰った親子で、カナダで死亡した。ニューヨークからシンガポールに向かう途中、肺炎の症状が出たためドイツで隔離された乗客もいる。WHOは「健康への世界的な脅威」として、旅行者への注意喚起と各国の公衆衛生当局に、警戒と発症の通報を呼びかけている。 日本の厚生労働省は17日までに、感染者が報告された地域から帰国した人で、原因不明の重い肺炎患者が出た場合には国に報告するよう都道府県に通知した。また、空港などで旅行者に情報提供し、帰国後に高熱や息切れなどの症状が出たら、すぐ医療機関で受診するよう呼びかけている。同省によると、日本では原因不明の重い肺炎とみられる患者は今のところ確認されていない。(平成15年3月17日 朝日新聞)


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