神経内科疾患



パーキンソン病のiPS細胞治療、ラットで成功

新型の万能細胞「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」から作り出した神経細胞を使い、パーキンソン病のラットを治療することに、米マサチューセッツ工科大のルドルフ・ヤニッシュ教授らのグループが成功した。iPS細胞が神経病の治療に使えることを初めて示した成果。研究グループは、マウスの皮膚からiPS細胞を作り、神経伝達物質のドーパミンを分泌する細胞に分化させた。パーキンソン病を人工的に発症させたラット9匹の脳に移植したところ、8匹の症状が改善、特有の異常動作がなくなった。パーキンソン病は、ドーパミン細胞の異常で手のふるえなどが起きる難病。移植した細胞がラットの脳内に定着し、ドーパミンを正常に分泌し始めたらしい。(平成20年4月8日 読売新聞)

アルツハイマー病、たんぱく集合体が原因

大阪市立大学の森啓教授と富山貴美准教授らは、代表的な認知症であるアルツハイマー病の発症の原因は、アミロイドベータと呼ばれるたんぱく質の小さな集合体が脳の中にたまることとする研究結果をまとめた。このたんぱく質が繊維状になって脳にできる老人斑が原因とする通説を覆す成果で、新薬開発につながると期待される。25日付の米神経内科学誌(電子版)に発表した。アルツハイマー病患者の脳には、しみのような老人斑がみられる。主成分のアミロイドベータは通常は分解されるが、高齢になるとうまく分解されないケースが出てくる。老人斑がたくさんできると神経細胞が破壊され、記憶障害などが起こると考えられてきた。(平成20年2月27日 日本経済新聞)

難病ALS、進行関与の細胞特定

全身の運動神経が侵される難病「筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)」の進行に、神経細胞のネットワーク作りに重要とされるグリア細胞のうちの2種類が関係していることを、理化学研究所などのチームが突き止めた。治療法の開発につながる可能性がある。理研脳科学総合研究センターの山中宏二・ユニットリーダーらは、特定の細胞から遺伝型のALSに関係する遺伝子変異を取り除けるモデルマウスを作った。このマウスを使い、グリア細胞のうち、神経細胞を支え養う働きがあるアストロサイトから、変異型遺伝子を取り除いた。すると病気の進行が大幅に遅れた。また、傷んだ神経細胞を修復する働きがあるというミクログリアが病巣で神経細胞に障害を与えていることもわかった。ALSの進行を遅らせる有効な治療法として、この二つのグリア細胞を標的とした幹細胞治療法や薬剤の開発が考えられる。(平成20年2月4日 朝日新聞)

パーキンソン病、国内初の遺伝子治療

自治医大付属病院はパーキンソン病患者に国内で初めて遺伝子治療を行った。病気は脳内の神経伝達物質ドーパミンの減少で発病する。治療はドーパミンの生成を促す酵素の遺伝子をウイルスベクター(運び屋)に組み込み、脳内の線条体に注入した。薬物への依存度や副作用が低い治療が期待できるという。発病後約11年が経過した50代の男性患者に、「L−アミノ酸脱炭酸酵素」の遺伝子を注入した。この治療法は米国で6例実施され、重大な副作用は確認されていないという。同病院は今後、6カ月かけて安全性と効果を検証する。同病は手足の震えなどを引き起こす。進行すると転倒しやすくなり、最後には寝たきりになる。国内の推定患者数は約12万人。従来は「L−DOPA」と呼ばれる薬を服用してドーパミンに変換させる薬物療法が行われてきた。(平成19年5月7日 毎日新聞)

月経血から筋ジストロフィー治療へ

女性の月経血に含まれる細胞をマウスに注射し、不足すると筋ジストロフィーを引き起こすたんぱく質を作ることに、国立成育医療センター研究所が成功した。筋ジストロフィーは、筋肉を動かすジストロフィンと呼ばれるたんぱく質の不足や異常が原因で発病する難病。 同研究所生殖医療研究部は、女性の月経血に含まれる細胞に着目、ボランティアの女性から提供を受けた月経血を、試験管の中で約3週間培養したところ、筋肉細胞を作ることに成功した。続いて「月経血に含まれる細胞を注射すれば、体内で筋肉細胞に変化するのでは」と考え、ジストロフィンを先天的に作ることのできないマウスの足に、この細胞を注射した。その結果、約3週間後にマウスの筋肉細胞と注射で移植した細胞が融合し、ジストロフィンを分泌していた。梅沢部長は「月経血に含まれる細胞は子宮内膜細胞と思われ、筋肉細胞に非常になりやすい性質を持っている。できるだけ早く筋ジストロフィーの治療に利用できるように研究を進めたい」と話している。(平成19年2月6日 読売新聞)

多発性硬化症、血液検査で再発予測

国立精神・神経センターの研究グループは、免疫に関係する病気「多発性硬化症」の再発を血液検査で予測する技術を開発した。「症状はないが、再発が心配で旅行に行けない」といった患者も多かったが、新技術で患者の生活環境の改善につながりそうだ。多発性硬化症は脳や脊髄に炎症が起きる病気で、国内の患者数は1万人以上といわれる。若い人や女性に多い。症状が安定してから再発するまでの期間は1カ月―数年とばらつきがあり、予測する方法がなかった。研究グループは患者の血液中にある免疫細胞「NK細胞」の「CD11c」というたんぱく質を調べた。症状の安定した23人の患者のうち、たんぱく質の測定値が低い患者は4カ月以内の再発率が15%だったが、値が高い10人では60%が再発し、予測に応用できることが分かった。研究グループではCD11c以外の分子を利用する方法も開発中で、予測率の向上をめざす。(平成18年10月4日 日本経済新聞)

ALS患者のたん吸引、ヘルパーに容認

全身の筋肉が動かなくなる難病のALS(筋委縮性側索硬化症)患者について厚生労働省の検討会は13日、患者のたんの吸引を医療従事者や家族以外にも「当面やむをえない措置」として例外的に認める報告書をまとめた。 たんの吸引は家族の負担が大きかったが、ホームヘルパーでも実施できるようになる。 ALS患者は多くが人工呼吸器を装着しており、24時間介護のもと、平均して30分に1度の間隔でたんの吸引が必要。 同省は家族による吸引は容認していたが、ヘルパーに対しては「医師法で規定された医療行為にあたる」として認めていなかった。 報告書では「吸引は、その危険性を考慮すれば、医師または看護職員が行うことが原則」としながら、家族の負担軽減が求められていることを重視。「今回の措置は在宅ALS患者の療養環境の現状にかんがみ、当面はやむをえない措置として実施」として、ホームヘルパー業務としては認めなかった。(平成15年5月14日日本経済新聞)


ALS治療、メチルコバラミンの大量投与で鈍化 

全身の筋肉が次第に動かなくなる難病、筋委縮性側索硬化症(ALS)の進行を、ビタミンB12に似た物質・メチルコバラミンの大量投与で遅らせられる可能性があることが分かり、徳島大医学部の梶龍兒教授らのグループが13日、発表した。 副作用も小さいといい、同グループは、今後も研究を重ね、薬としての実用化を目指す。ALSは発症後2、3年で呼吸筋がまひし死亡するか、人工呼吸器の使用を余儀なくされる。 多くが40歳以上で発症、全国に患者約5000人がいる。運動神経細胞間の情報伝達物質・グルタミン酸の過剰分泌が原因の一つと指摘されている。 同グループは95年3月〜02年10月、グルタミン酸の毒性を軽減するメチルコバラミンを、患者18人に週2回(1回当たり50ミリグラム)、筋肉注射で投与。 非投与の患者16人と比較した。 この結果、非投与の患者全員が観察開始から32カ月以内に死亡または、人工呼吸器を使わなければならなかったが、投与した患者は観察期限の02年10月を過ぎても11人が人工呼吸器なしで生存できた。 同グループによると、ALSの唯一の薬、リルゾールは吐き気やむかつきなど副作用が大きい。これに対し、メチルコバラミンは元々ビタミンB12と近い物質のため、副作用は軽度の肝機能障害や皮膚の発しんに限られている。(平成15年5月14日毎日新聞)


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