医療の矛盾



ジェネリック医薬品、生活保護者に安価薬 

生活保護受給者に対してジェネリック(後発)医薬品の使用を事実上強制する通知を厚生労働省が自治体に出していることが明らかになった。背景に医療費抑制を迫られる"国の懐事情"があり、通知書でも「後発医薬品は安く」「医療保険財政の改善の観点から」など、お金にかかわる文言が並ぶ。一方、指導に従わない生活保護者を割り出すため、薬局に1枚100円の手数料を払ってまで処方せんを入手するとしており、なりふり構わぬ様子がうかがえる。4月1日に始まった後期高齢者(長寿)医療制度に続き、生活保護者に限定した医費抑制策は「弱者切り捨て」との批判を呼びそうだ。生活保護者については「患者負担が発生しないことから、後発医薬品を選択するインセンティブ(動機付け)が働きにくいため、必要最小限の保障を行う生活保護法の趣旨目的にかんがみ、後発の使用を求める」としている。通知によると、都道府県や政令市などが所管する福祉事務所は、診療報酬明細書(レセプト)の抽出を行ってまで、生活保護者が後発薬を使っているか確認しなければならない。そのために、調剤薬局に1枚100円の手数料を支払い、先発薬を使っている生活保護者の処方せんの写しを提出させるとまで規定していた。先発薬の使用を指示した医師に対しては「特段の理由なく(受給者が)後発薬を忌避したことが理由でないかについて確認」することも盛り込んだ。国は後発薬の使用を生活保護者だけでなく国民全体に呼びかけているが、窓口で3割負担をする患者は調剤薬局などと相談して先発薬を選ぶこともできる。しかし生活保護者は「医学的理由がない」と判断されれば、保護の停止や打ち切りにつながりかねず事実上、選択権が奪われた形だ。ある自治体の担当者は「停止や打ち切りにつながることを、どういう形で受給者に説するか慎重に検討したい」と戸惑った様子で話す。(平成20年4月27日 毎日新聞)

脳腫瘍治療「サイバーナイフ」、全機回収で患者に動揺

脳腫瘍(しゅよう)などに高い治療効果がある米国製放射線照射機器「サイバーナイフ」が1996年に申請した際のミスが明るみに出たことで国内の医療機関から全機回収処置がなされ、患者らに動揺が広がっている。 サイバーナイフはコンピューターが患者の微妙な動きを検知し、頭頸(とうけい)部や脳底などの治療が難しい病巣部に正確に放射線を集中。正常な脳組織にはほとんど放射線が当たらず、副作用が少ない。 機器を導入している全国10か所の医療機関で患者数千人が治療を受けており、「90%以上の患者に効果があった」(サイバーナイフを持つ病院の脳外科医)と治療成績も抜群だった。だが、輸入元のメディテック社(東京)が1996年に厚生労働省から承認された仕様と異なる新型を販売していたことが判明。今春、同省が正式な回収命令を出した。 ある医師は「旧型に比べ、カメラなどの精度が高まり、むしろ使い勝手は良くなっていた。 海外では広く使われており、国内でも患者に不利益を与えるような不具合はなかった」と異例の回収に首をひねる。 医療機関は「特に問題が出ていないのなら、な使わないのかと、患者からの怒りの電話も多い」と困惑の表情を見せている。 昨年、視床下部の脳腫瘍摘出手術を受けた福岡市の会社員(56)は「手術で取りきれなかった部分はサイバーナイフで完全に治せると医師から説明を受けた。その直後に回収になった。残った腫瘍が再び大きくなってきている」と不安な表情を見せる。メディテックでは「当社の完全な不注意。 迷惑をかけた医師に対して誠意を持って対応する」と平謝り。一方、医師らが組織するサイバーナイフユーザー会は、今年2月に厚生労働省に対し、一刻も早い再承認を求める嘆願書を提出。同会代表で厚南セントヒル病院(山口県宇部市)脳神経外科の斎藤研一医師は「ユーザー会も治療の早期再開に向けて努力する」と話す。 厚労省はこのほどメディテックに対し、40日間の医療用具輸入販売業務停止命令を出した。現在、再承認への申請は出ているが、患者の病気は待ってくれないのだが……。サイバーナイフ:病変追尾装置、治療用コンピューターなどが一体となった放射線機器。1台数億円。1994年に米国で治療開始された。患者の体をきつく固定せず、病変だけに放射線照射できる。米国、韓国、台湾、イタリアなどで使用されている。(平成15年8月5日読売新聞)


たはら整形外科の表紙へ戻る