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腱鞘(けんしょう)とは腱を包んでいる鞘(さや)のことで、中に滑液と言う油の様なものがあり、腱を滑り易くしています。腱は要所要所のポイントで、この腱鞘を通り抜け、抵抗なく効率よく滑走し、指の屈伸が行なわれます。あたかも、列車(腱)がトンネル内(腱鞘)をトラブルなく通過して行くのに似ています。 狭窄性腱鞘炎とは、何らかの原因で腱鞘が炎症を起こし、腱が腱鞘内をスムーズに通過出来なくなった状態を言います。 すなわち、列車(腱)の通過が悪くなった状態を狭窄性腱鞘炎と言います。伸筋腱(指を伸ばす腱)の代表的な狭窄性腱鞘炎にはドゥケルバン腱鞘炎があります。屈筋腱(指を曲げる腱)の代表的な狭窄性腱鞘炎にはバネ指があります。 ドゥケルバン腱鞘炎 ドゥケルバン腱鞘炎は手首における代表的な伸筋腱炎の一つです。長母指外転筋腱と短母指伸筋腱が橈骨茎状突起部(手首の親指側))で狭窄された状態です。使い過ぎが原因で、指を酷使する職業の人(最近ではパソコン使用者など)によく認められます。中には、軽微な外傷(打撲や捻挫など)や妊娠、出産をきっかけとして発生する症例もあります。また、時にガングリオンなどの腫瘍によって伸筋腱が圧迫されて起こる場合もあります。症状は手首の痛みと腫れです。痛みは物を摘んだり、握ったりすると増強します。 治療は痛みの誘因となった作業や運動を控えていただき、短期間の非ステロイド系抗炎症剤を処方し、リハビリテーションとして温熱療法や手首のストレッチを指導します。難治例ではステロイド腱鞘内注射を検討します。しかし、これらの保存的治療(手術しない方法)を数ヶ月間行っても改善の得られない症例は腱鞘切開術を勧めます。腱鞘切開術の成績は非常に良く、ほとんどの患者さんが満足されます。 バネ指 バネ指は指の屈筋腱に起こる腱鞘炎で、靭帯性腱鞘が屈筋腱を圧迫したために生じます。発生部位は母指が最も多く、3指、4指の順となります。名称(バネ指)の由来は、引っかかった指を無理に伸ばそうとすると、まるでバネの現象のように、ビヨーンと伸びるのでバネ指と称され、別名「弾発指」、「snapping finger」とも呼ばれています。 中高年者に多く、慢性的な機械的刺激(使い過ぎ)が原因と思われますが、体質的な要因も大きく関与していると考えられています。症状は指の付け根の痛みと運動障害です。患者さんは「指の曲げ伸ばしが困難だ」、「朝起きると指が曲がったままで伸びない」、「無理に指を伸ばそうとすると引っかかりを感じる」などと訴えられます。 治療は誘因となった作業や運動を控えていただき、非ステロイド系抗炎症剤を処方し、リハビリテーションとして温熱療法を行います。難治例ではステロイド腱鞘内注射を検討します。これらの保存的治療(手術しない方法)で改善の得られない症例は腱鞘切開術を勧めます。腱鞘切開術は非常に成績が良く、ほとんどの患者さんが満足されます。長期間放置された症例や短期間に確実な完治を望まれる方は手術的治療をお勧めします。 稀に、先天的に乳幼児の母指に屈筋腱炎を発生することがあります。乳幼児の場合は成人と違って、指が拘縮(軟部組織が固まって関節が動かなくなった状態)のために全く動きませんので「剛直指」とも呼ばれています。治療は曲がった指を徒手整復して(強制的に伸ばして)、数ヶ月間、装具療法(装具で母指を過伸展位にしておく治療)を行います。 |
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