治療について



変形性膝関節症の治療は保存的治療(手術しない方法)と手術的治療とに分かれます。

保存的治療にはリハビリテーション注射療法薬物療法装具療法および肥満に対する治療などがあります。

リハビリテーションは運動療法が中心となります。まず、運動療法の前に、膝関節周辺の血行を改善する目的と、筋肉の異常な緊張を取り除く目的と、関節の動きを滑らかにする目的と、痛みを緩和する目的のために温熱療法電気刺激療法を行います。その後、膝のストレッチング筋力強化訓練の運動療法を指導します。

運動療法の目的は、丁度、鉄筋コンクリートの鉄骨が腐食した場合の処置とよく似ています。すなわち、コンクリートにヒビが入ると、雨水がコンクリートの中に進入し、次第に鉄骨が酸化され腐ってゆきます。鉄骨の腐敗を食い止めるためには、コンクリートをコーティングし補強する必要があります。大腿四頭筋の筋力強化は、まさにコンクリートの補強に相当します。大腿四頭筋を強化する事によって鉄骨に相当する関節軟骨や骨への破壊進行が抑えられる訳です。それ故、コンクリートの役割を果たしている大腿四頭筋を鍛える運動療法は変形性膝関節症の治療において非常に大切となるのです。

注射療法はヒアルロン酸ナトリウム関節内注射とステロイド関節内注射とに分かれます。ヒアルロン酸ナトリウム関節内注射は関節軟骨の保護や関節の動きの改善、関節水腫(水が溜まる状態)の改善を目的として使用されます。道路や車に例えると、破損した道路の舗装工事や汚れた車のエンジンオイルの交換と考えて下さい。ステロイド関節内注射は炎症を抑えて痛みを取り除く作用があり、頑固な疼痛や急性増悪時の疼痛、頑固な関節水腫を認める際に使用されます。しかし、膝関節の場合は荷重関節(体重がかかる関節)であるため出来るだけ使用を控えるようにつとめます。薬物療法は、症状に応じて非ステロイド系抗炎症剤などを投与します。

手術的療法は高位脛骨骨切り術と人工関節全置換術とに分かれます。高位脛骨骨切り術とは、車のタイヤに例えると、左右のタイヤの入れ替えの様なものです。運転によって、右側のタイヤばかりが磨り減れば、傷んでいない左側のタイヤと交換しようという発想です。すなわち、内側の関節軟骨ばかりが傷めば、壊れていない外側の関節軟骨で体重を支えようという手術です。同様な効果を期待出来るものとして装具療法屋内用屋外用)があります。

一方、人工関節全置換術は、車に例えると、エンジンの交換やタイヤの交換のようなものです。変形性膝関節症が進行して関節全体が破壊されれば、傷んだ関節を取り除き、人工の関節に入れ替えようという手術です。しかし、人工関節には耐用年数があるため、その適応に関して慎重であらねばなりません。患者さんの年齢や職業、趣味、肥満、生活環境など、あらゆる因子を十分に検討考慮したうえで、手術の適応を決定せねばなりません。


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