![]() 関節リウマチの関する最新情報 |
| 関節リウマチとは |
関節リウマチは、多発性関節炎と関節破壊を主な症状とする疾患です。時に、他の臓器(血液、皮膚、眼、肺臓、腎臓、神経など)に炎症を引き起こす全身性の炎症疾患でもあります。原因は未だに明らかにされていませんが、遺伝的素因(リウマチの患者さんでは組織適合抗原であるHLA-DR4を有する方が多い)があり、+αとして外的環境因子(微生物の感染、ストレス、手術、出産や閉経時のホルモン異常など)をきっかけに、免疫の異常反応によって起こる自己免疫疾患と考えられています(免疫とは細菌やウイルスなどの外敵と戦う生体の防御反応を言います。免疫異常とは自分の細胞を敵と勘違いして、自分自身の細胞を痛めてしまう状態を言います)。すなわち、遺伝的要素+α=免疫異常反応→関節リウマチが発生するようです。 関節リウマチでは、その免疫異常反応が関節の滑膜(関節液を産生している関節の内側の袋)に発生し、滑膜炎を起こします。その結果、まず症状として関節の痛みや腫れをもたらします。さらに滑膜炎が長期に及ぶと、増殖した滑膜が軟骨や骨に進入し、関節全体を破壊し、関節の変形し、関節の機能(関節が固まって動かなくなる)を失うことになります。そのため、日常生活動作(ADL)や生活の質(QOL)が障害され、時に生命の危機をもたらすこともあります。 頻度は全人類の1%程度と考えられ、わが国では60万人程度の患者さんが存在すると思われます。全ての年齢に発生しますが、女性に多く(男女比1:4)、30歳〜50歳代に発生のピークを向かえます。最近では65歳以上の高齢者の発症も多くなって来ております(但し、16歳以下の若年者に発生した場合は若年性関節リウマチと言います)。発症時期は冬から春にかけて多く、夏の発症は少ない様です。 |
| 症状と経過について |
初期症状の大半は関節炎(関節痛、関節の腫れ、朝のこわばり)で、時に37度台の微熱や倦怠感、食欲不振、体重減少、リンパ節の腫れを訴えることもあります。発症時の関節炎は対称性であることは少なく、経過と共に関節炎の数が増え、数週間から数ヶ月間を要し左右対称性の多発性の関節炎となります。多くは手指(PIP関節やMP関節で、第2指や第3指に多い傾向があります)や手首、足などの小さな関節から、膝や股、肘などの大きな関節へと進みますが、時に、膝などの大関節から初発することもありますので要注意です。 また、関節リウマチは全身性の炎症性疾患ですから、関節以外の症状が現れることもあります。血液(貧血など)や皮膚(皮下結節など)眼症状(上強膜炎・強膜炎など)、肺疾患(胸膜炎・間質性肺炎・肺線維症など)、心疾患(心膜炎など)、腎疾患(アミロイドーシスなど)、末梢神経障害(手根管症候群など)を合併する事がありますので要注意です。 関節リウマチの症状は寛解・再燃(良かったり悪かったり)を繰り返すといわれますが、一般的に3つのパターンをとります。1)初期に炎症を認めるも次第に症状が軽快するタイプ。2)長年にわたり炎症を認め寛解と再燃を繰り返すタイプ。3)炎症が持続し次第に悪化するタイプに分かれます。 |
| 検査について |
血液検査 1)炎症の検査 ・末梢血液(赤血球、白血球、血小板などで炎症の状態を評価する) ・血沈(組織の炎症や破壊を評価する) ・CRP(組織の炎症や破壊を評価する) ・MMP-3 MMP-3は関節軟骨の成分であるプロテオグリカンやコラーゲンを分解する酵素で関節が破壊されると高値となります。 2)免疫異常の検査 ・リウマトイド因子 患者のIgGに生じた自己抗体です。関節リウマチ患者の80%程度に発生します。リウマトイド因子の値により関節リウマチの活動性や治療効果の判定と参考になります。 ・抗CCP抗体 患者のシトルリン化抗原に生じた自己抗体です。抗CCP抗体が陽性なら95%の確率で関節リウマチと考えられます。リウマトイド因子陰性例においても検出されることがあり、リウマトイド因子より感度が良好で、関節リウマチの早期診断に有用です。 画像検査 1)レントゲン検査 では骨吸収像や骨びらん像、関節裂隙(関節の隙間)の狭小化、のう胞状陰影、関節変形、関節破壊などの所見所見を認めます。20〜30%は一過性に発症し軽快しますが、80%程度は進行性に経過します。 2)MRI MRIでは骨変化の異常を早期に発見でき、治療効果の判定にも役立ちます。 |
| 診断について |
関節リウマチの診断はアメリカリウマチ学会(1987年)に基づき7つの項目の内、4項目以上あてはまればリウマチと診断されます。 すなわち・・・・・・・ (アメリカリウマチ学会) @朝のこわばりが1時間以上続く A3つ以上の関節が腫れる B手首が腫れる、また指先から数えて2番目や3番目の関節が脹れる C左右対称性に関節が腫れる (尚、これらの@〜Cの項目は6週間以上続くことが条件となります) Dレントゲンで手指にリウマチ変化がある Eリウマトイド結節(皮下結節)がある F血液検査でリウマトイド因子がある 以上の7項目の内4項目以上あてはまれば「関節リウマチ」と診断されます。 しかし、この診断基準は早期の関節リウマチの診断には不向きです。関節リウマチは早期に診断し、早期に治療すると予後(治り)が良いと言う事は周知のとおりです。従って、日本リウマチ学会(1994年)や厚労省研究班(2005年)では早期のリウマチ診断基準を以下のように考えています。 (日本リウマチ学会) @3つ以上の関節の圧痛と運動痛 A2つ以上の関節の腫れ B朝のこわばり Cリウマトイド結節(皮下結節) DCRP陽性・血沈値が20mm以上 E血液検査でリウマトイド因子がある 以上の6項目の内、3項目以上あてあまれば「早期関節リウマチ」と診断されます。 (厚労省研究班による早期関節リウマチ診断基準案) @抗CCP抗体またはリウマトイド因子(2点) A対称性手・指滑膜炎をMRIで確認(1点) B骨びらんをMRIで確認(2点) 以上の3項目の内、3点以上あてあまれば「早期関節リウマチ」と診断されます。 尚、鑑別疾患として変形性関節症(変形性手関節症、ヘバーデン結節、ブシャール結節)や膠原病、リウマチ性多発性筋痛症、乾癬性関節炎などが関節リウマチと同様な関節症状を認めますので、診断に注意を要します。 |
| 関節リウマチの治療 |
関節リウマチは早期に診断、治療(早期に滑膜炎を抑制し完治)することが大切です。治療は薬物療法が主体です。症状によってはリハビリテーションや手術的治療が検討されます。薬物療法は抗炎症剤と抗リウマチ剤、生物学的製剤に分かれます。 抗炎症剤 抗炎症剤は痛みを軽減する目的に使用されます。非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)とステロイド剤とに分かれます。 抗リウマチ剤 抗リウマチ剤(DMARDs、疾患修飾抗リウマチ剤)は免疫全体の動きを抑えて病状の進行を防ぐ作用があります。関節リウマチの完治は望めませんが、寛解に至らしめることは可能です。免疫調整剤(免疫の異常な働きを調整する薬)と免疫抑制剤(免疫の働き全般を抑えこんでしまう薬)とに分かれます。抗リウマチ剤は早期に使用することが大切です。一般的に効果が出現するまでに2〜3ヶ月間を要します。 生物学的製剤 生物学的製剤(TNF阻害薬、IL−6阻害薬など)は滑膜の炎症によって発生した炎症性サイトカインの作用を抑えることにより、関節リウマチの進行を抑制する製剤です。関節リウマチは寛解と再燃(良くなったり悪くなったり)を繰り返し、完治する病気ではないといわれていましたが、症例によっては生物学的製剤の使用にて完治する患者さんもおられるようです。 又、関節リウマチの患者さんでは、関節破壊により日常生活動作が著しく障害される事より、一般の方に比べて生活習慣病(高血圧、糖尿病、高脂血症など)や骨粗鬆症の発生率が高く、生命予後(寿命)に悪影響をもたらします。これらの改善のためにリハビリテーション(主に運動療法)を指導することも大切です。 |
| 関節リウマチの手術療法について |
関節リウマチの治療は薬物療法が主体ですが、薬物療法に効果が無い症例では手術的治療を検討します。手術的治療には滑膜切除術や人工関節置換術、関節形成術、関節固定術などがあります。 滑膜切除術は早期の症例(軟骨や骨が傷んでない症例)に適応があり、指関節や手関節、肘関節、膝関節などに行うと痛みが軽減され、患者の満足度も高いようです。 一方、骨の破壊や関節の変形を有する進行例で、四肢の機能が失われた症例には人工関節置換術(股関節や膝関節、肘関節など)や関節形成術(足趾や肘関節など)、関節固定術(指関節や手関節、足関節、脊椎など)が行われます。手術は年齢や患者さんの生活環境、趣味、炎症の程度、リウマチのstage(関節の破壊度)などを詳細に検討し決定されます。 |
| 見落としやすい脊椎病変 |
関節リウマチは四肢の関節(手足の関節)を破壊するばかりでなく、脊椎にもリウマチ病変を発生させます。 特に、環軸関節(首の1番目と2番目の関節)には多数の滑膜が存在するためリウマチ病変の好発部位となります。病変が進行しますと、環軸関節が破壊され環軸関節亜脱臼(首を前に倒すと、頚椎の1番目と2番目がずれる状態)を生じ、頚部痛や後頭部痛、頚部運動時の雑音(首の動きによって「コツコツ」と音がする)、頚部運動障害(首の動きが悪い)などの局所症状を訴えます。 中には、脊髄が圧迫されて四肢麻痺(手足の麻痺)を来たす事もあります。時に、軽微な外傷で脊髄損傷を生じ、「突然死」に至ると言う報告もありますので要注意です。手術的治療は長期に渡り局所症状を認める症例や亜脱臼の程度が強く、将来麻痺が予測される症例に対して検討されます。いずれにしろ、関節リウマチを熟知した整形外科専門医への受診が大切です。 |
| 他の整形外科疾患について たはら整形外科の表紙へ戻る |