いわゆる足関節捻挫
(足関節靭帯損傷・剥離骨折を含む)


足関節捻挫とは足首に内反力や外反力が強制されて軟部組織や靭帯、骨が損傷される疾患です。年齢を問わず日常の外来診療において最もよく遭遇する疾患の一つです。

足首の靭帯は脛腓靭帯と外側側副靭帯(前距腓靭帯・後距腓靭帯・踵腓靭帯)と内側側副靭帯(三角靭帯)とからなります。これらの靭帯によって足首の安定性がもたらされております。

足関節捻挫は靭帯損傷のない症例(単なる捻挫)と、靭帯損傷を認める症例(靭帯が伸びたり断裂した症例)と、小さな骨片を認める症例(剥離骨折)とに分かれます。さらに、靭帯損傷では脛腓靭帯損傷と外側側副靭帯損傷と内側側副靭帯損傷とに分かれます。多くは内反が強制されて起こる外側側副靭帯損傷の症例です。又、剥離骨折を認める症例の大半は足関節外果剥離骨折です。

症状は足首の痛みや腫れ、皮下出血、足部の不安定性、歩行障害です。診断は問診や診察所見にて容易ですが、確定診断にはレントゲン検査が不可欠です。レントゲン検査は2方向撮影(前後像・側面像)を行い、骨折の有無を確認します。さらに、受傷機転(ケガをした時の足首の状態)を再現するストレスレントゲン撮影を行い、靭帯損傷の有無や損傷の程度を把握します。ストレスレントゲン撮影にて軽微な剥離骨折が発見される事も多々経験します。従って、足首を捻挫して受診された場合は、常に靭帯損傷や剥離骨折を念頭に置き、必ず3方向撮影(前後像・側面像・ストレスレントゲン像)を行う事が非常に重要です。

足関節捻挫を診断するにあたって、最も困る事があります。それは、過去の捻挫において靭帯損傷や剥離骨折が存在していたにもかかわらず、当時、「単なる捻挫」として取り扱われた症例です。この様な症例が再び捻挫されますと、新鮮例(今回の捻挫で起きた損傷)なのか、陳旧例(過去の捻挫で起きた損傷)なのかの判断に困惑します。このような場合は足部の腫れや不安定性などの所見を重視し(グラグラする割に腫れが少ない場合は陳旧例と考えます)、さらに、レントゲン所見で変形性足関節症の有無を検討して新鮮例か陳旧例かを判断します。又、剥離骨片を認める症例は骨片の形状で判断します(骨片の辺縁が滑らかな症例は陳旧例と判断します)。また、捻挫によって距骨の骨軟骨が損傷され、慢性的に長期にわたり疼痛を訴えられる場合もあります。

治療は保存的治療(手術しない方法)が原則です。まず受傷直後にはRICEの処置を行います。「単なる捻挫」では安静を指示し、短期間の非ステロイド系抗炎症剤外用剤を処方し、サポーター固定で経過観察します。靭帯損傷を認める症例ではギプス固定を行います(最近では歩行やランニングが行いやすいソフトギプスを使用しております。足首の固定は軽度背屈位とします)。尚、骨や筋肉の萎縮(衰え)を防ぐためにギプス固定のまま歩行や走行、スポーツ活動を許可します。固定期間は損傷の程度に応じて3〜5週間程度とします。ギプス除去後は足首のストレッチング筋力強化訓練を行わせ再発防止に努めます。

手術的治療は、将来にわたって激しいスポーツ活動を継続される方で、靭帯損傷の程度が強い症例が対象となり、縫合術などが検討されます。尚、陳旧例で重度の靭帯損傷を認め、再々捻挫を繰り返す症例は靭帯再建術を検討します。

よく患者さんからテーピングでの治療についての「お尋ね」があります。「テーピングは皮膚にするのであって、靭帯や骨にテーピングする訳ではありません。十分な固定が得られません。15分後には汗のために固定力がなくなります。従って、靭帯損傷や剥離骨折の治療としてはお勧めできません」とお答えしております。尚、小児の足関節捻挫は子供の整形外科を参照されて下さい。


 他の外傷(ケガ)について          たはら整形外科の表紙へ戻る